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コスプレどうよな🏔×🛷〜コスチューム選び編〜

※コスプレはしてません

「なあなあウシュバ、これ見ろよ！ここコスプレ衣装貸出してるんだって！」

　にっこにこでいろいろな衣装が載っているカタログを見せてくるオーソに、そりゃまああるだろうな、となんとも薄味な感想を抱いたウシュバ。それでもそれを口に出すこともせず、ふーんどれどれ？と乗ってみた。ベッドの上にうつ伏せで寝っ転がりながらカタログ冊子のページをめくるオーソの上から覗き込む。

「ナースにメイドにセーラー服…魔法少女にバニーガール？色々あるもんだな〜。試しにレンタルしてみる？」

「お前が着られるサイズあるの？」

「と、思うだろ？おじいちゃんに聞いてみたら色々サイズあるって。俺らくらいなら全然普通だってさ！」

　アハハと笑い飛ばすオーソ。ああこれは絶対おもしろ半分のネタで言っているんだな。

　ウシュバはオーソのまだ湿っぽい髪を手櫛で梳かすように撫でながら、はたと気づいた。俺ら？

「え、まさか俺も着る想定？」

「そりゃそうだろ」

「どんな地獄絵図だよ」

「どれ着たい？俺が選んでやろうか。チャイナドレスとかアイドル衣装とかもある〜」

「どうせ全部脱ぐのに…わざわざ着替えるのめんどくさくないか？」

「情緒が無いなお前は」

　ラブホテルのコスチュームプレイで情緒とか言われても。いや確かに情緒か？情緒………なのか…？うーん、と想像してみる。例えばオーソの……チャイナドレス…いや…メイド服とか…？

　………………。

　………………………。

　………………………………。

　悪くないかもしれないな。ウシュバは口角が上がるのを自覚する。

「決めた。メイド服」

「ウシュバはメイド服着たいの？」

「いやお前に着せたいの」

「そっちか〜。なに、俺にミニスカメイドでお帰りなさいませご主人様♡ってやってもらいたいの？まあ普通にやってやるけどアッハハハ」

「ミニじゃなくてロング。露出ほぼない清楚なやつ」

「え、そんな衣装カタログに無いけど…」

　ずい、とオーソの上に覆いかぶさるように体勢を変える。後頭部にすんと鼻を近づけ、毛先をいじってやる。

「そんで下着が」

「下着！？」

「めっっっっちゃくちゃエロいやつ。脱がしたらうわっやば！ってなるような」

「まっ、待て待て待てまてなになんの話！？俺になんかそういうフェチを見出すな！」

「無理言うな。俺、お前のことエロい目で見てるもん」

「んえっ」

　なんなんだろうなこの反応。一回ヤってるし今ラブホに来てるってのに。

　ウシュバはオーソの耳をすりすりと優しく撫でる。

「……っ」

「いーよ、次はコスプレしような♡」

「んおりゃあっ！」

　オーソは力づくて上半身を起こしウシュバを退ける。その上ゴロンゴロンとベッドの上を転がって移動して距離をとってきた。

「そんな衣装無いからな！お前の妄想でしかないから！」

「お前にぴったり似合うメイド服と下着オーダーメイドしてやるよ。俺、コレあるから」

「オイルマネーの無駄遣いすんな！なんなんだよもう！ちょっとバカ話してバカ笑いするくらいのネタじゃん！」

　カタログ冊子で顔を隠しながら叫ぶオーソ。

　こいつはほんとっとに。ちょっと呆れるけど微笑ましくもある。

「オーソ」

　少しだけオーソに近づく。警戒したオーソがついにベッドから転げ落ちた。ついでにテーブルに頭をぶつけてその上にあった「おもちゃ箱」までひっくり返す。あけっぴろげにそういうモノを置いている部屋だった。

「いってぇ…」

　しばらくそういうの使う気ないからしまっといていいのに。ウシュバは笑った。

「お前がさ」

　今度はウシュバがベッドにうつ伏せに寝っ転がる。頬杖をついてオーソを見下ろした。

「俺と今までみたいにバカなことしてバカ話してバカ笑いしたいってのもわかるよ。俺もそうだし」

　オーソはバツが悪そうに目を逸らしている。

「でもTPOは弁えてるつもりなんだよな俺。ここがどこだか言ってごらん」

「…………おじいちゃんのラブホ」

「そう。お前とこんなところに来て、お前のことエロい目で見ないわけにいかないだろ」

　ちょいちょい、と手招きをする。案外素直なもので、おずおずと近づいてくるオーソ。

「まあお前が今日そういう気分じゃないってんなら俺は手を出さないけど」

　ここまで来てそれはそれで辛いものはあるが、ヤりたくないのにヤらされるのは追い切りしたくないのにさせられるのにちょっと似ている気がするので。

「どうする？オーソリティくんよ」

　オーソが乗り気じゃないなら手を出さない。それがマイルールだった。

「…………その気がないならお前とこんなところに来るわけないだろ」

　よいしょ、とベッドの上に戻り、ウシュバの隣に胡座をかいて座る。

　顔は真っ赤だった。

「俺だって……若干、割と、結構、お前のことえっちな目で見てるし…………」

「まじで」

「お前と、やるのも、吝かではございませんし……」

　指をいじいじいじいじ。

「お前のえっち、気持ちよかったから……」

「メイド服のオーダーメイドと言ってもどこでそういうのやるんだろうなあ」

「あ、それ本気だったんだ」

「本気も本気大本気。うーんこういうの親父なら知ってるかな」

「……知ってそうとも知らなさそうとも思えるけど知ってたらと思うとちょっと嫌だから聞かないで」

「確かに」

　二人で大笑いした。