(3人がホテルに入った理由は当然S○Xではない)
歳の離れた兄弟のような、歳の近い親子のような、歳の気にならない友人のような。
形は曖昧ながらも確かに愛して大切に育ててきた大事な子供が、ロレンツォが。新世代世界11傑に選ばれたお祝いパーティから間もない内に、恋愛関係のスキャンダルをすっぱ抜かれた。
いや、それだけならスナッフィーにも文句は無いのだ。子供と言ってもアルバイトだって出来る年齢。周りの子との惚れた腫れたなんてあって当たり前で、自分だって若い頃は遊んでいたタイプだ。
この場合、問題なのはそのスキャンダルの相手。あろうことか『赤の女王様』や『女王様』、『青薔薇の君』や『茨姫様』と界隈であだ名される2人。つまり糸師冴とミヒャエル・カイザーだったのがマズい。
「チームの男を何人も奴隷にして飼ってるとか、スポンサーと寝て貢がせてるとか、クラブのお偉いさんも虜にしてるとか、そんな噂が掘れば掘るほどたくさん出てくる……」
ロレンツォとカイザーと冴がイタリア某所のホテルから3人で出てくる写真をパパラッチに撮られ、それが今日発売の雑誌に載った。
写真の中のロレンツォは2人の間でどちらとも腕を組んで楽しそうにホテルから出て来ている。そこに性的な匂いは少しも嗅ぎ取れず、パパラッチだって、一緒に写っているのがカイザーと冴でなければ友人同士でホテルのレストランでも行った帰りだと思った筈だ。
しかし両サイドのカイザーと冴。こちらの2人は幾度となくゴシップを賑わせ、浮名の流れていく勢いがナイアガラの滝のような少年たちだ。そのため2人とホテルから出てきたならロレンツォの様子など関係なしに世間からは「ヤった」と見做される。なんなら飛躍して「このロレンツォって奴も奴隷に堕とされたんだな」との判定も受けるだろう。
調べ物をしているパソコンの前でスナッフィーは項垂れた。
「うちの子が、いつか可愛い女の子を結婚相手として紹介しに来てくれると思っていたうちの子が、まさかこんな毒婦に引っ掛かるなんて……!」
頭を抱えるスナッフィー。
脳内ではイメージ映像のカイザーと冴が悪の組織の女幹部みたいな高笑いを上げており、その2人が握っているリードの先に首輪を付けられたロレンツォがいる。自分の置かれた状況にも気付かず、「だぁー?」と小首を傾げてポップコーンを食べていた。
~~作者補足メモ~~
この写真が撮られるに至るまでは
『ロレンツォ、新世代世界11傑に選ばれ知名度が上がったことで捨てた親に今さら言い寄られる!』とか
『もはや運命と言っていいn回目の偶然で一緒にイタリアを歩いていたカイザー&冴、元親に絡まれているロレンツォを目撃する!』とか
『どうせ金を持っていると思われているからせびられるんだと判断した2人、とりあえずロレンツォは自分たちに貢いでるからお金ありませーんと言い張るためにそういう演技をする!』とか
なんかそんな感じのことがあった
でも雑誌にはそんな下りは載っていないからスナッフィーさんは心労で大変