黒歴史SSまとめ⑨

黒歴史SSまとめ⑨

頂上戦争⑤


「な、なんだ!?」

「うるっせ!!!…?うわぁ!?なんか地面が揺れてる!!!」

「下からなんか聞こえる!?」

ゴゴゴゴと氷河の下から何かの排泄音が聞こえまるで地鳴りのような音がしてきた

暗い深海から二つの双眼を光らせ一直線に戦場へ向かっていく

「ペンギン!!!この上氷河みたいだけどどうする!?」

「このままぶち破れ!!!」

「アイアイ!!!」

バキバキバキバキ、バゴーン!!!と黄色の鯨…"ポーラータング号"が氷河を突き破ってやってきた

まさか氷河を突き破ってくるとは思いもせずに白ひげ海賊団、海軍問わずに固まってしまう

「な!?ポーラータング号!?氷河をぶち破ってきたのか!?」

「へへへ!ポーラータング号はこう見えて丈夫なんだ!!こんな薄っぺらい氷なんて簡単にぶち破れらァ!!!」

シャチは得意げに鼻を鳴らしペンギンに思い切り頭をはたかれた

「調子に乗るなバカ。そもそもこの船作ったのヴォルフなんだからな」

「いたた……分かってるっての……」

ペンギンは調子に乗っているシャチに一喝し己に課せられた使命を果たす

「白ひげ海賊団たち!!!おれたちのところまで一旦来てくれ!!!」

「行くにしても……!海兵たちが邪魔で…!!!」

「おれ"にまがぜろ!!!」

そう言ってオーズは船を両腕で掴みあげる

そのまま船を肩に担ぎ始めた

「おいおいおい……オーズ……?お前、何する気で……」

「おうりゃあああああああ!!!!!」

「「「「「ギャアアアアアアアア!!!!」」」」

オーズはそのまま全力で船を海まで投げ飛ばした

船員たちはいきなりのことに大絶叫しながら船にしがみつく

そうして派手な水飛沫と轟音を立ててポーラータング号の横に着地する

「し、死ぬかと思った……」

「うっぷ……!吐きそう……!!!」

「ハァ……ハァ……ローぐん…おれ"のやぐめ、はたし……た……」

オーズは力尽きたように目を閉じ地面に倒れそうになる。その隙を海兵たちは見逃しはしなかった

「今だァ!!!!オーズを始末しろ!!!」

「!オーズまだだ!!!」

だがオーズの体はもう限界を迎えておりローのことばに反応出来ず、まるでスローモーションのように体が落ちてゆく

オーズの元に凄まじい量の砲撃が放たれる

誰もが仕留めた、そう思っていた。それでも

「させるわけ……!!ねぇだろうがァァァァァ!!!!!!」

「おいおい!?嘘だろ!?」

白ひげは無理やり青雉の氷を抉りとり、その氷を逆に青雉に投げつけてやった

青雉はあまりのスピードに恐れ慄いて回避する

白ひげは腰を低く落としてオーズに向け能力を発動させた

「オリャアアアアアアアアアア!!!!」

白ひげの振動は有り得ないスピードでオーズまで届き、オーズの巨体を押し退ける

オーズはそのまま白ひげの能力で吹っ飛び、船まで一直線に向かって行った

「「「「「えええええええええ!?!?!?」」」」」

まさかの出来事にオーズに砲撃を放っていた海兵たちは全員目を飛び出させ顎を落とした

一方白ひげ海賊団はあの巨体のオーズが一直線にこちらに向かってきて船に落ちてくることを察して全力で甲板から逃げていた

一応この船はオーズ一人だけならなんとか全員乗れるレベルで巨大だ

それでもオーズレベルの巨体がこの船に落ちてきたことを考えたら……

「逃げろォォォォ!!!!」

「オヤジィィィィ!!!もっとやり方考えてくれぇぇぇぇ!!!!!!」

そうしてビューン!!!とオーズが甲板にナイスホームランされ、見事に船はひっくり返るんでは無いかと思うほどの水飛沫を上げ船首がマリンフォードの地面に着くぐらい傾いた

乗組員たちは全員2mぐらい衝撃で飛び上がり、傾いたことに全員スーッと船首辺りの壁に滑り落ちた

「邪魔だよお前!!!はよどけ!!!」

「おれもそうしてぇけど今は無理だって!!!」

「ああああ!?!?オーズが伸びてる!?生きてるかオーズゥ!!!!!」

「あらら〜これはしてやられたねぇ」

「あーあー。おれの牽制全く意味なかったじゃん……しかも能力でご丁寧に棘の部分だけ破壊しやがって……」

赤犬はビキビキと青筋を額に浮かべギリギリとローの喉を締め付ける

「よくもまぁ、戦場を引っ掛けまわしてくれるのォ……!!!死の外科医ィ!!!」

「うっぐ…!……。はは、随分と余裕がなさそうじゃねぇか赤犬……なんだか誇らしいぜ」

「こんの……!クソガキがァ!!!」

赤犬は怒りのままにローをマグマで焼こうとするものの、なんとか頭を冷やしまずはジンベエから始末することにした

「……お前さんはもう瀕死のみじゃ。そん程度ならすぐに始末できる。ならわしが優先することはただ一つじゃ」

───火拳と麦わらを粛清した後、徹底的にお前を潰しにきちゃる

「っ!?うぁあ!!」

「そこで暫く眠っちょれ」

「う……ぐ…」

ローは赤犬に頭を軽く掴まれ、勢いよく地面に頭をぶつけられる

軽い脳震盪を起こしてしまい立ち上がることが出来なくなってしまう

赤犬はそんなローを一瞥し、ジンベエの元へ液状化し近づいていく

ジンベエはその事に見聞色の覇気で気が付き逃げるスピードを早めた

それでも海兵たちは執念深く追い詰める

「今だ!!!撃て!!!」

「なっ!?」

「うお!?」

海兵たちは赤犬がジンベエを仕留める為のサポートをするためにジンベエに向け、一斉射撃を行う

流石のジンベエも陸地、しかも人二人を抱えながらの射撃には対応しきれない

そうして逃げるのに必死になっているジンベエに刻一刻と近づく死のカウントダウン

エースは大技を連発した後遺症に苛まれ汗を垂らしながら命のやり取りをするジンベエを見て歯を噛み締めた

「ようやった!!!後はわしに任せるんじゃ」

「赤犬さん!!!」

赤犬は後ろからジンベエを仕留めようと溶岩を拳に次々と纏わせていく

「邪魔が入ったものじゃ…よう待たせたのォ……。さあ、特大のマグマ!食らわせちゃる!」

「ここまでか……!」

ジンベエはエースとルフィだけは助けようと赤犬に背を向け船の方角に二人を投げ飛ばそうとする

だがそれよりも赤犬の方が早い

もうすぐ赤犬の拳がジンベエを貫通する……そう思われたその瞬間

「砂漠の大剣!!!!」

「!?クロコダイル……!?」

「ちっ!情けねぇ面しやがって!守りてぇもんしっかり守りやがれ!!!」

赤犬の拳がジンベエを貫く一瞬の隙にクロコダイルが自身の体を砂化し、ジンベエを空の彼方へと吹き飛ばす

ジンベエはまさかクロコダイルが助けに来るとは思いもせずに目を見開く

クロコダイルは鼻を鳴らし赤犬と向き合う

「なんのつもりじゃ……!」

「勘違いするんじゃねぇ。おれはアイツらを助けたんじゃねぇよ。おれは、アイツらを逃がしたことによるテメェらの混乱が見てぇだけだ」

そう言ってクロコダイルは悪どく笑う

ビキビキと青筋を浮き出させ赤犬の怒りは沸点を超えた

「どうやら……死にたい様じゃのォ!!!!」

「クハハハ。テメェのその面傑作だな」


「トホホ……なんでこのおれ様がこんな目に……」

フヨフヨと頼りなく浮かぶデカい赤っ鼻の男"バギー"

ルフィに盾にされたり、話の流れでこの戦争に巻き込まれたりと散々な目にあっていた

だがそれでもバギーの悪運の強さ故か生き残っている

「って!!誰が赤っ鼻じゃコラァ!!!!ん?ギャアアアアアアアアア!?!?」

目を釣りあげいきなり怒鳴り始めたバギーの目の前に大柄な魚人が飛んできた

咄嗟にそれを受け止めたバギーは鼻水を垂らして目を丸くする

「……???」

「おお!いいところにおったのォ!赤鼻よ!!」

「イヤァァァァ!!!なんでここにいんだよ!!!……って誰が可愛らしい赤っ鼻じゃテメェ!!!!!」

(あ、れは……)

ぼんやりとする意識のなか騒ぎ立てるバギーの姿が薄らとローの瞳に映った

あの特徴的な赤っ鼻……確かロジャーの航海日誌に書かれていたシャンクスの兄弟分であり、元ロジャー海賊団の見習い

「頼む!!!その三人を連れて逃げてくれ!!!」

「あぁ!?なんでおれ様がそんなこと……って、お前……!」

力を振り絞りバギーに向け声を張り上げるロー

バギーはそんな面倒なこと誰がやるかとローの方を向く

そうして手配書で見たレストの息子であり、唯一のフレバンスの生き残りであるローに目を見開いてその場にふよふよと浮かんでいた

「お前、ローか!?本当にレスト先生そっくりじゃねぇか!!」

「……?おれのこと、知っているのか?」

「たりめぇだろ!初めてテメェの手配書見たとき驚きすぎて派手にひっくり返るかと思ったんだからな!」

バギーは若干嬉しそうにし、ここが戦場のど真ん中であることを忘れローとの会話に耽っていた

「海賊王の甥と喋ってる……!流石元ロジャー海賊団のバギー船長だ!!!一生ついて行くぜバギー船長!!!」

「やはり貴様らは関わりがあったんだな!!道化のバギーに集中砲火しろ!!!」

元インペルダウン囚人たちはロジャーの甥であるローと会話をしていることに何かを見出したのか適当なのかバギーを持ち上げ始め、海軍はバギーを危険視し始めバギーに向け集中砲火を始める

「ギャ──────ッ!?!?なんだよテメェら急に!!!」

「クソッ!頼むバギー屋!!!三人を連れて早く逃げてくれ!!!」

「頼むつっても、おれは……!」

「頼む……!!!」

「……ああ!!クッソ!!!こうなったらヤケだ!!!やってやらァ!!!」

バギーは必死なローの瞳に言葉を詰まらせ、頭を掻き毟って全速力で逃げ始めた

宙に浮くバギーに攻撃を当てることは至難の業でスルスルと砲撃を躱す

なんだかんだ言ってバギーもロジャーを船長として敬っていたということだ

でなければローの頼みを聞くだなんて、小心者のバギーには有り得ないことなのだから

「悪いのぉ道化の……ご覧の通りにこんな体じゃ動くこともできんくてな……」

「うっせぇ!今は話しかけんな!こちとら避けんのに精一杯なんだよ!!!」

「ありがとうな!バギー!」

「うぐっ……!そんな純粋に笑いかけられたらおれぁ……!」

バギーは純粋に感謝の気持ちを伝えてくるエースを眩しいものを見るような反応をした

元々エースがロジャーの息子であろうが見捨てる気でいたのだ

あくまでバギーが慕っているのはロジャーでエースでは無い

言ってしまえばバギーはエースがロジャーの息子であろうがなんであろうが赤の他人ということ

それでもこうして命を張りエースを逃がそうとするのは矢張りエースにロジャーの面影があったからか、それとも……

「マズイのぉ……!これだと取り逃してまう…!ボルサリーノ!!!」

「こっちもそうしたいだけどね〜。不死鳥たちが思ったよりも厄介なんだよ〜」

一見余裕綽々に見える黄猿だがその実、かなり苦戦させられている

まるで黄猿を逃がさないと言わんばかりの猛攻に流石の黄猿も追い詰められていた

刻一刻と船へと近づくバギーたちに赤犬は手段を選ぶことはしなかった

「…大噴火!!!!」

「うわぁ!?あちぃ!!」

「な、んで…赤犬さ…ん……」

赤犬は味方も敵も関係なく全てを焼き払いバギーを狙い撃ちする

ローはまさか赤犬がこんな博打を仕掛けるなんて思ってもおらず耳を劈くような悲鳴に心を痛めていた

「……これが、お前の徹底的な正義ってわけか……滅茶苦茶だ。本当に……」

「にしてもなんか急に暑くなりやがったな……この感じ、ついさっきも似たようなことが……あ!そうだ。確か赤犬がマグマを……ん?マグマ?」

そう言ってバギーは違和感を覚え後ろを振り返る

バギーに釣られジンベエやエースも後ろを振り返った

「わぁ。綺麗なオレンジ色だなァ」

「あったかいのォ……暑すぎるくらいじゃ」

「ハハハ。何言ってんだジンベエ!マグマなんだから当たったら骨も残らねぇって!

「「「ハハハハハ…ハハ……は」」」

「「「ギャアアアアアアアアア!!!!!」」」

三人は揃って絶叫し全力で逃げ始める

その間もエースはバギーに早く逃げることを急かしジンベエは赤犬の執念に眉を顰めていた

「早くしろってバギー!!!」

「うるっせぇな!!!そんなことわかってらァ!!!こっちだって全力なんだよ!!!」

「後ろじゃァ!!!!」

三人とも騒がしくかもしたてておりエースとバギーは言い合いを始めた

そんな感じでわちゃわちゃしていたらジンベエがそこまでマグマが迫っていることに気がつきバギーの服を掴みあげた

「アァ!?……イヤァァァァァ!!!すごそこまで来てんじゃねぇか!!!なんでもっと早く言わなかったんだよ!!!」

「お前さんらが騒いでおったからじゃよな!?」

バギーに理不尽にキレられたジンベエは目を飛び出させ思ったことをつい言葉に出してしまった

そんな言い合いをしてる間にもマグマが三人に迫りよる

「てっ、こんなこと言ってる場合じゃねぇ!!!早く逃げ……!」

「今だ!!!撃て!死んだものたちの意志を無駄にするな!!!」

だが絶妙なタイミングで海兵たちの邪魔が入り、避けるのに必死なバギーは咄嗟にジンベエを抱えていた手を離してしまった

「うわぁぁぁ!?!?」

「やべ!!!」

ジンベエは怪我のせいで上手く着地を出来ず、だが決してルフィとエースに負担をかけるわけにはいかないと自身を犠牲にして背中から落下し、エースとルフィはジンベエがクッションになってくれたおかげで怪我をすることはなかった

「ジンベエ!?大丈夫か!?」

「ああ……!少し休んでただけじゃ…!直ぐに、」

「今度こそ逃がさんぞ!!!」

赤犬はジンベエが落ちてきたタイミングを逃すこととなく的確にジンベエを狙い攻撃を仕掛けてきた

ジンベエは人より優れている反射神経を生かしその攻撃はなんとか躱す

「海峡屋!!!早く逃げろ!!!」

「もちろんじゃ!今すぐ……。!?」

だがジンベエが立ち上がろうとしたその瞬間、まるで世界が歪んだように視界がぶれてしまい、ジンベエはその場に膝をついてしまう

ジンベエの体は既に赤犬によって体を貫かれ、マグマの熱により代謝が落ち血液不足による貧血状態

動ける方が不思議なほどの大怪我なのだ

その後遺症が、最悪のタイミングで来てしまっただけ。ただ、それだけ

けれど赤犬にとってはこれ以上無い幸運。何度も何度も取り逃し今度こそ仕留められるチャンス。絶対に無駄になどしない

「今度こそ……!徹底的な正義の元、粛清しちゃるぞ!!!!」

「ジンベエ!!エース!!!」

「そこを退け黄猿!!!」

マルコは三人を助け出すために火事場の馬鹿力で黄猿を遠くまで蹴り飛ばす

だが蹴り飛ばしたところで意味が無いことぐらいもう分かっている

だからイゾウは黄猿が動けないうちに黄猿の真上にある瓦礫を撃ち、黄猿は落ちてきた瓦礫の下敷きになる

「クソガキがいきがるんじゃねぇ!!!」

「っ!?」

白ひげは未だに妨害を続けてくる青雉の頭を掴み思い切り地面に叩きつける

青雉はこれで完全に伸びてしまい気絶する

白ひげも他の隊長たちも三人を助けようと駆け出す

だが、それも間に合わない

「room……シャンブルズ……」

力のない声と同時に赤犬の目の前にいたはずのジンベエたちが消え去る

赤犬は三人がいたはずの場所に溶岩をぶちまけ、目を見開く

そうしてこの戦場で見慣れた能力に赤犬は三人を逃がしたローを睨みつける

赤犬の憤りに連動して溶岩がグツグツと湧き出てきた

一方ローは体力を使い果たしゆっくりとこちらに歩き寄って来る赤犬が見えても尚、動くことはなく息を切らしながらじっと見ていた

「いつもいつも……邪魔しよって!!海賊風情が!!!」

「っ!!トラ小僧!!!」

「逃げろロー!!!」

「マズイ……!!間に合わない!!」

仰向けに倒れ今にも気を失いそうなローは赤犬が腕に溶岩を纏わせ己の肉体に振り下ろそうとさようとも体がピクリとも動かずにボヤけた視線で見上げていた

誰もが間に合わない、そう思った

だが

「そこまでに……してもらうか!!!」

ガキン!とローに振り下ろされそうになった腕を誰かが受け止める

突然の乱入者に全員目を見開き乱入者を見た

ローは震える瞼で何とかその姿を確認した

「あか…がみや……」

シャンクスはそのままグリフォンを振り抜き赤犬を弾き飛ばした

瞬時に仰向けに倒れるローを器用に片手で抱き起こす

「大丈夫か?ロー……ごめんな少し遅くなった」

「あか、がみや……おれ、がんばったよ……ロジャーおじさまも……よろこんでくれるかな……」

「……ああ。よくやった。きっとロジャー船長もそう言って笑ってる」

「……よかった」

そう言ってローはシャンクスの暖かい腕の中で気絶するように眠りにつく

シャンクスはそっとローの頭を撫でてやり1度強く抱き締めた

「……おい。ハナタレ小僧」

「悪いな白ひげ。カイドウの足止めをしていて遅れた。……酷い怪我だな」

「ほっとけアホンダラ」

白ひげは今にも倒れそうな体に鞭を打ちシャンクスとローの前に立った

その傍にはマルコや他の隊長格も控えており、ローを心配そうに見ている

「……トラ小僧は」

「安心しろ。気絶してるだけだ。白ひげ、アンタももう限界だろう。ここはおれたちに任せてローを連れて逃げろ」

シャンクスはそのままローを片手で抱き上げ立ち上がり白ひげにローを手渡す

白ひげは両手でローを受け取り片腕にローを座らせるような形を取った

「オヤジ、軽くローを見させてくれ」

「ああ」

マルコは軽くローの状態を見て命に別状がないことが分かりホッと息をつく。そんなマルコの様子にローが無事なことを察した隊長たちはみんな肩の力を弛めた

「……おい。本当にここを任せてもいいのか」

白ひげはもう一度シャンクスに目を向け威圧的に睨みつける

白ひげにとって未だにシャンクスはロジャー海賊団にいた時の見習いのまま

そんなことを察しているのか否か。シャンクスは白ひげの目をしっかりと見て頷いた

「ああ。任せろ」

「……おいお前たち!!!ここは"赤髪のシャンクス"に任せてとっととズラかるぞ!!!!」

「おう!!!」

「悪い赤髪助かった!!!」

「ローのクルーたち!!おれたちの船に着いてこい!!!」

「了解!!!」

慌ただしく白ひげ海賊団たちは残った船に乗り込み逃げ始めた

もちろんそんなこと海軍が許すはずもなく追撃は続く

だが

「1度任せろと言ったんだ。大人しくしておいてくれ」

ボワン!と辺り一体に覇王色が広まり1部の中将と大将以上の実力者以外は全員気絶した

流石のシャンクスの覇気にあの赤犬も冷や汗をかきながら後ずさる

「……っ!白ひげ海賊団を逃して一体お前になんの得があると言うんだ!!!赤髪のシャンクス!!!」

「……強いて言うなら、"新時代"の幕開けを見ることが出来る」

そう言ってシャンクスはもう一度グリフォンを振り、前に構えた

「悪いな海軍。今回は、おれの顔を立ててもらう」


海軍も海賊も数多の犠牲を出した頂上戦争

その結果は異分子の活躍、そして赤髪のシャンクスの乱入によって奇しくも白ひげ海賊団側の勝利となった


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