"龍の骸"が"眠る"谷

"龍の骸"が"眠る"谷



ドラゴ大帝から命からがら逃げ切る事に成功した藤丸一同。追手を退けとある谷に逃げ込んでいた。

「話によるとここは龍の骸が眠る谷らしい。お陰で立ち寄る者も少なく、そんな墓地みたいな場所だからドラゴンを殺める事も禁じられてるらしい」

「だがそれ故にここに逃げ込んだと悟られやすい。休息を取ったらすぐに移動せねばならぬ」

これからの方針を考えているその時、藤丸達の眼の前に突如異形の龍が現れたのだ。

「そんな!もう追手が———」

しかし言い切る前にその龍は闇に包まれ、まるで砕け散る様に姿を消した。

一瞬の出来事を整理しようとした瞬間

「———!?」

突如眼前に巨大な龍が顕現したのだ。

「今のは…魔龍バベルギヌス…他者の命を死した別の者に移し替える事ができる龍…そしてそれは自らの命も対象だという事……」

「そして今眼前にいるのは黒神龍ベルザローグ…その龍そのものが闇と言われる程の存在…」

鬼丸と修羅丸がそれぞれ呟く。

「龍が眠るってこういう事!?」

「ですがあの龍を倒さなければ!」

「それなら気合い入れるぞみんな!」

各々が戦闘態勢を取る中、ドギラゴン、モモキング、レッドゾーン、ドキンダム達は腑に落ちていなかった。


「あの大帝ならこんな回りくどい事をせずとも強大な龍を呼び寄せられる筈……」


「追手ならなぜわざわざあの龍を生贄に捧げるような命令をしたのでごさるか……?」


「それに龍の骸が眠るという理由がバベルギヌスにあるならなぜ奴自身の魂を差し出したんだ?」


「龍の骸…龍の死………いや待て、"骸が眠る"……?」


「「「「———まさか!?」」」」


各々はある一つの同じ答え、最悪のシナリオを確信した…が時すでに遅し。

周囲の地面から無数の影が突き破ってきたのだ。

「地面から無数のドラゴンが!?」

「先輩!囲まれてしまいました!」

「これは一体!?」


彼らには"死"というモノは無い

何故なら其処は奴等の寝床に過ぎないのだから


———黒神龍グールジェネレイド


龍の死を引き金に地から這い戻る骸の龍が

今、牙を向く———



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