>107 寝ない配信
死にゲーをクリアするまで寝ない枠をゲーム配信するルフィとウタ
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「みんな〜声聞こえてる?」
「……うんうん良かった…今日は友達のルフィと二人で!!」
「クリアするまで寝ない配信をします!」
ソファーに座った二人は早速ゲーム機を立ち上げて配信画面を分割させた
「昔のゲームだから目が痛くなるかもねこっちでも画面の明るさを下げるけど視聴者のみんなも画面の明るさは各自設定してね」
始まったのはレトロゲーム
横スクロールで動き、敵の攻撃に当たれば一発で死ぬゲームだった
「じゃあ始めるよ!!……あ 死んだ」
「なーっはっはっは!!早速死んでんな!!」
開幕早々にウタの操作キャラクターは死んでしまった
____二人は知らない このBGMを……ゲームオーバー音を何時間も聞くことになる事を……
「…今度は逃げずに立ち向かうよ!!……よし倒し……うわぁ!?二体目がでてきた!!!!」
「……これまだ一面だよね ラストは何面なの?」
「……10か……クリアできるかな…」
「……やるしかないか」
余裕そうに死に様を笑っているルフィにコントローラーを渡すことなく、ウタは何度でも何度でもコンテニューし返した
「空中の敵は無視してダッシュダッシュ…歩兵はジャンプして回避……」
ウタは即座に攻略法を理解しステージ一のボスまでたどり着いた
「あのボスっぽいのを攻撃して……きゃっ!!?」
「うわっ!!眩しいっ!!」
過剰と呼べる撃破演出を前に二人は咄嗟に目を隠した
「…ステージ2だ…段差が多いわね」
先程の平坦なステージとは違い段差が多いため空中の敵とぶつかることが多くなった
それでもウタは攻略法を見つけるため何度でも死を繰り返して挑み続ける
「かわせない……ここは倒すか」
「なに!?また画面が!!ボスだったの!!?」
道中の敵だと思っていたがどうやらボスだったようだ
二人の目はまたしても過激な撃破演出にやられたのだった
「……ウタ これやめねェか?配信向きじゃねーよ」
「分かってる……でも…それでも私はやるよ だから邪魔しないで」
すっかり何かの使命感に追われたウタはコントローラーを再び手にして次の面をプレイした
____何時間か経ち…ラストのステージへ
「……そういえばルフィ さっきから静かだね……って寝てんじゃん!!!!」
画面から目を離し横を見るとルフィはすっかり眠ってしまっていた
「もう!!可愛い寝顔を私以外に見せないでよね!!」
ウタは足元に置いた足掛けの毛布をルフィの頭にかけて顔を隠した
「これでよし!!……さてゲーム再開するか」
彼女はもはや配信の事など忘れて、視聴者へのサービスをするよりもゲームをクリアすることだけに集中していた
それでもリアクションは取るので視聴者は盛り上がっていた
そして……そして……
「クリア〜!!!!やっと終わった〜!!」
ゲームのクリアムービーを見たウタは即座に横で眠ってしまっているルフィに肩を預けて眠った
「……えへへ♡ルフィ褒めて〜……」
配信を切り忘れていたためその寝言が流れてしまった
……そしてその後の言葉も…
「お〜っと!!わりぃな ここから先は見せられねェぞ!!」
目を覚ましたルフィは最後にこの言葉を言い残して配信のカメラを切った
「よく頑張ったな ウタ」
見事やり遂げた配信王女をお姫様抱っこし居眠り王子は二人の寝室という名の "ボーナスステージ"へ向かったのだった
おしまい