100回イかないと出れない部屋

100回イかないと出れない部屋


目覚めると、見覚えのない部屋にいた。

狭い部屋の大部分を埋め尽くすダブルベッドから身体を起こすと、隣に寝ていた女も身動ぎした。

「な…っ…!」

思わず着衣を確認する。良かった、着ている。何かの間違いで隣の女──長尾景虎とワンナイトとかいう地獄は回避された。

「うーん、…はるのぶ?」

寝ぼけ眼の景虎も起き上がる。

「ここ、どこです?」

そして、俺と同じ疑問を口にしたのだった。


部屋を調べるものの、ドアも窓もなかった。あるのは無機質な壁とデカいベッドだけである。力付くで破壊しようとしても、全力でも傷ひとつつかない。

「なんだよこれは」

サーヴァント歴が俺より長い景虎に聞いてみるが、景虎も首をかしげるばかり。

万事休すかと考えたとそときだった。


ぱんかぱーん


間の抜けたファンファーレと共に、白い壁に文字が浮かび上がる。


『100回イかないと出れない部屋』


「………はあ???」

慌てるよりも怒るよりも、唖然とするのが先だった。意味が分からない。

文字の下には、ご丁寧に100のカウント。

いや、本当に何だこれ。

「うーん、これは、セッしないと出られない部屋の亜種でしょうか」

「まずそのセッなんとかは何だ」

「カルデア都市伝説です。サーヴァントを閉じ込める特定の条件を満たさないと出られない部屋が存在するらしいと。代表的なのが、略称セッ部屋」

「頭痛え」

ツッコミが追いつかないので諸々スルーして、最も大切なことだけを訊く。

「どうしたら出られるんだ」

「ですから、条件を満たしたら」

条件。

俺たちは同時に壁の文字を眺めた。

「晴信、イくって何ですか? どこに行けばいいんです?」

「嘘だろ、お前、そこからか」

「あ、よかった。晴信は意味がわかるんですね!」

わかる。わかるが、教えてやれることは何もない。

「詳しくは聖杯ぺディアに聞け。幸い俺たちはサーヴァントで、食事も何も必要ないから、この空間に1週間やそこらいたことろで死にはしない。それぞれ勝手に条件達成するぞ」

「ええー、せっかく晴信がいるのに」

「うるせぇ。なるべく早くこんな所出たいだろ。さっさとやれ」

そう切り捨てると、景虎は不承不承聖杯知識へのアクセスを開始したようだった。



2回ほど抜いて壁のカウントを見ると、98になっていた。

98。俺の2回分しか減っていない。

「お前、ちゃんとやってるか?」

「やってますよ」

快楽に溶けたりは一切していないいつもの通りの声が返ってきた。

「だが、減ってないじゃねえか」

「ちゃんと調べたようにやってますよ。でも全然気持ちよくないです」

後ろを振り向くと、当世風衣装のファスナーを外し、胸元と下に手を突っ込んだいつもの顔色の景虎がいた。

「良くないか」

「はい、まったく。私、どこか欠陥がありますかね?」

「触り方が悪いんじゃないのか?」

「じゃあ、晴信が手本を見せてくださいよ」

「手本って、お前なあ」

呆れて見せるが、景虎の表情はマジだった。

「私だって、早く出たいんです。こんな狭いとこじゃ、川中島もできません」

「仕方ないな……」

効率よくカウントを進めるには、景虎にも頑張ってもらいたい。そのためにはこいつに達する感覚を知ってもらうしかない。これは必要な犠牲なのだ。

「こっち来い」

のこのこと寄ってきた景虎のショートパンツをずり下げて、ぴっちり閉じた女陰を見る。

「そんなまじまじと見ないでくださいよ」

「観察しないと始まらないだろ」

ものは試しと、指を伸ばしてそこに触れる。

「ひゃっ?」

指がそこに着地しただけで、景虎が鳴いた。

「……あ?」

つぷりと割れ目の中に指を入れる。

「んぁっ!」

ビクリと腰を震わせた景虎の真っ白だった頬が、どんどん紅潮していく。

指先はあっという間に濡れて、ほんの少し動かしただけでもくちゅくちゅと音がする。

「むちゃくちゃ濡れてるぞ?」

「さっきまでは全然…んっ、晴信が触ってからですよっ」

とろんも潤んだ目に睨まれて、丹田に熱が灯る。2回抜いて賢者タイムじゃなきゃ危ないところだった。

「この調子で自分で触ってみろよ」

がばっと両足を開かせて、景虎自身の手をそこに触れさせる。その上から、俺も手を添えた。

「こ……うですか?」

おそるおそるといったふうに、景虎の指が動き出す。

けれども、さっき一瞬で蕩けた顔は、むしろ徐々に平静に戻っていく。

「全然ダメです」

「みたいだな。もう一回触るぞ?」

先程と同じように指で触れてみる。

「んひゃうっ!?」

よほど刺激が強かったのか、景虎の顔は先程よりも真っ赤になっている。

「今の声は何です?」

「いや……気にするな」

そうとしか言いようがない。

景虎は、自分でも自分の反応がよくわかっていないのだろう。まさか俺の指が触れただけで気持ち良くなったとは理解できないのだ。

これが気持ちいいということなのだと刻み込むまで何度でも弄ってやりたくなるが、これはあくまで脱出のためだ。自分の邪な欲求は抑えつけることにする。

「まあ……いいか」

指先で感じるしとどに濡れたそこは熱く溶けそうで、少しなぞっただけでも、グチュグチュと溢れた蜜がシーツに染みを作った。

「すごいな」

少し触っただけなのにこの有様である。

「なんっで……?」

涙目で蕩けきった景虎が困惑の声をもらす。

それもそうだろう。

俺だって、こうも感度がいい相手は、それなりに遊んだ生前通して一度も出会ったことがない。

「なんでだろうなあ」

考えることを放棄して、指を動かす。

「あ、ん……っ」

それが気持ちいいのか、指の腹がひだを擦る度に腰を跳ねさせる。

その反応に俺は完全に欲を刺激されてしまった。

「少し指入れてみるぞ」

狭い入り口に爪の先だけを入れてみると、入り口がきゅっと締め付けてくる。

「んんっ……」

苦痛の声は上がっていないことを確認してから、ゆっくりと指を埋めていく。

熱くてトロけた胎内はきゅうきゅうと俺の指を包み込んで離そうとしない。

むしろ足りないとばかりにさらに奥へと導こうとすらしている。

「動かすぞ」

出し入れしてみると、もっと大きな反応が返る。

「やっ!そこ、やぁあ!」

「……ここか?」

腹側をゆるゆると撫でると、面白いように身体が跳ねた。

「やっ!ダメッ!!なんかくるぅ……!!」

びくびくと身体をのけぞらせながら、景虎は絶頂を迎えたようだった。

力が抜けて荒い息を吐く姿までしっかり視認してから、カウントを確認する。97になっていた。

「こうやって、やるんだよ」

指を引き抜くと、その刺激にすら絶頂の余韻を引きずり、景虎は意味のない言葉を漏らす。

「ひっ……うぅ」

未だ陶酔から降りてくることができないでいる景虎を眺めて、あの軍神にこんな顔をさせたのは俺なのだと、えもいわれぬ恍惚を感じた。

「まだ、練習がいるだろ?」

「はい…もっと、して、ください…」

承諾に滾る。

この様子を目の当たりにして耐えられるほど枯れてはいないのだ。

張り詰めて勃ち上がったものを蕩けきった蜜壺に押し当てると、絶頂の波が去っていない身体はそれだけでまた痙攣しはじめる。これで処女だというのだから、恐れ入る。

「いれるぞ」

ぐっと腰を押し進める。十分過ぎるほどに濡れたそこは、それでも異物の侵入を拒んでぎゅうっと締め付けてくる。狭い胎内は、これまでのどんな相手よりも情熱的だった。

「く……」

「苦しいか?」

「問題、ありません」

気丈な生娘は、苦痛と快楽の混じった声を絞り出した。

「無理すんな」

ゆっくり腰を動かすと、ひだがまとわりつくように肉茎を舐め上げる。

それだけでもう果てそうに気持ちいい。この娘の身体には男を狂わす魔性が宿っているのではないかとすら感じる。

「……っあ!!」

俺の動きに合わせて、景虎の腰が揺らめく。その度に長い髪がぱさぱさと散った。少しずつ角度を変えながら擦り上げるたびに、あがる嬌声も反応が変わっていく。

「あ…っ、んぅ」

景虎は未知の感覚に怯えながらもその甘さに身を委ね始めていた。

「はるのぶぅ……」

俺を呼ぶ声が、明らかに違う。甘く絡みつくような響きだ。俺のも男冥利につきるというものだ。

「わかった」

唇を塞ぐと、一層中の締め付けが強くなった。こちらの歯列をなぞろうとする舌を絡めとり、口を吸い合う。

「ん……む、はぁっ」

口内にまで性感帯があるらしい景虎の口は柔らかく熱く俺を酔わせた。一度味わってしまえばもう理性では抗えない麻薬のようだ。頭がくらりとする。

「ん……ぅ」

粘膜同士が絡み合うのは、男根で女の胎内をかき回すより生々しく本能を引きずり出されるような感覚だ。触れ合った唇も、身体も熱くてこのままどろどろに蕩けてしまいそうだ。

口内も犯しながら子宮口を執拗に責めると、また果ててしまったのか膣内が今までになく蠢動した。俺のものを搾り取ろうとするように締めつけて離さない。

この名器を思う存分蹂躙できたならどれだけ気持ちがいいだろう。そして今、俺は大義名分を以てそれを実行できる立場にいるのだ。

「はあ……っ」

唇を離すと、どちらのものともつかない唾液が糸を引いた。それすらも今は興奮材料だ。



俺の頭も体もとっくにおかしくなりつつあった。もっと気持ち良くなりたいし、この快楽の源を貪りたいという気持ちばかりが募る。そしてそれは女の方も同じなようだった。

「あぅ……んぅ……」

息を荒くしながらも、瞳にはうっすらと情欲の光が灯り始めていた。大きく上下する胸から汗ばんだ胸の谷間に滴る雫が、乱れた装束の隙間から艶かしく覗いている。

「いい眺めだな」

俺の言葉に反応してきゅうと入り口を締め付けてくるあたり、この女は天性の煽り上手であるのだろう。本人は無自覚なところがまたいやらしい。

「……あぅ、はるのぶの、せいです…」

もう我慢も限界だった。激しい律動を開始すると、たちまち悲鳴のような嬌声が上がる。

「ひっ!あぁっ!」

そのまま容赦なく突き上げる度に上がる声が心地いい。この声を出させているのが自分だと思うだけで興奮が高まっていく。

「あっ、んんっ」

何度も子宮口を突き上げるうちにまた達してしまったらしい。その瞬間に一層強く締め付けられて俺も限界を迎える。一際深く腰を押し入れて子種をぶちまけた。

どくりどくりと脈打つ男根を胎内は逃すまいと締め上げてくる。それをやっているのが景虎だと思えば、それだけで愛おしさを感じられた。

「悪いが、まだだぞ」

1回、自慰から数えれば3回出したにも関わらず、俺のモノは一向に萎える様子はなかった。

「はぁ、は……もっかい、するんですか?」

「まだこんなもんじゃないだろ」

一度引き抜いてから、今度は寝転がった景虎の上に覆い被さるような形になる。いわゆる種付けプレスの姿勢だ。体重をかけて上から何度も腰を振ると先程とは当たる位置が変わってまた違った快楽が生まれる。奥深くまで届いている感覚にお互い限界が近いことを悟っていた。

「やあっ!ふかいっ!」

深いところを犯されながら胸の先端を触ってやると、景虎はまた絶頂に達したようだった。ぎゅうぎゅうと締めあげられてこちらもどんどん高みへと近づいていく。

「んっ……んぅっ!」

呼吸もままならないほどに唇を重ね合わせる。触れ合った粘膜から溶けて混じり合っていくような錯覚すら覚えた。もう何も考えられない。ただ本能の赴くままに快楽を追い求めて腰を動かすだけだ。

「まだまだ、全身で気持ち良くなろうな?」

笑いかけたつもりだが、笑えているのかは分からない。

壁のカウントを確認することも忘れて、俺は景虎を貪り続けた。


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