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わ

ん

く

っ

し

ょ

ん

↓

「VIPルーム泊まりでお願いします」

ああ、なるほど確かに顔と声、名前通りの爽やかさがあるな。その割には服の上からも分かるくらいに筋肉ゴツイが。

そう思いながらステイゴールドは部屋の空きを確認し鍵を取る。

「ほらよ」

「ありがとうございます」

会計のためレモンポップが取り出した財布はVIPルームの値段よりもまあ高いだろう、という雰囲気がある革張りのもの。

「……どうも。お祖父さま、直接の挨拶がここになるのは私も避けたかったんですけど」

レモンポップに対して驚いた顔を見せ、それからそう言ったのはギルデッドミラー。まあデキてても不思議じゃあ無いなと邪推をしつつ、その様子からどの部屋を使うかは伝えられていなかったのだろうことが察せられた。強く止めないあたり慣れているのだろうが。

「いや、こっちこそ見舞い行けなくて悪かったな。面識が無いのに行ってもいいものか迷っちまった」

「ああ……でもたまにお父さんを介して色々くれたじゃないですか。あの桃美味しかったですよ」

「……さてな」

そんな様子にレモンポップはひたすらににっこりと笑っているのだが、まあ相も変わらず爽やかだこと。此処には到底似つかわしくない。

ああ……なんか知り合いにも居たな、こういうやつ。どこでも柔和な微笑みを崩さない、いささか金銭感覚のズレた同期のメジロ(春天勝った方)を思い出しながら。

しかしまあ割とこちらも金銭感覚がズレているようで。初回でVIPルームなんてそうは無い。

「……きみ、お金の使いどころって考えたことある？」

「ありますよ。僕は先輩のためなら持ちうる人脈財力すべて使います」

「考えたことないんだね、分かった」

札を揃えトレーに出すその仕草ですら品がある。​エレベーターに続く廊下に消えていく姿を見て、ふとある思考がステイゴールドの中に浮かぶ───​────そういやあいつロイヤルブルーだったな、と。

＊

「​─────っくしゅ、」

「何、風邪？」

「いや、悪寒が……」

「そう、お大事にね」

「だから風邪じゃないですって」

「そう。ナース服でも着てあげようかと思ったのに」

「風邪かもしれないです」

「メイド服は好みじゃないんだ」

「うーん、好みというか……実家にメイドがいるので、どうにも」

「すごい。お金持ちすごい」

「その点コスプレ衣装のナース服っていいですよね。現実にその格好で働いてる人いないので」

「ミニスカメイドにも同じことが言えると思うよ」

「……VIPルームまで来てやることがコスプレってどうだったの」

「良いと思いますけど」

「私はきみのよくない扉を開かせてしまった気がするんだよね」

「はは。…………否定はしません」

「ほらあ……」