加筆まとめ②

加筆まとめ②

空鶴さんによる打ち上げ回

「用意はいいか! もう待ったは聞かねえぞガキ共!」


 砲台の前で空鶴が号令をかけた。台に上がったガンジュに真剣な顔で空鶴が声をかける。


「それじゃア、花鶴射法・二番でいくぜ。やれるな?」

「お…おうっ!」


 強張った面持ちでガンジュが応えた。空鶴が砲台を拳で叩くと入口が開く。


『へえ…砲台そのものはシンプルな造りなんだね。特別なのは打ち上げる術の方か……』


 カワキが物珍しげにその様子を眺め、考察するように首を傾ける。空鶴が声を張り上げて一同を呼んだ。


「中に入れ てめえら! 始めるぞ!!」


 砲台の中では一同が霊珠核を囲んで立っていた。夜一から注意事項が述べられる。


一つ、瀞霊廷に入ったら決してはぐれるな

一つ、隊長格と出会ったら迷わず逃げろ

一つ、絶対に無駄な危険を冒してはならない


 注意が終わると、夜明けと共に打ち上げが始まった。大量の煙と轟音を立てて砲弾が真上に打ち出される。最高到達点に達したところで、球体が直角に進路を変えた。

 巻物を開くガンジュに、叫び声を上げていた一護が何をする気かと問いかける。


「“継の口上”だ! 花鶴射法・二番は二段詠唱なんだ! 打ち上げから方向決定までを“先の口上”で、その後の加速と軸調整を“継の口上”でコントロールする!」


 ガンジュの説明に納得した一護が返事を返す。カワキもまた、興味深そうに説明を聞いていた。

 ガンジュが術式に入る前に全員に霊力の調整を頼んだ。自分に合わせて欲しいと言うガンジュに一同が頷きを返す。


「花鶴射法・二番!! “継の口上”!!!」


 ガンジュが詠唱に入った。全員で霊力の調整を行うも、調整が不得手な一護が口々に注意を受ける。


「黒崎くん…っ、ちょっと…多い…!」

「そ…そうか? わ…悪い…」


「黒崎! もう少し落とせ!」

「わ…わかってるよ! これでも結構減らしてんだ!!」


「…一護…」

「わ…わかってるってば!!」


『それは出来ている者の言葉だ。君は全く出来てないよ一護』

「わかってるって! 今減らしてんだ! ちょっとまってくれよ!」


 騒ぐ声に集中が切れたガンジュが詠唱を失敗し、一護に怒鳴り声を上げる。一護もガンジュに怒鳴り返し、半泣きで怒鳴り合う二人を井上と石田が止めた。


「……おい…。…外…見てくれ……」

「せ…瀞霊廷だ…!」


 二人の制止も時すでに遅く、砲弾は瀞霊廷が見える距離まで近付いていた。不時着は避けられない状況となり、夜一が叫ぶ。


「こうなっては仕方ない!! 全員でありったけの霊力を込めるんじゃ!! 少しでも砲弾を堅くしろ!!!」

「行ってくれえ!!!」


 ズゥンと地響きにも似た激しい音を立てて、砲弾は遮魂膜に側面から突っ込んだ。


 なんとか遮魂膜を無事に通り抜けたものの、砲弾はすぐに渦を巻いて破裂する。それに巻き込まれ、一同は四方向に分かれて吹き飛ぶこととなった。


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