100回クリイキしないと戻らないカントボイスカリと巻き込まれたデイビット

100回クリイキしないと戻らないカントボイスカリと巻き込まれたデイビット


・ご都合主義カントボーイの呪い(?)

・濁点♡喘ぎ

・基本蚊帳の外のトラロック

・用意が良すぎる全能神(どうせコヤンとの商談中に未来予知した)

・イスシコに巻き込まれた可哀想なデイビット

・書くにあたり二部七章シナリオ読み返してない(デイビットってトラロックのこと何て呼んでたっけ?)

・デイビット視点にしたらあんまエロくならなかった(作者が動かすデイビットがいい子すぎた)

・〇〇はそんなことしない案件多数

OK?

「……何でオレなんだ」

 説明を受けた第一声に若干の不満が混じるのは仕方がないと言えるだろう。

「何だ、神に意見か?」

 目の前に立つアステカの最高神は、笑いながらそう言い放つ。

「まあ、お前以外に適任がいないってのは事実なんだよ、デイビット」

「それにしてもミクトランに何故そんな呪いを与える生物がいるんだ。目的がわからない」

「そこはオレにもわからない。おそらくは異次元から流れ込んできたんだろうが……今は尋常じゃなくブチ切れたハチドリがオセロトルどもと一緒に殲滅に精を出してる」

「そんなにいるのか……」

 メヒコシティの近くに見慣れない生物が現れ、生態系を乱している。トラロックからそう報告を受けたイスカリがオセロトルたちを引き連れて討伐に行ったところ、その生物が呪い(推定)を放った。

 そして、それを喰らったイスカリが、どういうわけか、部分的に『男性の機能を喪失』したらしい。そして、テスカトリポカの見立てによると、本当にぶっ飛んだ話ではあるが、その状態を直すためには『喪失した男性機能の代わりに新しく生成された器官』を用いて……100回ほど、オーガズムに達する必要があるらしい。

 テスカトリポカからそれを聞いた時は流石のデイビットも何の心構えもなく無重力空間に放り出されたような心地になったものだ。生物として必要な進化とは思えない。あまりにも荒唐無稽がすぎる。どこかの頭がおかしい神だか魔術師だかが面白半分で作ったとしか思えない。というかそもそも何でオレがそんなことをやらなきゃいけないんだ。脳の8割強をその思考に支配される。

「まあそう嫌な顔をするなよ兄弟。お前に頼んだことにも理由がある」

 テスカトリポカは言う。

「知っての通り、あいつはかなり真面目だ。真面目すぎる。治す方法を教えて自慰行為をさせたところで半日かけて片手で数えるほどしかイけないだろう。オレかハチドリが手伝ったところで緊張してさらに効率が悪くなるのが関の山だ」

 というかそもそもオレらの間では同性愛は禁忌なんだよな、などと宣う。男性としての機能を喪失したイスカリが完全な男性であるかどうかに対する疑問や、そもそも(過去の話ではあるが)キリスト教圏も同性愛は禁忌であるという事実を(おそらく)これまでの人生で一番大きいため息と共に押し込めた後、デイビットは答えた。

「わかった。ただオレには女性の陰部に関する知識がない。何をすればいいのか教えてくれ」

「言ってくれると信じてたぜ、兄弟。安心しろ、どうすれば女が悦ぶかの知識もあるし必要な道具も揃えてある。童貞にもわかるように教えてやろうじゃないか」

 道具? 人型の女性といえばトラロックとククルカンしかいないミクトランで? 何のために?

 特大の疑問符を頭上に浮かべながら、デイビットはテスカトリポカから授けられる知識を頭に叩き込むのだった。



「入るぞ」

 言いながら、相手の返事を待たずに居室に入る。寝所の塊がもぞりと動き、こちらを睨みつけた。

「何の用だ、クリプター」

「おまえにかけられた呪いを解くように言われた。テスカトリポカから聞いていないのか」

 言えば、それだけで射殺せるのではないかと思えるほど鋭い視線を寄越してくる。やはりあの神は何の相談もせず1人で決めたらしい。せめてこれからその措置を受ける相手にくらい告知しておく必要があるのではないかと相棒に問いかけたくなるが、相手はこの場にいないので仕方がない。文句は(覚えていれば)後で言うことにしよう。

 デイビットはイスカリの寝所に近づき、傍に持ってきた荷物を置く。

「……おい、何をするつもりだ」

「解呪だ。結果的にはな」

 己の手をアルコールティッシュで消毒した後、荷物の中からとぽりと音を立てる容器を取り出し、中身を手に出す。どろりとした液体が、デイビットの掌を覆う。冷たい感触を好まない女性も多いので予め人肌で温めるのだ、というテスカトリポカの言葉を思い出す。

「下履きを脱げ。時間がない。なるべく早く済ませよう」

「は?」

 怪訝な顔をするイスカリに続ける。

「オレのことはそういう道具だとでも思えばいい。とにかくさっさと終わらせるぞ」



「っ、お゛っ♡あ゛っ♡あ゛ぁっ♡♡はあ゛ぁあ゛あ゛♡♡♡」

 頭上から聞こえる雄叫びにも似た喘ぎをなるべく聞き流しながら、デイビットは親指でイスカリの陰核を淡々と責める。テスカトリポカの名を出したからか、思っていたほど激しい抵抗はされなかった。

 イスカリは今、寝台に横たわって足をM字に開き、両手両足の指でシーツをきつく握りしめている。暴れた拍子にうっかり顔を蹴っ飛ばされては敵わないのでデイビットがそのように指示したのだ。

 既にイスカリは37回もの絶頂を迎えている。ここまで休みなしでまだ声をあげている余裕があるとは、さすが一年テスカトリポカとして作られた肉体と言えるだろう。

「あ゛♡や♡やだっ♡♡あ゛あっ♡♡♡」

 イスカリが背中を反らせる。38回目の絶頂を迎えたのだ。撒き散らされる潮が顔にかからないように掌で抑え、ぐっしょりと濡れたタオルを新しいものに替える。

「その『やだ』と言うのをやめてくれないか。やる気が削がれる」

「べ、別に……そのくらい、ただ、手を動かしていれば、いいだけだろう……クリプター……」

 絶頂の余韻が漏れる荒い呼吸の合間で、イスカリはそう言う。

「いいか。これは必要な行為だ。『嫌だ』と言われてしまうと、その……」

 悪いことをしているようで嫌になる、と言うのはためらわれた。実際、自分が今していることは善いこととはとても言えないから。

「……」

 心の中で父と天の主に懺悔をする。許して欲しいとは言えない。自分より年下の少年にこんな狼藉を働く己に、説教と然るべき罰があらんことを。……遠い異国どころかほとんど異世界にいる今は、すぐには無理にしても。

「……おい、クリプター」

 訝しげなイスカリの声に、はたと我に返る。感傷はよそう。とにかく今はメヒコシティが擁立するオセロトルの王を真っ当な男に戻すことだけを考えねば。

「……そうだな、さっさと終わらせるとしよう」

 ローションを掌で温め、親指に纏わせる。

 ちらりとイスカリの顔を見やると、完全に余韻が抜けきっていない表情をしながら目を閉じ、ふいと顔を背けていた。



「うぁ♡あ゛ぁ♡♡もう、くる、あ゛ぁっ♡♡あ゛ーーーーー♡♡♡♡」

 計73回目の絶頂。なかなかいいペースだ。このまま行けば日が沈む頃には男に戻れるだろう。ただ、ここまで時間をかけるとデイビットの側に問題が発生してくる。

 いい加減指が攣りそうだ。人差し指や中指も駆使して刺激し続けていたが、それでも疲労は溜まる。

 イスカリの側も、指での刺激に慣れてきてしまっている。一番絶頂しやすかったのが開始から20回目を超えたあたり、今はその時に比べると1.7倍くらいの時間がかかっている。

「……そろそろ使うか」

 呟いて、テスカトリポカに持たされた荷物を漁る。

「ぅえ……?」

 最早上半身を起こすこともできなくなったイスカリがこちらに顔だけ向けながらとろりとした声を出すのが聞こえる。それには答えずにデイビットが取り出したのは、小さな卵形の機械だ。

「なんだ、その……」

 イスカリの声を聞きながら、卵形の機械を陰核にあてがうと、スイッチを入れる。ぱちりという音と同時に内部のモーターが駆動する。

「ん゛ぃいいいいいいいいっ!?!?!?」

 イスカリが海老反りに背中を反らせる。今ので絶頂したようだ。何時間にも渡って弄られても、さすがに未知の刺激には弱いか。

「く、くりぷ、た♡や♡それ♡ふっ♡おかしく、な、りゅぅうううう!?!?」

 こちらに文句を言おうとしたのだろう、その言葉は、あっという間に濁流のような快楽に呑まれたらしく、うめくような喘ぎと共にイスカリは絶頂する。

「一刻も早く元に戻ってもらわなければ困るんだが……」

 知らず、ぼやきが漏れる。まずいと思ってイスカリの様子を伺うも、彼は余韻の後から畳み掛けるように襲う快楽の波に翻弄されていてそれどころではないようだった。

 性器が女性のものになったとはいえ、その他の部分は男性のままだ。それは、体格も、サーヴァントと対等に渡り合う膂力も例外ではない。陰核のみに狙いを定めるため、絶頂するたびに腰を抑えておくのも一苦労だ。

「あ゛っ♡あ゛ぁ゛っ♡♡やぁあ゛♡♡♡」

 イスカリの口は、最早涎と意味を成さない音を垂れ流すだけの機構と化した。またびくりと腰が揺れる。76回目の絶頂である。

「あまり多くの道具を使わずに済んでよかった……」

 テスカトリポカに持たされた荷物の中には、使用用途を聞いた瞬間持たざるものであるデイビットも怖気付くレベルでえげつない用途のものがまだある。女性の陰核を責める、というだけの用途にどうしてそこまで無駄な労力を使うのかと、一周回って感心さえできるレベルだ。今デイビットの手に握られているこれは(出来れば使いたくなかったにしても)まだマシなものなのだ。

「あ゛♡あ゛あ゛♡う゛ぁ♡♡あ゛あ゛あ゛♡♡♡」

 びくり、とまたイスカリの腰が跳ねる。様子を伺うと、相変わらず涎と喘ぎを垂れ流し、まともに考える意識は快楽に呑まれているようだった。

 一年テスカトリポカとして死なない体を持つイスカリが気をやるほどの快楽。それを自分が与えているという事実に罪悪感を覚える。

「……」

 謝罪を口にしかけて、すぐにそれを打ち消す。今、彼を理不尽な目に遭わせているのは他でもない自分だ。テスカトリポカに頼まれた(押し付けられた)だけとはいえ、ここで謝っても彼の神経を逆撫でするだけだろう。

「う、うぁ、あぁ……」

 イスカリの反応が悪くなってきている。ローターの刺激に慣れてしまったのだろう。

 少しだけ逡巡し、振動の強さを一段階上げる。

「あ゛、やぁあ゛♡それ、つよ♡つよいの♡やらぁ♡」

 嫌だはやめてくれ、などと今のイスカリに言ったところで聞こえてすらいないだろう。デイビットは諦めて、100回を稼ぐことだけに注力することにした。

 仮に次があったとしても絶対に断る。それだけを心に決めながら。



 100回目の絶頂を迎えると、イスカリの女陰はふるりと震えてもとの形を取り戻し、絶頂の余韻を残す身体とともにくってりとその身を横たえた。

 何か声をかけようとして思い留まる。今の自分にかけられる言葉はない。デイビットは軽く彼の体液で汚れた周囲の後始末をすると、一糸纏わぬ姿のイスカリにブランケットをかけ、荷物をまとめて部屋を後にした。

「……クリプター」

 廊下を歩いていると、声をかけられる。そちらを向くと、トラロックが立っていた。

「戻っていたのか」

「ええ。あのクソ怪物は一匹残らず私が殲滅しておきました、よ」

「そうか」

 そのまま立ち去りかけたが、ふと立ち止まり。

「ああ、すまない」

「何ですか」

「その……イスカリのために湯浴みの用意をしてくれないか」

「既にしています。兄様の指示で、ね」

「そうか、それはよかった」

 言ってから、喋りすぎたな、と思う。トラロックは訝しむように眉を寄せてこちらを見ていた。

「クリプター。兄様にイスカリの解呪を頼まれたそうですが」

 デイビットが右手に持った荷物を見ながら、トラロックは言う。

「……一体、何をやったのですか」

「テスカトリポカに何も聞かされていないのか」

「……ええ、残念ながら、ね」

「そうか」

 それを聞いたデイビットの胸の内に湧いたのは、イスカリの辱めを知る者が不必要に増えなかったことへの安堵だった。

「なら知らなくてもいいことだ」

 デイビットはそのまま自分に割り当てられた部屋へと戻る。

 トラロックはそのまま立ち止まってこちらを見ていたようだが、やがてイスカリの部屋の方へと去っていった。

(……そういえば)

 デイビットは知らず、その場で眉間を押さえる。

(トラロックがイスカリの様子を見に行くと言うことはつまり……オレの所業がすぐにバレるということでは?)

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