『USAの決意』
俺は決意した。
高校デビューも兼ねて金髪から卒業する——
散華で大和魂を失った俺にとってフロンティアスピリッツは——金髪は俺にとってのidentityだった。
だが、いつまでたっても俺はそれに頼りきりではいけない。
まあ、その……美森も黒髪の俺を見たいとそれとなく言ってきてるしな……。
あいつがhappyになるなら、まあ黒髪に戻すのも悪くないかもしれない。
……いや、まて俺。そんな簡単にheartの拠り所を捨ててもいいのか。
今まで頼りに頼っていて、必要無くなったら捨てるなんてそれは大和魂の流儀に反するんじゃないのか……
だったら俺が取るべき道は——
—————
「hey 美森。今日から俺たちも高校生だな。いやー中学生活もあっという間だったな!」
「っ!ワイ君!!その髪……!」
美森が俺の頭を見て驚いている。
まあ久しぶりだもんな、前髪が黒髪の俺って……。
「どうだ美森似合ってるか?このhairにするのは緊張したんだけどよ、やっぱり俺ももう高校生になるんだし覚悟決めないといけないよなって思ったんだよ」
「ええ……ええ似合ってるわワイ君!」
まさか美森がこんなに喜んでくれるとは思わなかったな。
この髪にして本当に良かった。
「いやー苦労したんだぜーbackだけ金に染めるの」
「うん……ん”ん”?」
「まあ、でもお前が喜んでくれるんならこの髪にして……美森?どうした?」
「ワイ君の……ワイ君の馬鹿———ッ!!!」
—————
「って言って美森のやつ怒って俺を置いて先行っちまったんだよ。良いideaだと思ったんだけどなー」
「うーん、何故なんでしょうね?」
「あはは……流石にそれは鈍感すぎるかなUSA」
「東郷のやつ……可哀そうに……」
同じクラスになった大赦ワイと首を捻っていると、ゆゆワイと犬ワイが天井を仰いで何か言っていた気がするが悩む俺の耳には届かなかった。
——結果として、俺の高校デビューはクラスのほとんどに受け入れられることとなった。
髪が派手だの、目立っているだの、不良かと思っただの最初は色々言われたがなんだかんだ真面目でとっつきやすいとの事だった。
まあ、一番受け入れて欲しいやつがそうじゃないってことなんだが……
「美森!おい美森!」
「……何かしらワイ君」
「まだ怒ってるのか?」
「怒ってないわ……本当よ」
なら何でそんな悲しそうな顔するんだよ……
俺が声をかけてもつれない態度で目も碌に合わせやしない。
美森はあの時怒っていたのに次に会った時には怒気はなく、どちらかというと落ち込んでいるというか……。
「ねぇワイ君」
「なんだ?」
「良かったわね……受け入れられて。女子の間でも面白い髪って人気よ」
「Amusingっておいおい……」
良かったっていう割には全然嬉しそうじゃねえじゃねえか。
っていうかもしかして美森……ツートンカラーの俺が褒められてるから拗ねてるのか?
自分が好きな黒髪の俺じゃないから……
「あのさ、美森……俺はやっぱ金髪をperfectに捨てるのは今はまだ無理だ」
「うん……」
「でもな……お前が黒髪の俺を見たいって言うならその……髪整えるのお前がやってくれないか?」
「……え?」
「ほら、お前がやってくれるんなら染める前の黒髪の俺のformも見れるだろ。正直言って見られるのすごい恥ずかしいんだからな。お前だから見せるんだぞ」
「ワイ君……良いの?」
「良いって言ってるだろ。ただしcoolにしてくれよ」
「ええ、勿論よ」
そう言ってようやく見せた美森の笑顔は、俺が最も見たかったものに相違なくて——俺のheartは高鳴るのだった。
——こうして機嫌の直った美森は俺の髪を整えてくれるようになったのだが、事あるごとに金髪の髪の量を減らそうとして俺とのbattleが始まるのだがそれはまた別のstoryだ。