>108 惚れ気味

>108 惚れ気味


エレジア事件でなんやかんや生き残ったけどあの後無自覚で惚れてるウタ

相談すると次々卒倒するパパたち

会いたいって言われて苦渋の決断で会いに行く

ルフィ側も船長のいつもと違う雰囲気を察したクルーが逢いに行くよう説得

どこかの島で再会して一日自由にさせてお別れ(親と離れたくないウタの気持ちを汲んで)

雰囲気が変わってどうしたのか聞くと妊娠発覚

四皇同士の戦争(笑)勃発

出産とその後まで

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「____」

「____!!」


「ひゃっ!?…またルフィの夢……」

「……ルフィ かっこよかったなぁ…」





「ねぇねぇホンゴウさん 私最近変なの」

「どうかしたのかウタ!?もしかしてネズキノコの影響が……」

真剣な表情の船医に肩をゆらされてウタは少し動揺していた


「え〜っとね…最近ルフィの夢しか見ないし、ルフィのことを考えると胸がドキドキして熱くなるんだ…」

「これって何かの病気かな?」

「……あ〜…ウタ それは病気じゃない」

船医は頭を抱えながら下を向いて答える

「それはな……」

「……他のやつに聞いてくれ!!」

答えようとしたが純粋な子供のような娘に恋心を説ける気がしなかったため恥ずかしさで目を瞑りながら、動揺している彼女を部屋から追い出した


「……え〜っ…追い払われた」



「ねぇねぇラッキー・ルウ!私に料理を教えて!!」

「いいけどどうしたんだ?もしかしてお頭に料理をプレゼントするのか?」

料理人は嬉しそうに肉を食べながら娘の要望を受け入れ、その理由を聞いた


「シャンクスにもあげたいけど……私ね!ルフィに会ったら手料理を振る舞えるようになりたいんだ!!それで料理を食べたルフィに美味しいって言われたいんだ!!」

「そうか!ならルフィが満足出来るように今から勉強しよう!!」

(ん?お頭よりもルフィにあげたい……?もしかして…!!)

「ウタ お前ルフィのことが____す…す……」

ラッキー・ルウは赤面になってしまい上手く言葉を発せられずにいた


「?どうかしたの?」

「いや……いいんだ!!今日から料理を教えてやるぞ!!」

「やった〜!!ありがとう!!」

(まさかウタがルフィの事を…面白いことになったけどお頭が知ったらなんて言うんだ……)






「シャンクス〜!!」

「おう!どうしたんだウタ」

娘は父に甘えるかのように抱きついた

「シャンクス ルフィに会いたい!!」

「なんだもう寂しくなったのか?悪いが今はルフィに会うことが出来ないんだ」


「え〜…なんで?」

「ルフィとの約束とか……おれたちのメンツとかがな……」


「やだやだやだ!!!!ルフィに会いたい!!ルフィに会いたいの!!ルフィに会わせて!!」

「分かった分かった…連れてってやる」

赤髪の父は娘の頭を優しく撫でて要求に応じた


「でもなんでそんなにルフィに会いたいんだ?」

「あのね 最近ルフィの夢しか見ないし、ルフィのことしか考えられないの だからこそもう一度会いたいんだ 会って色んなことをして遊びたいんだ」

「そ…そうか……」

(まさかウタ ルフィに恋しているのか!?)


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一方ルフィがいるサニー号


「…………」


「ルフィ 今日もじっと海を見てるな」

「エレジアから出航してからずっとあんな様子だし すっかりうちの船長は誰かさんにゾッコンみたいだな!!」

「ん?こんな時間にニュース・クー?」

ウソップは受け取った手紙を確認した


「……ん?ルフィ宛か……この宛名!?」

その宛名を見たウソップは思わず目が飛び出し、駆け足でルフィの元へ向かった


「ルフィ!!ルフィ!!ルフィ〜!!!!」

「……どうしたウソップ?」


「お前宛に手紙が来たんだよ!!」

「ん…この手紙!!ウタからか!!?」

手紙を受けとった彼も目が飛び出すほど驚いていた

それもそのはず 意中の相手からの突然の手紙だったのだから…


「部屋で見てくる〜!!」

にやけた顔を見られたくなかったからかルフィは部屋に入って一人だけで手紙を見た


「……これって……!!」



「ナミ!!ナミ!!ナミ!!ナミ!!!!」

手紙を持って部屋を飛び出し、廊下で航海先を決める航海士の名前を呼んだ

「はいはい 何どうしたの?」

少しだるそうな表情で頭を掻きながら蜜柑の色をした髪を揺らして彼女は女子部屋から姿を現した


「ここに行きてェ!!」

ルフィは手紙に描かれた島を見せる

「ここ〜?……なんで?」

「それは……」

「ウタに会いたいからでしょ〜」

「……」

「航海の冒険よりもウタに会いたくなったんでしょ?」

「……分かってんなら意地悪すんなよ」

航海士にからかわれたがルフィは本心を言わずにただ目的地に向かうように頼み航海士は承諾して操舵手に舵の向きを変えさせた




そして数日後

麦わらの一味は島に上陸した

「お前らは降りないのか?」

ルフィは仲間に問いかけたがたった一日の再開で翌朝には帰るとの事だったので仲間たちは二人の邪魔をしないように船内にこもるという選択肢をとったのだ


「ルフィ 久しぶりだね」

船を降りた麦わら帽子の良く似合う男を出迎えたのは歌が上手な赤髪海賊団音楽家ウタだった

「ウタ〜!!」

再会を喜んだ二人はすぐさま抱き合い体温を分かちあった

「今日はいっぱい遊ぼうね!!」

「おう! まず飯食おうぜ!!」

「まって!お弁当作ってきたから港で一緒に食べよう!!」



「うんめェ〜!!もっと!!もっと!!」

「はいはい 沢山作ってきたから味わって食べてね」


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「ウタ〜!!この花お前の髪に似合うからやるよ!!」

「ありがとう!!」


「どう似合う?」

「……!!お、おう 綺麗だぞ……」

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「……ルフィ…」

「ん?どうした?」


「え〜っとね…ルフィと再会してからお腹の下がキュンキュンするんだ……」

「…!!?そうか…心配だしホテル行くか」


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____翌朝



一糸まとわぬ二人は同じベッドの上で目を覚ました

「……ルフィ…昨日は楽しかったね」

「だな! また一緒に遊ぼう!!」


かくしてお互いの匂いを染みつかせた彼らは自分たちの船へと戻った



「ウタ お帰り! ルフィと遊べて楽しかったか?」

「うん 楽しかったし、気持ちよかったた!!」

(……気持ちよかった……?)

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____一ヶ月後


「ホンゴウさん 健康診断して欲しいんだけど」

「?どこか体調が悪いのか 見せてみろ」

ウタは衣服を捲って以前より少し脹れたお腹を見せた

船医は聴診器を取り出して娘のお腹の辺りから体内の音を聞き始めた

「……異常は何も……ん!!?」

確かに聞こえた…ドクンという鼓動が…


「その反応 もしかして…」

「心配するな!!これは病気じゃなく…」


「出来てたんだね!!私の赤ちゃん!!」

「……えっ…分かってたのか……」

「で…相手は……?」

既に相手の予想は着いていたが娘の口から聞きたかったため状況に困惑しながらも恐る恐る問いかけた


「そんなのルフィに決まってるじゃん!」

「……ちょっとお頭!!お頭!!」

今の状況を確認してバタバタと部屋を飛び出し船長を呼びだした


「なんだ?朝から元気だな」

「…ウタが…おれたちの娘が妊娠した」


「!!!?」

「……相手は……」

「ルフィだ」


「………ルフィ…今すぐあいつに会いに行くぞ!!辛いがウタを妊娠させたからにはルフィにウタを預けなきゃならねェ」

それは父なりの娘と友達への気遣いだったがそれは空回りだったと直ぐに知ることとなる

「まって!!」


「ルフィとね…約束したんだ 赤ちゃんが出来たら産まれる前に海賊王になって私を迎えに来てって!!」

「……そうか じゃあ邪魔しちゃいけねェな ルフィには手紙だけ送ろう」


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「……やった〜!!」

「お前ら!!これからはもっと気合を入れて航海の旅を進めるぞ!!!!」

一通の手紙を見て新時代の担い手は数ヶ月間で海賊王になれるよう、仲間と自分を激励して気合いを入れ直した


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____更に数ヶ月後


「よしよし…よしよし……」

船の小さな一室で紅白髪の彼女はパンパンに膨れたお腹を優しく撫でていた


「ウタ!!!!」

幸せで満ち溢れるその部屋に麦わら帽子がもっと良く似合う男が入室した


「ルフィ!!間に合ったね!!」

「うお〜!!この中におれたちの子供がいるのか」

ルフィはウタの脹れたお腹を優しく撫で回した

「んっ…痛い痛い!!赤ちゃん パパに会えて喜んでる!!喜ぶのはいいけどお腹蹴らないで!!!!」

「元気いっぱいだな!!でもあんまりママを困らせるんじゃないぞ」

ルフィはウタのお腹から頭を離さずにまだ産まれぬ命に語り続けた


「……んっ…痛い…ルフィ 赤ちゃんもう産まれるかも」

「そうなのか!?ならホンゴウとシャンクスたち呼んでくる!!!!」

「おねが…ウーン…痛い…暴れないで……」




「ウタ 出産の準備が出来たぞ 楽にして座ってろ」

「うん ホンゴウさん お願い」


「なぁ おれにできることってあるか?」

「じゃあ手を繋いで……離さないで」

「握ってるからな 離さないからな……」

「ならおれはタオルで汗を拭こう」

「ありがとうシャンクス」


各々が奮闘した緊張の数分間

それはひとつの産声によって終わりを知らされる


「おぎゃ〜!!んぎゃ〜!!」

「よく頑張ったなウタ! 女の子だぞ!!」


「……おはよう 私たちの赤ちゃん」

ホンゴウに取り上げられた赤ん坊の顔に手を伸ばすと目も開けぬ赤子は母親の親指を小さな手で掴んだ

「…かわいい♡」



「ルフィ 抱っこするか?」

「いいのか!?するする!!」


「ほーら パパだぞ〜!!」

「んむ……」


「幸せそのものだな おれたちは部屋から出るか」

「そうだな ウタ何かあったらすぐに教えろよ」

出産後の処置を終えるとシャンクスとホンゴウは幸せが溢れる光景を目に焼き付けて部屋から静かに出たのだった


「……ルフィ この子には怖い思いをさせないようにしようね」

「当たり前だろ この子もお前もおれが守るからな…」

「……むー…」


赤子は父と母の温もりに包まれて一時の健やかな眠りについた



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「ルフィ!今日の散歩はここまでにして私たちのお家に帰ろっか」

「そうだな 今日も楽しかったか〜?」

「きゃっきゃっ!!!!」


「そうか〜!!良かった!!」


紅白髪の女性は大好きな麦わら帽子の良く似合う男の横を歩き、その男との赤子を抱いて争い起きぬ新時代で今日も明日も生きていた



END

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