ゴルロゴ

ゴルロゴ

※アプゴル匂わせ描写有


(ほんっと綺麗な人だよなぁ...)

そんな状況じゃないと思いつつ、ロゴタイプは目の前の男に見惚れていた。

エメラルドの瞳には星が浮かび、その瞳の周りには、常人よりも長いであろう睫毛に縁取られている。くっきりと平行二重で有りながら、垂れた目が可愛らしく優しそうな印象。

実際は、そうでもないのだがロゴタイプにとっては見た目通りの優しい先輩である。

(...いや、そうじゃなくて!!!)

ロゴタイプは今、そんな男でも見惚れるような一つばかり年上の二冠馬...ゴールドシップに壁ドンをされていた。今や少女漫画では定番の壁ドンである。

「好きな人、ね」

ゴールドシップが口を開いた。その声色は少し呆れたような、面白がっているようにもとれる。

キッカケ、と言えるのかはロゴタイプには分からないが壁に追いやられる直前に発した言葉は

『ゴルシ先輩、好きな人いなんですか?』

(地雷だったか...?くっそあいつら気になったからって...!!)

本人にとっての地雷だったか、そう思案するがゴールドシップの声色も、眼も特段怒っている様子はない。懐に入れた馬には砂糖のように甘いが、敵に回せば鬼のように怖い先輩である。出来ればそんなことは避けたい。

頭の中で思考を整えようとしていると、先にゴールドシップが笑みを携え

「誰かに、言われたの?」

至極、楽しそうにこぼした。

あ、これからかってるだけだ。そう認識したロゴタイプは冷静さを取り戻した。そうだ、この先輩は人を揶揄うのが半ば趣味みたいなもんだったな...そう考えをまとめると、「好きな人」について問いた理由を話すべく、前を向いた。

「同期とそういう話になって。今日あうな聞いてこいって言われまして。」

やはり、といった顔をしながら考え込むゴールドシップ。

(誰が言ったか気になるのかな。)

その誰か、を言っていいのか脳内会議を始めるロゴタイプ。聞いて欲しいと頼んできたのはアップトゥデイトだった。同世代のダービー馬キズナの幼馴染にあたる男だ。関わることが薄いだろうと思っていたが、キズナを通して仲良くなった良き友人である。その彼が珍しく、焦ったよに頼んできたのが今回のことだ。

(アップの頼みだから聞いたけど、どうしたんだろ。ソダシちゃんに頼まれたのかな、あの子先輩に懐いてるみたいだし。)

さすがはロゴタイプ、自分にも他馬にも鈍ちんを発揮してる。

「うーん、まぁ年上の恋愛事情は知りたくなるよね。ってことで教えてあげよう!」

幸い、誰が聞いてきたかは問われないようだ。安心したようにロゴタイプは息を吐く。エピファネイアやキズナであったら問題ないが、流石にアップだとバラすのは憚れたのが本心であった。

「先輩の好きな人...!!」

何より、ロゴタイプ本人も気になっていた。古くから続く名家の跡取り息子。優れた容姿に実績。選り取り見取りであろう先輩の好きな人。気にならないやつの方が少ない。決してただの好奇心というわけではない。そう言い聞かせつつ、ゴールドシップの言葉を待つ。

「俺の、好きな人...ね」

妖艶な笑みを浮かべ、ゴールドシップは一気にロゴタイプの耳元へ口を近づける

(...!?え、え、先輩今〝俺〝って)

意図的か否か、二冠馬ゴルシだった頃のの口調に戻し、

「そりゃあ、真面目で、素直な年下だぜ?」

(...!!ちっっかい!!いい匂いする...)

焦らすように、

「特定の馬、というと...」

言った。


「ふふ、お前だよ♡」

「...なぁんてな?」




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