kくうりくでーと

kくうりくでーと


「……ねぇ、くうちゃん?どうしたの?」


「……別に」


そういってるけれど、くうちゃんが纏う雰囲気は、明らかに、何でもない。というものではない。


私は、少しだけ目を閉じて、最近あったことを思い返し始める。


誕生日、は、互いに盛大に祝った。

その時はしっかりと、デートもしていたしケーキの味だって覚えている。


仕事が忙しかった、というわけでもない。

勿論、風紀委員としての空ちゃんはいつも通りだからくうちゃんはそうじゃないけれど。

私たち便利屋の仕事は悲しいかな、いつも通りの閑古鳥が鳴いている状況。


たまに、くうちゃんを経由して仕事を委託されることは出たし、彼女が依頼に参加する……。

勿論、風紀として許される範囲のものに限る、けれど。

それを期待し多分、ゲヘナ内での鎮圧、みたいな依頼も増えてはいるけれど、それでも、基本的には日帰りで、今日も、便利屋で二人きり、とは言わないまでも、一緒にいるわけで……。

離れていたのなんてそれこそ、くうちゃんが修学旅行に行ってたことくらい……。


「……旅行、行きましょうか」


「ほんと?」


そういったとたん、くうちゃんの顔がぱぁっと輝く。


確かに、私たちはゲヘナ放校されてるから、修学旅行は参加できなかった。

そう長い間じゃなかったとはいえ、寂しかったのだろう。


「でも、どこ行きましょうか」


私の依頼に関しては、まぁ、別にコンビニじゃないんだから、その日を空ければいいんだけれど。

問題は場所だ。


トリニティは、いけないことはないけれど周りからの視線が気になるだろうし……。

アビドスは、行くのには慣れているけれど観光には、流石に無理がある。


百鬼夜行は、この前行ったわけだし……。


「……そうだ!ハイランダー!」


「?でも、学園はないわよ?」


「そうじゃなくって、車窓の旅よ!」


昔、テレビでやっていた放送を思い出す。


「電車に揺られて、外の景色を見ながら、気になったところに降りて……。一緒の駅弁食べたり。寝台列車もいいわね」


「……うん、じゃあ。いつにしよう?」


「今からよ!」


「……それじゃあ、ただのデートじゃない?でも……」


とっても楽しそう。


その返事に、私は、みんなへの書置きも後にしてくうちゃんの手を引いて、外へと飛び出した

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