🦐を監禁する📞

「ぼくにはコンちゃんしかいない」なんてセリフをあの人が吐いたのは、一体いつだったかな。あのときの僕はそれを愚かにも信じ、近寄ってくるあの人を拒まなかった。

沈んでいるのが自分だなんて夢にも思わずに。

だが、あの人は自由だった。

キズナ先輩やロゴタイプ先輩といったクラシックを分け合ったライバル。

意外とエフ君やテレス、タクトなんかからも。

問題児ではあったが、手のかかる子ほど可愛いということわざがあるように、（彼自身では気づかなかったようだが）好意を抱いていた人は意外といた。そのことが許せなかった。

あの人は嫌がるかもな。寂しがりやだし。でも、僕だって寂しいんですよ？

「エピさん。」

珍しいな、コンちゃんから話しかけてくるなんて

「どうしたの？」

「全部あげます。未来も心も。だから全部ください。」

え？

ガズッ

５０平方メートル程度の部屋。壁はしんどいくらい白い色。じっと眺めていると思考がどんどん奪われていく。窓はカーテン付きのものがいくつかあるが、カーテンの奥にあるものは檻。壁と一体化してしまいそうな色の扉には鍵が無数についている。しかもここから開けることはできない。あと足におもり。

　　ここから想像できるのはたった一つ。・・・監禁されている。最後の記憶はコンちゃんが部屋に入ってきたところ。その記憶と合致する動きでコンちゃんが部屋に入ってくる。

「コンちゃん？！大丈夫？！ここがどこかわかる？！」

「記憶・・・抜けたんですか？まあいいや。僕らはここでずうっと一緒に暮らすんですよ。誰とも会わない。話さない。僕ら二人で世界を完結させるんです。肉も野菜もすぐそこで獲れるんですよ。魚も獲ってきます。毎日僕がご飯作ってあげますよ。うれしいでしょ？」

・・・・・・・・？

「・・・・・何を・・・・言って・・・いるんだ・・・？」

わけがわからない。これは本当にぼくの大好きなあのコンちゃんか？呪いがコンちゃんの姿をかたどったようにも思える。

「どうしたんだよ！コンちゃん！冗談か・・・そうだ！夢だこれは！じゃあ起きてコンちゃんに変な夢見ちゃったって謝らなきゃ！」

バスッ

「やめてください・・・怪我しちゃいますよ？」

　　壁に頭を打ち付けようとしたらコンちゃんの手が素早く伸びて僕の頭を遮った。

・・・この手のぬくもりもにおいも、この子をコントレイルだって叫んでる。やっぱりこれは・・・現実なのか・・・？

何でコンちゃんがこうなっちゃったんだ！きっと原因はぼくにある！ぼくは別にコンちゃんになら何されたっていい！でも・・・コンちゃんをぼくなんかと二人ボッチにしちゃいけない！コンちゃんはタクトみたいな眩しい子と一緒にいるべきなんだ！

　コンちゃんを元に戻して見せる！先輩として同室として、コンちゃんのことが大好きな一人として！