3D2Y
魂を震わせる音楽家落ちたのはなんとも禍々しい場所。床にサークル、それを囲む人、サークルの上に立つ骨。
「何やってんだ」
「ヨホホホホホ!アプーさん、奇遇ですね。」
「ああそうだな。で、何やってんだ」
「いやー、私にもサッパリ」
「ああ、ああ、サタン様!!どうか我々をお救い下さい!!」
ブルックを囲んでいた人々が声を上げる。彼らは手長族の人攫いを撃退するため、悪魔を呼び出そうとしていたのだ。
「手長族ですって。何か知ってます?アプーさん。」
「解ってて言ってるだろ。オラッチは生憎とジジイに山に放り込まれてから一度も同族と会っちゃいねェよ。」
アプーとブルックが会話をしていると、アプーに気付いた人々から声が上がる。
「手長族!?いつからここに···サタン様!お救い下さい!」
「この方は大丈夫ですよ。人攫いではありませんから。」
「人攫いの奴らに随分とやられたみてェだな。警戒されちまってる。」
「サタン様!サタン様!人攫い達が!」
「彼らを見過ごす訳にはいきませんね。追い払いますか。」
「人攫いなんて胸糞悪ィ。オラッチもやるぜ」
人攫い達と対峙する2人。人々を攫っていた手長族達は明らかに珍妙なブルックに標的を変えた。
優位に立ち戦っていたが隙を突かれブルックが攫われそうになる。なんとかそれを防いだアプー。戦闘に勝利した2人は人攫い達を抱え、町を後にした。
「オラッチはやくシャボンディ諸島に戻んねェとなんだよ。船とかねェか?」
「そうでしたアプーさん。私、貴方がなぜ此処にいるのか聞きたかったんです。」
ブルックの言葉に足を止める。町からは大分離れた、人攫い達もまだ目を覚ます気配はない。少し休憩がてら話してもいいだろう。そう判断して、アプーは近くの岩に腰掛ける。ブルックもそれに倣った。
「オラッチが此処にいるのは七武海のバーソロミュー・くまの能力で飛ばされたからだ。」
「バーソロミュー・くま···確かスリラーバークにいた···」
「ああ、そもそもこうなったのはルフィが天竜人を殴って海軍大将を呼び寄せちまったからなんだが、そこはいい。オラッチ達は大将にも、パシフィスタにも、くまにも···敵わなかったんだ!」
「···そうでしたか。それで、これからシャボンディ諸島に戻るんですか?」
「そのつもりだ。オラッチがこうしているってことはアイツらも無事ってことだ。はやく会ってやらねェと。」
「海軍大将に敵わなかったのにですか」
「···なんだと?」
「アプーさん、言いましたよね。『敵わなかった。』と。その状態でシャボンディ諸島に戻ったらどうなるんでしょうね。もう一度大将と戦うことになったら?今の貴方達で勝てるでしょうか」
「そりゃ、そうだな。大将とオラッチ達の力の差は圧倒的だった。今のままじゃ、勝てねェな。」
「私からの提案なんですが、修行をする、というのはどうでしょうか。」
「修行···ね。コルボ山以来だな。それでいいとしてアイツらにゃどうやって伝えるか。」
「ヨホホ。アプーさん、我々には音楽というものがあるでしょう。」
「なるほどな。んじゃ、盛大にブチかまそうぜ!」
マリンフォード近海。マリンフォードでゲリラライブを行った2人は海軍から逃げていた。
「アッパッパ!大成功だ!」
「ヨホホホホ!後は新聞が発行されるのを待つだけですね。どうです?届きそうですか?」
「そりゃァな、届いてもらわないと困るってもんよ。いや、ちょっと下に心配なのはいるが···まァ、大丈夫だろ。」
「ヨホホ。アプーさんはこれからどうなさるつもりで?」
「決まってんだろ。オラッチの武器はミュージック、それを鍛える。2年をかけてな。よろしく頼むぜ?」
「ヨホホホホ!ええ、2年間、よろしくお願いしますね。楽しんでいきましょう!」
(自分達の弱さを痛感した。オラッチもアイツらも2年でもっと強くなる。)
2年後にシャボンディ諸島で
ちゃんと届いてりゃといいが···