2年後へ向けて その1

 2年後へ向けて その1

8歳差ルウタたまらんマン

ここは“凪の海”女ヶ島「アマゾン・リリー」


ウタの療養を目的としたローの一団は緊急特例により女ヶ島湾岸への停泊を許可されていた


『ごめんねトラ男くん… 少し… 1人にしてほしいな…』


「大丈夫なんじゃろうか… ウタさんは…」


「重症だが深手を負った訳でもねぇ… 暴れたりしなきゃ死にもしねぇさ」


「ウタ…」


―――


アマゾン・リリー国内 九蛇城


「蛇姫様! ウタが目を覚ましたとの事」


「本当か!! はぁ… よかった… 無事ならば何よりじゃ…!」


「ずいぶんと心配なさったようですニョ… あニョ男はともかく、麦わらニョ方まで身を案ずるとは…」


「当たり前じゃ! ウタはわらわの友であり恋のライバル! こんなところで死んでもらっては困るのじゃ!」


「それより姉様… ちゃんとお食事を…!!」


「そうよ姉様… 帰ってからほとんど何も口にしてないじゃない!!」


「……ルフィの方も心配なのじゃ… ウタの身を案じ女ヶ島へと戻ってきたが、ルフィの安否はまだ不明じゃ 簡単に死ぬ男ではないとわかってはおるが…」


―――


『うゥ…! がァ……! ギギ……!!』


『貫けんかったか…… そのまま行けば楽に死ねたのにのゥ……』


―――


「赤犬め…!! わらわのルフィに何てことを…!! 次に会ったら獣の餌に…!!」


「まったく…」


―――


“偉大なる航路” レッド・フォース号


戦場から帰還した白ひげ海賊団の一部は、赤髪海賊団と行動を共にしていた


「助かったよい… 赤髪… 皆命拾いした…」 


「礼ならいいさ もっと早く来れなくて悪かったな」


「四皇だってのに… これ以上あんたに求めるのは贅沢ってやつだよい…」


「お頭! ルフィが目を覚ましたぞ!」


「! 起きたかルフィ!」


「ルフィ…! 大丈夫なのかよい…!」


―――


海を眺め立ち尽くすルフィに、シャンクスが声をかけた


「………」


「ルフィ… 寝てなくて大丈夫なのか…?」


「寝てられねぇよ… 胸の傷はいてぇし… 2人と離れ離れになっちまったから…」


「……… あの2人なら無事だろう お前が守りきったんだ」


「………」


「何をそこまで思い詰める? お前とウタのお陰でエースは助かった それでいいじゃないか」


「……エースを助けられたのは、白ひげ海賊団の皆が頑張ったからだ」


「なに…?」


「海軍にいた頃には、天才だなんて持て囃されて… ウタと海に出てからも、おれに敵うやつなんてそうそういなかった…」


「………」


「おれは強いって思ってた…… だけどシャボンディでボルサリーノの兄ちゃんと…… あの戦争でサカズキの兄ちゃんと戦って…… 思い知らされたよ……」


 男は、自らの無力を痛感していた…


―――


“女ヶ島” アマゾン・リリー


女は、打ちひしがれていた…


「ハァ… ハァ…!」


『全員!!! 逃げることだけ考えて!!! 今のわたしたちじゃあ こいつらには勝てない!!!』


“世界”という巨大な壁に、


「うぅ…!」


『―――これが、貴様への刑罰だ 侵入者』


“未知の能力者”という恐怖に、


「ぐぅ…!」


『お前にゃまだこのステージは早すぎるよ』


“新世界”という未踏の領域に、


「ッ………!!」


『今のおれの守りたいもんは… あの二人以外いねぇよ!!!』


ずっと見続けていた“男の背中”に


「………」


1人嘆くウタの元へエースとジンベエがやって来た


「ウタ… 大丈夫か…」 


「エース…」 


「あんたボロボロなんじゃ 少しは休んどった方がいい」


「……ありがとうジンベエさん でも、休もうとしても休めないんだ… 落ち着かなくて…」


「どうしたってんだよウタ… そんなしんどそうな顔して…」


「………シャボンディで、皆を守れなくて離れ離れになっちゃった」


「……?」


「女ヶ島でハンコックさんに助けられなかったら、インペルダウンにも行けなかった イワさんがいなかったら、インペルダウンで死んでた」


「お前…」


「あの戦場に乗り込んでも… ルフィがずっと守っててくれて… わたしは守られてばっかだ…!!」


「ウタさん…」


「わたしは船長なのに…!! 仲間を1人も守れなかった…!! ルフィがいなかったらきっとエースだって助けられなかった…!!」


「ルフィと初めて会った時からずっと…!! わたしは守られてばっかで……!! ちっとも強くなってない……!!」


「わたしは!!!! 弱い!!!!」

     ―――――――

「おれは……     弱い……」

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