11-2:3号の別れと出会いと

11-2:3号の別れと出会いと

3号の人

「あれ、グエルさん?」


3号が地球寮に向け歩いていると、見覚えのある後ろ姿を見つけた。

「…ああ。スレッタ・マーキュリーか。久しぶりだな」

「この間は、ありがとうございました。

 おかげで少し、進めた気がします」

「そうか、お前はちゃんとできたんだな」

「”私は”…ってことはグエルさん…」


グエルの顔を見て察する。


「ああ。俺は…無理だったよ

 父さんは何も聞いてはくれなかった…

 俺は、新しい道を探すことにする」

「グエルさん…」

「お前は、まだここに居場所があるんだろ

 …今度はうまくやれよ」

「はい。グエルさんも、お元気で!」

「ああ」


静かに去っていくグエルの少し悲しい背中を、3号は見送った。


ーーー

「スレッタ・マーキュリー」

「⁈」


突然声をかけられた。いや驚いたのはそこじゃない。

この声は、聞き慣れた…4号さん…でも明らかに違う。

振り返るとそこには…

「あなたは…」

「初めまして、だねスレッタ、いや”3号”」


私をその呼び方で呼ぶってことは


「4号さんの、つ、次の人、ですか」

「ま、そんなとこかなー 仲良くしようよ

 …自分のオリジナルに入れ込むよりさ」

「! あ、あなたに、何か言われる筋合いは…」

「どういう気なのか知らないけどさー

 あいつもペイルの下でいい思いしてる奴だよ?

 変に関わらないほうがいいと思うけどなー」

「あ、あなたには、あの子のことなんて分かりませんよ」

「あっそう、僕は自分のオリジナルと仲良しこよしなんてゴメンだけど

 まあ命の安いもの同士、気楽にやろうよ

 じゃあね」


5号は手をヒラヒラさせながら背を向け去っていった。

4号さんとは全然違う。あの人、ちょっと苦手かもしれない。

ーーー

>エラン・ケレス、久しぶりに戻ってきたな


>スレッタ・マーキュリー(ホルダーのほうじゃないぞ!)がだいぶ寂しがってたみたいだし、良かったじゃない


>でも、なんか前と違って距離を感じるんだよねあの2人


>前まではスレッタがエランの後ろにひっついてたのに、今じゃ逆に避けてるように見えるよ

 何かあったのかね

ーーー


学園の掲示板でも、5号のことが話題になっている。しかし、誰も「エラン・ケレス」が別人になったことに気づきはしない。

そのために強化人士は姿を変えられるのだから当然なのは分かっている。でもその現実を見ると、4号さんの存在がホントにどこにも無いことが改めて実感できて悲しくなる。

4号さんは私のために命を失ってしまった。

それに、今はあの子…オリジナルの願い「友達でいること」があるし、グエルさんへの恩もある。

だから私は、思いにちゃんと応えないといけない。

5号さんにとってはバカバカしいことかもしれないけど、私が決めたことだから。

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