3D2Y

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 未来国の変態

 (寒い···)

 落ちたのは極寒の島、未来国バルジモアだった。寒さに震えるキッドと同様に震えるパンツ一丁の変態、もといフランキーがいた。

 「テメェなんでこんなとこにいやがる!それに寒くねぇのかそれで!」

 「アーウ!キッドじゃねぇか!奇遇だな!おれはベガパンクの故郷だってことに興味を惹かれて近くに船できてたんだ!だが氷で覆われててよォ、風来噴射で来たってわけよ!」

 「アホか!んな方法でくるとこじゃねぇよ!近くに来てたんなら上着るだろ普通!」

 「テメェこそ!薄着じゃねぇか!」

 「不可抗力だ!」

 やかましく言い争う2人に人が近付いていく。

 「お二人さん、寒くないのかね、そんな格好で」

 「「寒ィよ!!!!」」

 キッドとフランキーに声を掛けたのはバルジモアに住む老人だった。

 「そ、そうか。よければ家に案内しようか?服もある」

 「頼む!寒くて凍え死にそうだ!」

 

 そうして老人の家に行き、服も貰えた2人。老人の話を聞き、フランキーの目的でもあったベガパンクの研究所へと向かった。

 「ここが研究所か。資料は···」

 「いたぞ!侵入者だ!」

 「おい、海軍が来てる!逃げるぞ!」

 海軍に追われ、逃げ回るキッドとフランキーだったが、フランキーがあるものを見つける。

 「ん?スイッチ?」

 「おい、どうした」

 「おう、ここにスイッチがあってな」

 言いながらポチッとスイッチを押す。

 「おい、それ」

 ボカーーーーーン!!!!!

 研究所が爆発した。誰も彼もが爆発によって失われた遺産になにも言えなくなってしまった。そんな中、爆発した原因でもある2人は言い争いをしていた。

 「テメェ!!研究所に自爆スイッチがあるってあのジジイに言われてただろうが!!なんで不用意に押した!!」

 「いや、よく考えてみやがれキッド。そもそも自爆スイッチを付けてる方が悪くないか?」

 「押したのはテメェだろうが!!」

 キッドのあまりの剣幕にフランキーは言い返すことをやめ、話題を変える。ちょうど別の研究所の入口を見つけていた。

 「それもそうだな。ところでキッド。さっきの爆発でまた別の研究所が見つかったんだが。」

 「研究所?ベガパンクのか?」

 「そりゃ、行ってみねェことにはな。」

 そうして新たな研究所へと向かった2人。世話になった老人も合流し、研究所に辿り着く。

 「ここもベガパンクの研究所なのか!研究内容は作業用の“改造動物”、おれとしてはこっちの方がありがてェな。」

 「サイボーグアニマル···」

 キッドのつぶやきを拾ったフランキーがさらに話を広げていく。

 「さっきの吹っ飛んだ研究所は"文化的"にぶっ飛んだ発明だったんだが、こっちは"兵器的"発明だ。改造するにはうってつけだな。よし、ここに住もう。キッドも住むか?海軍にも知られてちゃ街に住むなんて出来ねェだろ。」

 「あ、ああ。そうだな。···おい待て。おれはここに住むなんて言ってねえ!!そもそもシャボンディ諸島に戻るつもりなんだよ!!」

 あまりに自然に住まわせようとするフランキーに流されそうになったキッドだったが、既で本来の目的であるシャボンディ諸島に戻るということを思い出した。

 「お、そうだったのか。ところでよキッド。さっき新聞を見たんだが、お前んとこのアプーが載ってたぞ。見るか?」

 「アプーが?見せろ!!」

 フランキーから新聞を受け取り、すぐに広げる。アプーからのメッセージを確かに受け取ったキッドは決意を固めた。

 「フランキー。おれもここに住む」

 「おう、そうか」

 キッドの言葉を聞いたフランキーは次に老人の方を向く。

 「んじゃ、じいさん、おれ達は偶に山を降りるから」

 「ギャー!!怖い!!」

 「あ?」

 フランキーの顔を見た老人は悲鳴を上げる。さすがにキッドも苦言を呈した。

 「おい、フランキー。さっきの爆発でテメェの顔の大部分が露出してるぞ。」

 「露出?なら、これでいいか」

 そう言い、虎の皮を被るフランキー。老人もそれなら大丈夫だと悲鳴を上げることもなくなったので、話の続きができるようになった。

 「それでさっきの続きだが。コーラを備蓄しといてくれ。黙っててくれりゃおれたちが見つかることもないからな。」

 「はあ···」

 老人は曖昧に相槌を打つ。

 「それにしても寒いな」

 フランキーは暖炉に火を灯す。キッドも寒かったのか暖炉に近寄り、温まろうとしばらく側にいた。

 「おい、お二人さん!燃えとるぞ!」

 「「え?」」

 老人に指摘され自分達が燃えていることに気付く。

 「「熱ィイイイーー!!!」」

 一目散に外へ飛び出し鎮火しようと走り回る。その様子が犯罪者達を探していた捜索者達に目撃される。燃えている獣が走っているように見えた彼らは悲鳴を上げ、逃げ出した。それでもなお走り続けるキッドとフランキーを見た人達の間で話が広がっていった。これが後に偉大なる航路で語り継がれる「バルジモアの燃える霊獣伝説」である。

 (ベガパンクの研究。兵器。おれの能力と合わさればもっと強くなる。能力もまだまだ弱い。)

 2年後にシャボンディ諸島で

 もう、誰にも負けねェ!!

 

 

 

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