“黒炭”と“霜月”
ここだけゾロがルナーリア族Part2の145※閲覧注意
※【ここだけゾロがルナーリア族】のスレより
※ゾローリアの更にIFネタ
※ファンタジスタした幼少ゾロがキングに拾われ百獣海賊団所属√
※幼少ゾロはくいなと約束する前
※くいな生存&麦わらの一味√
※CPはゾロ×日和
※IFネタの派生⇒百獣√
※キャラエミュが微妙
※文才なしの駄文
※捏造設定あり
※それでも良い方のみ、お読み下さい
〝それ〟は、突然始まった。
否、前兆はあった…いつ、始まるかが問題であって。
それを、一部の人間は認めたくなかったのだ。
しかし、国と民を虐げ壊す者と、国と民を慈しみ守る者。
そのどちらを国に住まう民が選ぶのかは、明白であった。
「投降した者は、手荒に扱うな!!」
「同じワノ国の民だ!!」
「あの方の邪魔だけは、させるなっ!!」
「味方する者が増えても、あの方の侍たる我等が前線を維持しろ!!」
「味方の一人も欠かすな!!」
「あの方の愛する国を!!民を守れ!!」
そんな声が薄っすらと城の外や中から響いていた。
目の前の、ただ排除すべき存在が恐怖と憎悪に顔を歪めるのを眺めながら…嘲る様な嗤いが込み上げて来ていて。
そんなおれを見上げるオニ丸が僅かに顔を顰めたのが、視界の端に見えて。
“霜月”の若殿として動いているので、フードは被っていないのに。
あぁ…今、侍達に見せられる顔では無いなと、頭の片隅で冷静に判断していた。
「き、貴様ァ!!よくも!!」
それでも、黒炭オロチが喚く姿に、抑えられなくて。
「ふ、ふふっ…ははははっ!!あぁ、駄目だ!無様だなぁ…オロチ!!」
声を出して嗤えば、オロチは憎悪の方が勝ったのかギロリとおれを睨みつけてきて。
「やはり!小童、貴様ッ!?」
「なんだ、気付いてたのか……それにしては抵抗が無いから、てっきり」
フェイスベールの上から着物の袖で嗤う口元をわざと隠して、見下す様に嘲る。
「こ、この!!わしは将軍だぞ!!わしの国じゃ!!カイドウの部下が好き勝手をするでない!!わしこそが、ワノ国の将軍じゃぞ!!!!」
そうすれば面白い程、想像通りの反応が返されて…逆に、面白く無い。
これだから、小物相手は嫌いなんだ…想像の範疇を超えない。
カイドウさんの気持ちがわかるとは言わないが、十分の一…いや、百分の一程度は同じ感覚なんだろうか…。
「…コン」
あぁ、わかってる。
遊んでいるのがバレたのか、オニ丸に急かされる。
「否、“おれの”だよ」
外でまだ戦っている“おれの”侍達の為にも、早く終わらせようとオロチの言葉を否定する。
「…な、なん、じゃと…?!?!」
困惑した様に、驚愕した様に、目を白黒させるオロチへと、もう一度口を開く。
「だから、“おれの”だよ。カイドウさんは、鈴後と同じ様に、おれにくれるって言ったんだから」
鈴後と同じく、ワノ国での遣り方を全て任せてくれると…“おれの”にして良いとカイドウさんが言ったのだから。
これは覆らないし、覆させない。
「そ、そんな、ことが…ゆ、許されると?!」
憎悪が消え失せ、恐怖によって震えるオロチは、要らない。
ワノ国にも。
百獣海賊団にも。
「許される。おれは、ワノ国の民に望まれている…おめぇとは違って、な」
要らないからこそ、利用し尽くす。
おめぇに、最期の役割を与えてやる。
ワノ国を虐げ壊そうとした大罪人の役割を。
だから…。
おれとカイドウさんの為に、死ね。
「“霜月”の若殿様が、大罪人“黒炭オロチ”を討ち取られたぞ!!」
「ワノ国が救われた!!」
「流石は、鈴後の大名!!」
「いや、これからはワノ国の将軍様だ!!」
「新しい“霜月”の将軍様!」
国と民を虐げ壊す者 “黒炭”
国と民を慈しみ守る者 “霜月”
その決着がついたのは、ワノ国鈴後へと“霜月”の若殿が帰還して、約三年後。
そして、光月おでんの処刑から…約十七年経った時だった。