2代目コラソン
よお3代目!お前がおれを訪ねるなんて珍しいな。
そういやあ、頂上戦争じゃ派手にやったって聞いたぜ。
そろそろドフィの首の値越えたんじゃねえか?ウハハハハ!!
あ?2代目の話?
まァ勿論天才のおれは覚えちゃいるが。また唐突だな。
2代目のコラソンか…最初はもう、まさに手負いの獣って風だった。
なんにも信じてねえって目ェしててな…おれたちだってあいつが居るときゃなかなかドフィに近づけもしなかった。
とんでもなく警戒心の強ェ奴で、もうほとんどほったらかしにしてたネズミどもを端から炙り出して始末して…ドフィもヴェルゴもかなーり気を揉んでたな。
そんで、ありゃあたしか…そう!あいつがアジトに来て半年の集会だ。
ヴェルゴの奴が長期任務でコラソンの座を降りるってなった時に、昔の話になって…そっからだな。あいつがおれたちを信用し始めたのは。
ドフィもあいつも血筋が血筋だからな。おれたちがそれを知らねェもんだと思って警戒してたらしい。
お前はあまり知らねえかもしれねえが、当時は相当刺客も来てた。
それもあってず~っと気が立ってたんだろうよ。
…それとドフィは、最初マジであいつに仕事をさせる気が無かった。
だが放っといてもあんまり片っ端から殺し過ぎるもんで、あれこれ世話焼いてやれるヴェルゴが抜けちまったら書類でもなんでもさせた方がいいって話にまとまってな。
それでコラソンの席に座らされたってワケよ。
あとは…信じられねえくらいドジで筆談も雑なくせに、書類仕事はやたらとデキた。
相変わらずあの何考えてんのか分かんねえ顔でぽんぽん殺しを続けちゃァいたが、お前が来てからはマシになったって聞いたぜ。
なんたってアジトにドフィが居ることが増えたからな!
あいつが始末つける前にドフィが片付けちまうんだ!ウハハハハ!!
……………おれァな、ロー。
あいつがネズミを始末したとこに、いっぺんだけ出くわしたことがある。
ありゃあ……一種の天才…なんだろうよ。
天才のこのおれが言うんだ。間違いねえ。
お前今はドンパチもやってんだろ?じゃあ問題だ。
殺し合いで勝者になるにはどうすりゃいい?
簡単だ。相手に自分より多くの血を流させりゃあいい。それだけでいい。
"たったそれだけ"出来りゃ、勝手に帳尻が合って"ケリ"がつく。
あいつはそういう、血の採算を計る感覚ってもんがバツグンに良かった。
敵さんのどてっ腹に穴開けて、こう…内臓を引きずりだしてな…。
灯りも点いてねえ薄暗い部屋でよ、目だけ動物みてぇに光ってんだ。
おれの知る限りあいつはいつもどっかぼうっとした奴だったが、そん時ァ妙に冴えたような目をして…生気があるって言やぁいいのか?とにかくそんな感じだった。
始末が好きだの得意だの、そういう程度のモンじゃねえ。
もう、メシ食うみたいにな。とにかく殺し続けねえと生きられねえんだ、あいつは。
……ウハハ!信じられねえってツラだな?
ヴェルゴあたりに訊いてみろ!もっと詳しく知れるだろうさ…。
それと……こいつはちょいと、ドフィにゃ言えねえ話だが。
おれはあいつの"そういう"所を結構気に入ってたんだ。
ドフィは…あと、ヴェルゴもか。ずうっと…なんとかしてやりたがってたが。
だってなァ。
……魂をあるだけ削り出して相手にぶつけるみてェな戦いなんぞ、そうそう見られるもんでもねえだろう。
そう生きられる奴を、ギッチギチに縛り上げて飼殺すなんて勿体ねえじゃねえか。
おれはずっと、戦いの中で生きてきた。
あいつみたいな奴が、死んでいくのを見ながらな。
だけどな、それがあいつらのやり方ってモンなんだろうよ。
ああいう手合いは、死ぬときゃ好きに死ぬもんさ。
人口の少ねェ非加盟国とはいえ、島中ほとんど潰しきるくらいどいつも殺しちまう…なんつう、とんでもねえことをやらかしてな!
まだ死んでねえって?
ウハハハ!!あいつも苦労してやがる!
お前がいつまで経っても諦めてくれねェんだからなァ!
…さて、おれの話はこれで終いだ。
ドフィんとこ戻る時にゃ、トンタッタの赤ワインでも持たせてやるよ。
エチケットはなんとこのおれ、コリーダコロシアムの英雄柄!
お前ももう飲めるトシだろ?
しっかり味わって飲めよ!ウハハハハハハ!!