黒歴史SSまとめ⑩

黒歴史SSまとめ⑩

女ヶ島~


「おい火拳と麦わらたちの治療どうする!?いつもならキャプテンがやるけど、キャプテンは今……!」

「……どうしようもない、か……」

こちらに運び込まれたものの治療する手立てがなかった

ローなら何とかなるかもしれないが、当の本人も酷い怪我でどうしようもない

途方に暮れるクルーたちに救世主が現れる

「おれがやるよい」

「不死鳥!?」

袖を捲りながらマルコが手術をすると名乗り出た

それにペンギンは驚いて声を上げる

マルコを信用していない訳では無いがルフィたちの怪我は尋常ではない

外科メインではないであろうマルコに、治療できるのか?

「まぁ、気持ちは何となくわかる。何もおれはローのような外科技術があるとは思っていないよい」

それでも……とマルコは言葉を続ける

「四皇、白ひげ"エドワード・ニューゲート"の専属医師。この程度の治療出来なくてどうする」

「!!」

その言葉に目を見開いてペンギンは思考を回す

クルーたちがどうするとペンギンを見つめる

ペンギンはとある決断をした

「本当に、任せていいのか」

「ああ」

力強く頷くマルコをペンギンは信じることにした

「今すぐオペの準備を!!!」

「!!アイアイ!!!」

「……悪いねい」

「いや、こちらこそ助かった。……絶対に助けるぞ。"Dr".マルコ」

「……!全く……ローと言い最近の若者は妙に肝が据わってんな」

マルコは手際よく準備されていくのを感心したように眺め、渡されたオペ道具を手に持つ

「……これから、オペを始める」

───さぁ、船医の意地を見せてやろうか


白ひげが戦場から去り四皇"赤髪のシャンクス"と海軍の全勢力との戦争を影から見る者がいた

「どうする船長。突っ込むか?」

「……いいや。よしとこう。流石に赤髪と戦うのは時期が早すぎる」

「ヒック!グラグラの実を奪わんでもええのんか〜?」

「ゼハハハハハ!!!構わねぇさ!……それに」

───グラグラの実と同じくらい面白ェもん見つけたからな

そう言って笑う黒ひげの手には……

"オペオペの実に関する伝承が書かれた資料"が握られていた


「……」

カタリとマルコは最後の作業を終わらせ手術道具をトレーに戻す

そうして手にはめていた手袋を外し、マスクも外した

マルコは神妙な面持ちで眺めてくるハートのクルーたちにこう告げる

「手術は……無事成功したよい!」

「「「「「いよっ…しゃあああ!!!」」」」」」

ハートのクルーたちはマルコのその言葉に両手を上げ雄叫びを上げた

正直この手術はローレベルの外科医術がなければ治療するのは困難なものだ

それでも流石は四皇、白ひげの専属医師。いとも容易く成功させた

「ありがとうマルコ。おれたちじゃ絶対に治すことは出来なかったから」

「よせやいペンギン。おれぁ自分の持つ力で精一杯やっただけだよい。ローならもっと早く終わってただろうしな」

「いいや。寧ろキャプテンが異常な医療技術を持ってるだけさ。マルコは十分凄い医者だよ」

マルコはペンギンのその言葉に驚いたように目を見開くがフッと笑う

「たくっ。口達者な野郎だよい……。それで、ローはどうした?」

「それが……」


「オヤジィ!!!海軍の軍艦が…!」

「……なんだと?」

白ひげは体の大きさの関係上ポーラータング号に乗ることが出来ず、先にマルコの能力に体を多少回復させ船の甲板で休んでいた

そんな白ひげに白ひげ海賊団のクルーが"海軍の軍艦が来た"と言ってくる

言われた通りに海を睨みつけるとこちらに向かってくる一隻の軍艦が目に入る

「野郎共!!!武器を構えろ!!」

「その必要はない」

白ひげがクルーたちに武器を構えさせようと命令をしたその瞬間に、"今この場にいないはずの"凛とした女の声が響いた

「な……っ!?何故お前がここにいる……!」

───王下七武海、海賊女帝"ボア・ハンコック"!!!


「安心せい。軍艦に乗っていた海兵共は全員石にしておる」

そうやって軍艦を見上げるハンコックに倣い白ひげや他のクルーたちも見上げる

そこにはハンコックの言う通りに目をハートにしたまま石にされている海兵たちの姿があった

相変わらず凄まじい能力に白ひげは眉をひそめてしまう

「グララララ。それで、お前は何しにここに来たんだ?……まさか、おれの首を取ろうってのか?

「はっ!何を勘違いしておる。わらわは貴様らに会いに来たのでは無い!!!!」

「わらわが態々来てやったのはそう!!!わらわの愛しい人、ルフィに会いに来たのじゃ!!!!」

ドン!とハンコックは言い放つ

白ひげ海賊団は能力を使われた訳では無いのにまるで石のように固まる

流石の白ひげにもこれには惚けた顔をする

海賊女帝は重度の男嫌いのはずだ

そのはずなのになぜ……?

「おい。騒がしいよい。こっちは重傷者がいんだ。静かにするんだよい」

ハンコックがこの場にいるとは知らないマルコはノコノコと甲板にやって来てしまい、ハンコックに目をつけられた

「貴様!まさかルフィの治療をしていたのか!?ルフィは無事なんじゃろうな!?返答次第によっては貴様は石に変えてやるぞ!!!!」

「ハァ!?なんでここに海賊女帝がいんだ!?」

「そうダッキャブル!!!!麦わらボーイは無事なの!?」

「何だこの化け物!!!!」

マルコはハンコックとついでに軍艦に乗り込みルフィに会いに来たイワンコフに詰められていた

流石のマルコもこれには困惑して上手く言葉を出せない

今にも掴みかかりそうなハンコックに白ひげは覇王色の覇気で牽制をした

「っ!?」

「グララララ……どういう事情なのかは知らねぇが……。おれに息子に手ェだそうってなら軍艦ごとテメェを沈めるぞ」

「……悪かった。少し冷静ではなかったようじゃ」

(あのハンコックが謝罪を……!?流石は四皇だッキャブルね……。ドラゴンにも念の為四皇とは敵対しないように伝えておかないと)

白ひげの威圧にはあのハンコックも命の危機を覚えたのか素直に謝罪をし、マルコから離れる

イワンコフは暴虐無尽と言われているハンコックを手玉に取る白ひげに四皇の危険度を繰り上げた

「……ハァ。安心するよい。今は昏睡状態だがアイツの生命力ならしばらくしたら起きる。幸い致命傷でもないしな」

「……そうか。ルフィさえ無事ならわらわは……。ああ!可哀想なルフィ…!代わってあげられるなら代わってあげたい……!」

「……おいコイツ本当に海賊女帝か?」

マルコは自身の知るハンコックとは逸脱した姿に若干引いており、海賊女帝と名高いハンコックに何をどうしたらこうなるのかと思っていた

その過程はルフィも言うつもりはないので白ひげ海賊団たちは知る由もないが

「麦わらボーイが無事ならヴァターシはもう行くわ。気になることもあるしね」

「あ?もう行くのか」

「ええ。元々ヴァターシはドラゴンの息子である麦わらボーイを守るためにあの戦争に参加したのよ。戦争が終わって白ひげ海賊団もついてるならヴァターシがいる必要も無いしね。最もあの死の外科医ちゃんに麦わらボーイの面倒を見てもらったお礼をしたいんだけど……」

「……悪いな。ローはまだ寝てる。だがまぁ起きてるところで会わせる事は出来ねぇがな」

マルコは未だにハンコックとイワンコフのことは信用しきれていない

そんな相手に可愛い弟のようなローを会わせる気はサラサラない

マルコのその心情をイワンコフは知って知らずか奪った軍艦に乗り込んで革命軍のアジトへ戻るつもりだ

「ヴァターシたちはもう行くわ!麦わらボーイが起きたらよろしく伝えといてね!」

「任せておけ」

そのままイワンコフは革命軍のアジトへ向かった

白ひげ海賊団はイワンコフの強すぎる個性に少し渋い顔をしていたものの、なんだかんだ悪い奴ではないんだろうなと言う結論に至っていた

「さてと……オヤジ、これからどうする?この感じだとナワバリも海軍に目をつけられて行くことも出来ねぇだろうな。かと言ってこのまま逃げ続けるのも無理がある」

「……そうだな。ここは、」

「ならば、お主ら全員女ヶ島へ来るといい」

・・・・・・

「「「「「……え?」」」」」

「「「「「女ヶ島に!?!?」」」」」

「そう言っておるじゃろう。こんなことしてる暇はない。いいからとっとと行くぞ」

ドン!とそう言い放つハンコックにマルコは頭が痛くなる

額を手で抑え、己の父であり船長である白ひげの判断を待った

「……グララララ。じゃあお言葉に甘えさせてもらうか」

「ふん。ルフィに感謝することじゃな」

(((((麦わらは本当になにしたんだ……)))))

そんなこんなで女ヶ島へ移動を始める白ひげ海賊団とハートの海賊団

ちなみにローはポーラータング号の自室に眠らされており暫くは目覚めないだろうと言われている

マルコは女ヶ島についたら念の為ローの警備を高めるかと考えた

なにしろ女ヶ島は男子禁制の完全なる女の国

しかも住民は全員覇気を扱うことが出来る戦闘民族

警戒するに越したことはない

なんて考えをしている間に気がついたらカームベルトを超え、女ヶ島に入っていた

「すっ、げぇ……ホントに女ばっかだ……」

「美人ばっかじゃねぇか!!!」

「うぉぉぉ!!!まさか生きてるうちに女ヶ島に来れるだなんて!!!」

「うっせぇよい!!!!お前ら状況分かってんのか!?」

マルコは状況を理解せずに浮かれる部下たちに青筋を浮かべ怒鳴りあげる

見聞色から伝わってくる女ヶ島の住人たちの警戒心の強さと敵意

このあまりの排他的すぎる土地に踏み入ってしまった己たちに逃げ場などないと

冷や汗を流すマルコの耳にヒュン!っと風を切る音が聞こえ咄嗟に振り返る

そこには覇気が纏ってある弓矢を素手で掴んで止めている白ひげが目に入った

「グララララ!!!随分と気合いの入った歓迎じゃねぇか!!!なぁ……」

───海賊女帝

ハンコックは覇気を滲ませこちらを見下ろす白ひげを見上げながらタラりと冷や汗を流した

「……っ!皆の者!!!武器を下げよ!!!」

「!?ですが蛇姫様!!!」

「いいから早く!!!」

ハンコックは必死の形相で女ヶ島の住人たちに武器を下げるよう命令を出した

住人たちは納得出来ないように反論を口にしたが今までに見た事のないハンコックの様子に渋々武器を下ろす

一方白ひげはやりすぎたかと頭をポリポリと搔く

少し出来心で脅かしたつもりだが思っていたよりも効いたらしい

「グララララ。悪いな少し脅かしただけだ。大して気にしてない」

「……ふん。勘違いするな!わらわはお主らと戦争をしたらルフィが悲しむと思ったからじゃ!!!」

白ひげは己との力の差を理解していても傲慢な態度を貫くハンコックに目を細めた

自分を大きく見せようとする姿勢に何かあると感づきつつも、そこは触れない方がいいだろうということを察して取り敢えず鷲掴んだままの弓矢をへし折っといた

「……。皆の者落ち着いて聞け!ルフィは此度の戦争で深く傷つき治療をしている!ここほどルフィを匿うに適任な島などない!そのためには四皇白ひげの守護が必要!!!よってわらわは、この者たちを客人として女ヶ島へ招き入れる!!!」

ハンコックのその言葉にザワザワと住民たちは驚きを隠せなかった

いくらルフィのためとは言え男嫌いなハンコックが外の男を招き入れるなど信じられない

だけどハンコックの目は真っ直ぐで本気であることが伺える

そしてなにより美しい

ハンコックの美しさに住人たちはウットリとしており、「蛇姫様が言うなら……」と考えていた

だがここは男子禁制の女ヶ島

その掟はずっとずっと守られている

古くからの掟に特に厳しい人間が、一人ここにいた

「ならぬ!!!ならぬぞ蛇姫!!!」

「ニョン婆!?」

小さくとも存在感のあるニョン婆と呼ばれる老婆は頑なに白ひげたちを島に招き入れることを受け入れることが出来ない

ここが男子禁制の島であるのもあるが……なにより白ひげが"四皇"だから

四皇を匿ったと世界政府にバレてしまったら七武海の称号剥奪だけでは収まらない

誰よりも事の重大さを理解するニョン婆は……

「蛇姫……!そなたは一体何をしておるのじゃ!!!」

若さ故に思慮の足りないハンコックの分までこの国を守らなければならない

「いくらルフィのためとはいえ、四皇を匿うなど到底見過ごせん!!!」

「なんじゃニョン婆。このわらわに意見をするつもりか?」

ハンコックはじろりとニョン婆を睨みつける

いつものニョン婆ならば萎縮してしまうが島の存命が関わっている今、ここで押し負ける訳にはいかない

「そうじゃ!島の掟として、なにより!この島を守る者としてそのものたちの女ヶ島への上陸は認められん!!!」

ハンコックはニョン婆の迫力に目を見開いて言葉を放つタイミングを逃してしまう

ここまで自分に意見をするニョン婆など見たことは無いと信じられないものを見た気分だ

だが愛する者のためにハンコックはこの意志を曲げるわけにはいかない

「だがルフィはどうなる!!!ルフィは傷だらけで匿う場所が必要じゃ!」

「それならば別の場所を探せばいい!女ヶ島を危険には晒せん!!!」

「うぐっ」とハンコックは言葉を詰まらせ、別の言葉を話そうとするも何も浮かんでこず黙りこくってしまう

白ひげ海賊団はひたすら気まずかった

何が嬉しくて女同士の言い合いを眺めればいいんだと

白ひげはここまで拒まれるならどこか適当な無人島にでも逃げるか……と考え始めたとき

「な、ならばこの島の裏にある誰も寄り付かない森ならばどうじゃ!?そこなら海軍にも見つからないじゃろうし、誰にも迷惑は掛からん!!!」

「……じゃが」

だがニョン婆はハンコックの"目"を見た

ハンコックはいつも傲慢な態度で他人のことなど垣間見ない自己中心的な人物だ

それが過去の経験によるものだと知っているがそれでも目が余っていたのだ

そんなハンコックがここまで必死に誰かを想う姿に何も思わない程ニョン婆の心は枯れていない

「それならば……許可する」

「!聞いたかお主ら!!!これからその場所へ案内する!くれぐれもルフィのことを気遣うんじゃな!!!」

「いいか。お主らはここでルフィの傷が癒えるまで過ごせ。だが決して女ヶ島の領土へ足を踏み入れるか」

「グララララ!ああ、分かった。それと女ヶ島の連中へ謝っといてくれ。脅かして悪かったってな」

「……考えておいてやる」

そう言ってハンコックは踵を返して女ヶ島へ戻って行った

本当は女ヶ島の己の城へルフィを匿っておきたかったが、ニョン婆の言うことにも一理ある

己の目が届く範囲でルフィを守りたかったと、ハンコックは唇を噛み締めた

ハンコックが女ヶ島へ戻ったことを見聞色の覇気で察知した白ひげは緩慢な動きで立ち上がる

「?オヤジ、どこに行くんだよい」

「トラ小僧のところだ」

「……分かった。ローは恐らくまだ寝てるはずだ。起こさないようにしてやってくれ」

「ああ」

白ひげは黙々とローの自室へ向かっている最中これからのことに思考を飛ばす

ローは先の戦争でロジャーとの関係がバレてしまった

きっとこれからローは様々な陣営に狙われることだろう

海軍、果てには世界政府と……ここまでの価値がローにはある

それ程までにロジャーという存在は世界を揺るがす

エースは己の息子だ絶対に守ってみせる

だが"ローは違う"

一度だけ、ローを息子にしようと考えたことがあった

けれどローはそれを望まないと思いとどまり口に出したことは無い

そんなことを考えているうちにいつのまにやらローの自室の前までやって来ていた

「……」

白ひげはギィと出来るだけ静かに扉を開け、ローの傍に腰を下ろす

スゥスゥと安らかな寝息を立てるローの頬にそっと手を当て、親指で優しく撫でる

「お前も息子にしてやりたいんだがなぁ……きっとローはそれを望まねぇ……そうだよな、ロジャー」

ロジャーの意思を継いだ次世代の王はいつか必ず現れる

けれどローはその器では無い。少なくても"今は"

そんなことを考える白ひげの脳裏にふと、今回の戦争で大暴れした"D"の名を持つ海賊王を夢見る少年が浮かんだ

「"お前たち"Dの一族は、どうしてこうも数奇な運命に振り回されるんだろうな……」

せめて、運命に振り回されこれ以上傷つかないでくれと……白ひげは存在しないであろう神に祈った

「……あ、オヤジ。ローはどうだった?」

「グラララ。ぐっすり寝てやがった」

「そうか分かった。そうだオヤジ、昼飯の時間だよい」

「ああ?もうそんな時間か」

いつも定時刻に女ヶ島から料理が運ばれてくるようハンコックが手配してくれていた

ただし、決して女ヶ島の住人と話さないことを条件付けられて

そのことに男たちは落胆しながらもその条件を律儀に守っているからか今のところ問題が起きる予感はしない

時々ハンコックもやってくるが、ルフィがまだ目覚めていないと知った瞬間からまるで親の仇のようにこちらを睨みつけて来て女ヶ島へ戻っていくものだから対応に困っている

ただマルコが言うにはルフィはあと数日で目覚めるからそれまでの辛抱だとのことだ

ちなみにエースはと言うと……

「これうめぇな!!!おかわり!!!」

「食いすぎだアホ!!!!」

とっくに目覚めて元気に飯を食っている

エースはあの戦争中基本運ばれるかしていたためジンベエやルフィ、ローよりも負担がかなり少なく怪我の治りも早かった

目覚めたその瞬間から大量の食料がその腹の中に消えたのは流石ルフィの兄というか

これにはマルコたちも顔を見合せて肩を竦め苦笑した

まるであの戦争がなかったかのように平和な白ひげ海賊団

家族は沢山失ってしまったが、何よりも大切な"末っ子"を守り抜くことが出来た

エースが目覚めたときにいざこざがあったのだが……これはまた別のお話

「グララララ!元気でいいじゃねぇか!なぁ、そうだろう?トラ小僧」

「……バレてたのかよ」

「ロー!起きたのか」

「ああ。面倒かけたな不死鳥屋」

「よいよい。あんな怪我だったからな。寧ろこんな短時間で起き上がれるレベルに回復する方がおかしいんだがな……」

そう言いつつマルコは寝たきりで胃が少し弱まっているローのために粥を手渡しながら日常がようやく帰ってきたと、目尻を緩めた

「……、そう言えば海峡屋と麦わら屋はまだ起きねぇのか?」

「ああ。あの二人は特に負担がすごくてな……まぁあの回復速度の速さなら明日辺りには目覚めるだろうな」

ルフィは言わずもがな、ジンベエもずっと赤犬からルフィとエースを守り挙句に右胸を貫かれたりと実はルフィの次に重症だったりする

ただ二人の回復力は異常らしく本来なら数週間しなければ起き上がれないレベルの怪我なのにあと一日で殆ど回復するとの事だ

ちなみにマルコの能力は使われていない

「へ〜。アイツら化け物みてぇだな」

「いやお前が言うな。本来ならお前も本当は起き上がれない怪我なんだけどなぁ……」

マルコはローも十分おかしいとローにおかわりを渡しながらジト目で突っ込んでしまう

実際ローもこんな短期間で飯を食べれるレベルに回復するのはおかしいのだ

マルコは「なんでコイツらはこんなに回復が早いんだ?」と首を傾げている

お前が言うな案件である

「というかここどこだ」

「んあ?ああ、ここは女ヶ島だよい。海賊女帝が態々匿ってくれたんだ。なんでもあの麦わらのためだとよ」

「あの海賊女帝が?不思議な巡り合わせもあるもんだ」

ローはマルコの回答に対してあまりに驚かないらしく、逆に話したマルコが驚いていた

この話をしたらハンコックとルフィの関係性が気になったり、女ヶ島に招かれたという事実に驚愕するのではないかと思っていたのだが……

「あ?生きてたらこういうこともあるかもだろ」とのことだ

コレに関しては一言マルコは物申したかった

「いやねェよ」と

残念ながらローはロジャーのせいで殆どライブ感で生きるようになってしまった

そんな天然クソボケボーイに常識など通じるわけないと

ハァ……と溜息をつきながら何やらもう一波乱ありそうだとマルコは遠くを見つめた


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