🎾🐬

🎾🐬



言い出しっぺなので書きます

短い、拙いのでご容赦を



__________________


『サプライズ・キス』



夜9時。


カタンという音に振り向くと、ベルがいつも使っているシャーペンが落ちていた。


ベルは卓上ライトが光る下で、すうすうと寝息を立てて机に突っ伏している。


開きっぱなしのノートを覗くと、そこにはびっしりと書き込みがしてあった。


授業の復習の分、さらに自分で解いた問題、間違えたところの解き直し……


真面目で頑張り屋なベルらしい。


目の下にクマが出ても、こうやって寝てしまうくらい疲れてても、努力を惜しむことは絶対にしない。


そんなベルだから、


「すき、なんだよなあ……」


うっかり声に出てしまった。


慌てて口元を押さえてベルの方を見ると、気づいた様子はない。


そういえば、ベルはこういう時、前髪を結っている。


イルカの潮みたいで、とっても可愛い。


そうっと髪の毛を撫でると、耳がくすぐったそうにぴこりと動く。


……キス、したら怒るかなあ。


がら空きのおでこに、触れたくなってしまって。


そっと、顔を近づけた時。


ぱちっと開かれた目と目があった。


ベルの透き通ったシトリンのような瞳に、自分のアメジスト色の瞳が映る。


何もできずに2秒ほど見つめていると、ベルは顔を真っ赤に染めて机に突っ伏した。


まだまだこういうのには慣れないらしい。


付き合ってから、かれこれ一年くらいは経った気がするけれど。


「〜〜〜っ、急になに」


その答えは、返さなかった。


かわりに、おでこに軽くキスをした。


「いつも頑張ってるから。お疲れ様。」


頬杖をついてそう言うと、ベルはぷし、とキャパオーバーしていた。


そんなところも、好きなのだけど。


頑張る君に、ほんのささやかなサプライズ・キスを。



Report Page