8・菖蒲の花よ、艶やかに

8・菖蒲の花よ、艶やかに


30日目

「では、行ってくる。エクレシア」

フルルドリスは簡素まとめた鞄を兵士に持たせると、振り返り見送りに来た少女に話しかける。

「姉さま。くれぐれもお気をつけて…」

「そんなに心配する必要はない。協会領の一つで少し兵たちの指導をしてくるだけさ」

エクレシアを撫でるフルルドリスの微笑みは優しく、少女の心をいくらか和らげた。

信徒らに見送られながら、フルルドリスは竜車へと歩いていく。一頭の地竜に牽かれた車は小さな家ほどの大きさがあり、これに乗り移動する要人は道中を快適に過ごすことができた。

着々と出立の準備を進める一行を見て、エクレシアは胸中に残る一抹の不安を振り払う。フルルドリスは普段の様子に戻った。先日体調を崩していたのも、強靭な肉体を持つ彼女といえどあり得ないことではない。大丈夫、きっと10日後にはまた元気な姿で戻ってきてくれる。あの時見たものは忘れよう。


フルルドリスが竜車へ入ると、一人の老人が出迎えた。

「やぁ、聖女フルルドリス。此度の兵士教導の務め、よろしく頼みますよ」

「そんなにかしこまった言い方をしないでください…」

フルルドリスは会話もそこそこに侯爵へとしなだれかかる。頬はうっすらと色づき、吐息は熱を帯びている。先ほどのエクレシアへと向けた凛々しい聖女の顔は一瞬にして消え、男を求める本能をさらけ出した艶めいた女の顔になっていた。

「仕方のない子だ…。薬は飲んでいたかね?」

侯爵の問いが終わる前に、フルルドリスは空になった薬入れを手渡した。以前侯爵から与えられたそれには、定期的に服用することで、その間子供をできにくくする薬が入っていた。

フルルドリスは侯爵が薬入れを確認したとわかると、その唇へと吸い付く。多少の発散こそあれど、10日間疼き続けた体はもはや我慢の限界だった。

「んむ……くちゅ……っ、んんっ……」

舌を絡め唾液を味わう。お互いの体液が混ざり合う感触は体を昂らせ、これからの情事に備えて下腹部を熱く滾らせた。おもむろにスカートの中に差し込まれた侯爵の手は、フルルドリスの秘裂に触れる。そこはすでに満々と蜜をたたえており、刺激を与える指を自ら飲み込み媚肉を絡みつかせた。

フルルドリスは舌と陰部からの快感とこれからの甘い日々への期待に胸を高鳴らせ、出立を告げる鐘の音すら耳に届いていなかった。


竜車の二階にある乗客用の部屋の一つには、ベッドが備え付けられている。普段は一人用の大きさまで折りたためるが、今は数人が横になれるほどに大きく広げられていた。

その傍らで、フルルドリスはベッドに腰掛ける侯爵の前に跪いている。身につけているのは薄紫のベビードール。薄絹は彼女の身体の輪郭をぼかしているが、それがかえって艶美な雰囲気を醸し出している。

フルルドリスは侯爵の下着からうやうやしく性器を取り出す。ずるりと引きずり出されたそれは半勃ちでありながら手に余るほどの長さがあり、血液が満ちれば女の最奥を容易く貫く肉杭となるだろうことを容易に想像させる。フルルドリスはほぅ、とうっとりとため息をつくと、その肉棒に口づけし、舌を這わせる。

「む……。これ、汚いからやめなさい…」

「んちゅ……。いつもしていただいているので……」

肉茎に頬擦りし、ねっとりと舐め上げる。先端を口に含むとコーティングするように唾液をまぶす。唾液で滑る肉棒に細い指を這わせると、ぐちゅぐちゅと音を立ててしごき上げる。今まで自らの媚肉を抉り絶頂を与えてきたグロテスクな肉塊への奉仕は、愛情すら感じられるような念入りなものだった。

「う、むぅ……」

初めてとは思えないほどの愛撫に、たまらず侯爵は呻く。フルルドリスは舌を肉棒から離すと、自分の奉仕の成果を満足げに眺めた。興奮から海綿体に充填された血液は肉棒全体を固く屹立させ、臨戦態勢に移行していた。

フルルドリスは腰掛ける侯爵と抱き合うようにベッドに乗ると、ゆっくりと肉棒を蜜壺へゆっくりと受け入れていく。

「あっ……はあああっ……」

肉棒が媚肉をかきわけてみっちりと体内を埋め尽くしていく久々の感触に、フルルドリスは顔を蕩けさせる。肉棒をすべて飲み込む前に先端が最奥に突き刺さり、その刺激に媚肉全体がきゅうと肉棒へと絡みついた。

「今、軽くイッたのかな?」

「っ……!だって……、久しぶりですから……」

恥ずかしそうに頬を赤らめるフルルドリスだったが、その腰はゆっくりとグラインドしており、軽い絶頂では足りないと言わんばかりに快楽を貪欲に貪っていた。


「あっ!こうっ、しゃ…っ!はげしっ、はああっ!」

「ははっ、私のいうことを聞かなかったお仕置きだよ」

侯爵は柔らかな尻たぶを手で支えると、フルルドリスの上下の動きにさらに勢いを加える。長くなったストロークはずぶり、ずぶりと肉棒を飲み込んでは吐き出し、カリに掻き出された愛液はこぽりと結合部からあふれ出してお互いの肌にてりを加える。

「むぅ……久しぶりだからあまり長く持たないな。早めに出すとしよう」

「なかっ!なかにっ、くだっ!さっああっ!」

フルルドリスは絶対に離れたくないと言わんばかりに侯爵の体に抱き着き、体を密着させた。あの感覚をもう一度味わいたい。男と女が一つに溶け合う法悦を、もう一度。

侯爵もスパートをかけ、フルルドリスの敏感な部分を擦りたてると、最後に最奥へと亀頭をおしつけて精を放った。

どくっ!びゅるるっっ!

「~~~~~~~~っ!」

熱い粘液が最奥へと吐き出される感覚。腹の中を焼かれるその感触にフルルドリスは声にならない叫びをあげる。精を受ける女の悦びを再び味わった身体は快感に震え、もっと欲しいと肉棒を締め付けて最後の一滴まで搾り上げようとする。

侯爵はひとしきり絶頂して弛緩したフルルドリスの体をベッドに寝かせる。ずるりと抜き出た肉棒は女を悦楽の淵へと沈めた証明たる牝汁で全体をてらてらと光らせ、射精の余韻で脈動しながらも固さを失っていない。肉壺は加え込んでいたものがなくなりぽっかりと口をあけているが、まだ物足りなさげにひくひくと震えている。やがて、中からどろりと白濁がこぼれだした。

まだ息を荒くしているフルルドリスだったが、その表情は蕩けて快楽に浸る様を隠そうともしていない。侯爵はそんな彼女の腹部を手で撫でながら、そっと耳打ちする。

「今日は、ここが一杯になるまで注いであげよう」

フルルドリスは、びくりと体を震わせる。まだ昼間である。この旅が終わるまでに何度まぐわい、何度精をその身に受けることになるだろうか。そんな想像をするだけで、彼女の心臓はどきどきと高鳴り女陰は熱く疼くのだった。


「ふぅ……」

侯爵は椅子に腰かけると、薬入れから一粒の丸薬を出し、水と共に流し込む。とっくにピークを過ぎた体はかつての体力も精力もないため、若いフルルドリスに付き合うためには多少薬の力を借りる必要があった。部屋のベッドを見ると、目を細める。彼女も満足してくれただろう。

ベッドに横たわる女は、体をしどけなく広げて気絶したかのように眠っている。全身は汗に塗れ、乱れた呼吸で豊かな乳房が上下に揺れていた。むき出しになった陰部からは何度も流し込まれた精があふれ出し、シーツに染みをつくる。その顔は疲弊の色が濃いが、どこか幸せそうにほころんでいた。

窓からは夕日が差し込み、部屋を橙に染めている。



34日目

三日の旅程を終え目的地の町に到着したフルルドリスは、市民から歓待を受けた。領内の案内や、市民への演説で一日が終わり、侯爵の家で夜を明かす。そして、2日目のこの日は兵士たちへの教導が主な仕事である。だが、フルルドリスは渋面を浮かべていた。

「あの……っ、侯爵……この服は……」

彼女が着ているのは、聖女に着ることが許される高級な白服である。だが、その服は長身の彼女が普段来ているような成人女性のためのものではなく、少女が着るためのものであった。スカートは活動的な短いものであり、むっちりとした太腿が半分ほど見えている。胸元や肩回りには布はなく、艶めかしい鎖骨とすべやかな腋窩が露わになっている。加えて、そのサイズは彼女の女らしい起伏のある体を収めているとはいいがたかった。少女が着れば活動的で華やかなほほえましいものに映るかもしれないが、胸元の豊満な果実はみっちりと布を押し上げてはち切れんばかりになっており、怪しげな色気を醸し出している。

「ああ、衣装入れから出てきたものを仕立て直したんだ。よく似合っているよ」

「似合うって……」

微笑みながら賛辞を紡ぐ侯爵にフルルドリスは頬を赤らめるが、それはほっめられたことによる喜びなのか、はたまた体のラインが隠せない服を着ることへの羞恥なのか曖昧だった。

「あとは、私からもちょっとしたおまけをあげよう」

そんな彼女に、侯爵は懐に手を入れ、あるものを取り出した。

「……?」


「……以上のことから、魔獣の活動範囲には……」

数十人の兵が集まる講堂で、フルルドリスは領内の警備に関する講義をおこなっている。彼女の服装は少々派手と言えるが、彼らはこれまで聖女を直接見れるような身分ではなかったため、目のやり場に少々困りながら、そういうものなのだろうと自らを納得させていた。

その一方で、フルルドリスは表にこそ出さないものの、内心追い詰められていた。

「中型の…魔獣に、んっ……対しては、あぁ…っ」

時たま体をぶるりと震わせいい澱む。壇上でのその動きは小さく兵たちは気付かないが、隣で座っている侯爵はそれを楽し気に眺めていた。

「……っ、以上でっ!領内警備強化の講義を終わりとするっ!」

講義を締めくくり、フルルドリスは壇上から下りて自分の席に座る。兵たちは講義を終えて侯爵から解散の言葉を受けると、各々が自らの仕事へと戻っていくが、その間も彼女は何かをこらえるようにもじもじと居心地が悪そうにしていた。


「……立てるかね?」

誰もいなくなった講堂で侯爵はフルルドリスの手を取り椅子から立たせるが、彼女の足はがくがくと震えて倒れるように侯爵の体にもたれかかった。彼女は辛そうに息を荒げ、侯爵を潤んだ目で見つめる。その表情はとろりと熱を帯びており、劣情を募らせているのは明白だった。

侯爵が上を脱がせると、押し込められていた果実がぶるんとまろび出る。露わになった乳房の頂点には本来あるべき肉粒の代わりにテープで小石が張り付けられていた。その石は熱に反応し振動する性質があり、フルルドリスの体温によって小刻みに震えている。

侯爵がぺりぺりとテープを引きはがすたびにフルルドリスは小さく呻いて体を震わせる。石の下から現れた彼女の乳頭は、長い間圧迫され振動によって虐められたために二回りは大きくなり、破裂しそうなほどに固くしこっている。

「……っ、あまり、……ひどいことをしない…でっ、くだ…さい」

フルルドリスは弱弱しく抗議の声をあげる。彼女が好むのはお互いの体を感じられる溶けあうようなまぐわいであり、寸止めされたり激しく抽挿することはあまり好まなかった。とはいえどちらの場合でも何度も絶頂し快楽に溺れて啼かされてしまうのだが。

侯爵は苦笑しながら彼女のスカートをショーツと一緒に一度に下ろすと、胸に取り付けていたのと同じ石が数個転がり落ちる。その石は女の蜜でべっとりと濡れており、産み落とされた卵のようであった。

「ふ…うぅっ……」

外気に触れて冷やされる女陰の感触に、フルルドリスはブルリと震える。ショーツの中で石によって焦らされた秘裂は熱く滾り、こぽりと溜まった蜜があふれ出して床に水たまりをつくった。

「よく我慢したね……」

侯爵は彼女の頬を撫でると、講壇の上に腰掛けさせた。熱く震える肉粒に舌を這わせると、高い声をあげ仰け反る。侯爵の舌は乳頭を包み込むとその熱を奪うかのように舐め、指はせがむように口を開ける秘裂に差し込まれ、敏感な部分を揉みこむ。フルルドリスは眉をひそめてぶるぶると震え絶頂をなんとかこらえた。絶頂するときは精を受けてがよかったのである。

そんな彼女のいじらしい思いをくみ取り、侯爵は肉棒を潤んだ秘裂にあてがった。血液が通いむっちりと膨れ上がった大陰唇は、押し入ろうとする亀頭を適度に締め付けながら奥へと飲み込んでいく。膣道は何度も強直によって擦り上げかき回された結果、ハリのある媚肉はいくつもの柔らかなひだで覆い尽くされ、百を超える舌で舐め回されるような快感で肉棒をもてなす肉壺へと変化していた。そして先端が最奥へと到着すると、その鈴口へとぷっくりと膨らんだ子宮口が吸い付き子種をせがむように濃密な口づけを始める。

「う……むぅっ!」「あっ…あはぁぁああっ!」

予想以上の歓待に侯爵は射精してしまう。だが、フルルドリスもいきなり子宮へと精を注がれ、嬌声をあげて絶頂した。そのすらりとした足は侯爵の腰に絡みつき、一滴たりとも体外に漏らしたくないと言わんばかりであった。

びゅるっ、びゅるっと精が体内に注ぎ込まれるたびに、フルルドリスは体を震わせ絶頂する。微弱な愛撫で「もうすぐ雄が来るぞ」と言われながらじっと待ち続けた体は、快感に格別の脆弱性を発揮して彼女を法悦に誘った。

一度の吐精、数度の絶頂では彼らの肉欲は満たされない。数分が経ち、再び固さを取り戻した肉棒で侯爵は女の媚肉をじっくりとかき混ぜ始める。フルルドリスも男の体に胸を押し付け乳頭を胸板で刺激しながら、侯爵の舌と自分のものを絡め始めた。

誰もいない講堂での行為は、お互いがひとしきり満足するまでその後1時間ほど続いた。


39日目

竜車はドラグマ首都へと歩みを続けている。

聖女フルルドリスを招致したことで協会領の兵たちの練度は高まり、民もより安全に暮らすことができるようになった。仕事を終えた聖女は再び首都へと戻り、元の生活に戻るだろう。

竜車の中では彼女の「慰安」がおこなわれていた。


「ああっ!……はっぁああっ!んああっ!!」

粘りのある水音と共に、シーツへと飛沫が降りかかる。犬のように四つん這いになったフルルドリスは、背後から侯爵に激しく貫かれていた。ただでさえ長い肉棒は彼女の最奥へと容易に到達し、その奥の子宮を圧し潰す。最奥を激しく抉られる快感は、フルルドリスを暴風に舞う木の葉のように翻弄する。すでに何度も精を注がれたのか、結合部からは抽挿によって泡立てられた白濁液が掻き出される。

「っ……これっ!だ…め、……ですっ!」

激しすぎる快楽に、息も絶え絶えになって止めるよう懇願するが、すでに侯爵はクライマックスの準備を整えていた。

「我慢しなさいっ。…そらっ!」

侯爵は腰を大きく引くと最後の一撃を見舞う。どちゅんと突き入れられた肉棒は幾度も耕され柔らかくなった子宮口を押し広げ、子宮の中にまでその先端を潜り込ませると、熱い潤みを吐き出す。

「—————ッ!!!」

精液が子宮の中に叩きつけられ、べっとりと内壁に絡みつく。今朝から何度もこうして精を注がれ、彼女の小部屋はすっかりその快感に蕩けて射精が終わってからも張り付いた精液を味わうように小さく絶頂を続けていた。

フルルドリスは腕で体を支えられなくなり、ベッドに体を投げ出す。尻だけを突き上げるような体制のまま、彼女は快楽の余韻に浸ることしかできなかった。


40日目

「……んむ……くちゅ…んっ……」

フルルドリスは侯爵と舌を絡める。彼の体に馬乗りになり、うずくまるように繋がりながらじっくりと睦み合い、お互いの体を感じる。

侯爵の手も彼女の身体に抱くように回され、できるだけ広い範囲を相手に密着させようとしているようだった。

2人はこの十日のことを思い返す。たった十日という短い期間でありながら、彼らの行為に及んだ回数は普通の夫婦が生涯を通して行うそれの回数に迫るほどであった。

だが、その蜜月も間もなく終わりを迎える。あと数時間もすれば竜車は首都へと到着し、そこで二人は別れることとなる。フルルドリスはもとの生活に戻り、侯爵もまた自領へ戻って再び統治の日々を送ることになる。だからこそ、彼らは最後まで欲望のままにお互いを求めあうのだった。

もはや激しく抽挿を繰り返すことはない。溶けあうように絡み合う二人にとってはゆるゆると動かすだけでも十分すぎるほどの快感を得られるし、激しい抽挿はむしろ邪魔になるのである。子宮口に鈴口が押し付けられると、甘い性感が体を包み、心地よい充足感とともにフルルドリスは絶頂を迎えた。侯爵はフルルドリスの絶頂による締め付けを感じれば、惜しげもなく精を放つ。快感を快感で上書きされ、フルルドリスは陶然として忘我の中で揺蕩う。いつしか二人は愛し合いながら眠りへと落ちてくのだった。


「おかえりなさい、フルルドリス姉さま!」

可憐な少女、聖女エクレシアがフルルドリスを出迎える。

フルルドリスは飛びついてきたエクレシアを受け止めると、楽し気にじゃれ合う。ほほえましい光景であったが、やがてフルルドリスはエクレシアから離れ、侯爵へと歩み寄る。

「侯爵、ありがとうございました。実り多き旅で大変楽しめました」

「いや、こちらこそだ。おかげで我が領民も安心して暮らすことができるだろう」

二人は抱き合い、別れの挨拶を交わす。フルルドリスは一瞬だけ唇を交わすと、周囲の者に聞こえぬよう侯爵の耳元でささやいた。

(あなたに教えていただいたこと、忘れません)

彼女の頬は赤らみ、とろりと蕩けるような目と唇をなぞる舌と合わせてえもいわれぬ艶やかさを放つ。穢れを知らぬ乙女であった彼女は性を知り、一輪の艶やかな菖蒲の花となった。


首都を離れる竜車の中、侯爵は夕日を眺めながら酒杯を仰ぐ。

「てっきり完全に堕とされるのかと思いましたよ」

侯爵の傍らに立つ老兵士が声をかける。彼は侯爵の若いころから彼の部下として働いてきた男だった。故に、若いころの侯爵の女遊びの激しさを知っている。彼の言葉に侯爵はふ、と小さく笑う。

「こんな老人に縛られるというのは惨かろう」

あの高嶺に咲いた美しい花を、欲望のままに手折るというのはあまりにも無粋と思えた。

40日間の甘い日々を経て、麗しの聖女はさらに美しく咲くのであった。

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