黒歴史SSまとめ⑤

黒歴史SSまとめ⑤

頂上戦争①


センゴクにより、エースがロジャーの息子とバレた

だが、その後に白ひげ海賊団の傘下たちが水平線の先から現れてくる

ブクブクブクとマリンフォードから見える海と繋がる港の中心に気泡が浮き出てきた

そして予想だにしていなかった場所に白ひげがやってくると気づき、センゴクとおつるは冷や汗を垂らす

「おいセンゴクおれの息子は無事なんだろうな」

世界最強の男が率いる白ひげ海賊団がマリンフォードに降臨した

白ひげはセンゴクと数言と言葉を交わしたあと、先手必勝と言わんばかりに自身の悪魔の実の能力のグラグラの実の能力を発動させる

大気にヒビが入り、まるで水面が生き物のように海を歪ませた

だが何故か海は鎮まっていく

「なんで来たんだよ!!みんな!!!」

エースは自身のせいで白ひげ海賊団を巻き込んだことを深く後悔していた

こんなことに巻き込みたくはなかったと、エースの心の叫びは非常にも全世界に届いていく

ローは万が一のために物陰に隠れてエースの慟哭を聞いていた

鬼哭を掴む手に力が篭もる

───ああ、胸糞悪ぃ

ただ生まれただけなのに何故海賊王の息子であると言うだけでエースがあんな目に合わなきゃならない

エースは、"おれたち"はただ……自由に生きたいだけなのに

「……ん?なんだ……?」

とある海兵が海の水位がどんどん下がっていくことに気がついた

だがそのすぐ後、その異変の正体が分かった

白ひげ海賊団は何もせずにただそこに佇むのみ

やがてグラグラと地が、世が揺れる

そうしてマリンフォード全体を覆えるほどの巨大な海の壁が現れる

「……あの男は世界を滅ぼす力を持っている!!」

巨大な海の壁がマリンフォードを飲み込まんと少しずつ少しずつ近づいてくる

遂に全てを飲み込んで破壊しようとする海の壁は唐突にピシリと止まった

その原因は"海軍大将"青雉の悪魔の実の能力だ

青雉は白ひげを止めようと技を放つ

だが白ひげは簡単にそれをあしらった

青雉はバラバラに崩れ海に落ちていく

海に落ちた青雉は船を巻き込んで全てを凍らした

「うおぉぉぉおおぉぉおおおぉぉお!!!!!」

白ひげ海賊団はこれを皮切りに海軍に突撃をする

それを迎え撃つために海軍も海賊たちに特攻をする

だが、いきなり動こうとしていなかった"王家七武海"が1人、ジュラキュール・ミホークが遂に動く

「推し量るだけだ。近くに見えるあの男と、我々の本当の距離を」

ミホークは背中に抱える巨大な黒刀"夜"を抜く

それを、目の前に立つ巨大な化け物に振り抜く

分厚い氷塊がいとも容易く斬てゆく

その巨大な斬撃を白ひげ海賊団"三番隊隊長"ダイアモンド・ジョズ

ミホークは夜をそっと背中に戻す

「よぉ、おれもそろそろ行った方がいいか?」

「グララララ。勝手にしろトラ小僧」

「ああ……と言いてぇところだがちょっとマズイな」

いつの間にか白ひげの隣に並び立っていたローは突然目の前に現れた"海軍大将"黄猿を睨みつけた

「八尺瓊勾玉」

黄猿が技を放ってきても白ひげもローも決して慌てることはなかった

何故ならそれは

「いきなり、キングは、取れねぇだろうよい!!」

黄猿の攻撃を止めたのは白ひげ海賊団"一番隊隊長"不死鳥のマルコ

(流石だな……)

ローは黄猿をマルコが止めてくれると確信して鬼哭の鞘をとうとう……

抜いた

「はぁ!!!」

マルコが遂に黄猿を蹴り飛ばした

それを合図にローは

「Room!!!」

ブォンと半透明の青いドーム状のサークルが浮かんだ

「な、なんだ!?」

「この能力は……!」

(遂におっぱじめやがったか……)

白ひげの横に立っていたローはまるで瞬間移動したかのようにいきなり消えた

その意味を白ひげは正確に理解し、口角を吊り上げた

「シャンブルズ!!」

「うわぁ!?」

とある海兵の目の前に唐突に現れたローは周りにいた海兵、物を巻き込んで全てのものを一刀両断した

「ぎゃあああ!!!切られてたァ!?」

「うわぁぁぁあ……?なんでおれ生きてんだ!?」

白ひげ海賊団にこんな能力を持つものなどいなかった

そしてこの能力は最悪の世代が使う能力の1つ

つまりそれが意味することは……

「何故ここにいる……!?"死の外科医"トラファルガー・ロー!?」

「おいおい……そんなこと気にしてたらお前……」

───おれに殺されるぞ

そうやって、悪魔は嗤った


「注射ショット!!!」

「うぐぁ!!」

ローは順調に海軍側の戦力を減らして行った

一方海軍側はまさか最悪の世代の内の一人であるローが白ひげ海賊団と結託して戦争に参戦するなど思いもしておらず、予想外の事態で一時統率が乱れていた

しかもローのオペオペの実の能力は未だ未知数

どうにか体制を立て直しローに攻撃しようものなら横から白ひげ海賊団とその傘下に邪魔される

明らかに白ひげ海賊団とローは協力関係にあった

「大丈夫か?ロー」

「ああ。悪ぃな」

ハルタはローに斬りかかろうとした海軍を斬り倒した

2人は同時に目の前にいる巨人兵に突撃しようとするが唐突に地響きがし、今立っている氷塊が揺れ動く

驚いて揺れの発信源を見るとジョズが氷塊に拳を叩きつけ氷塊を巨大な円状にくり抜いてそれを敵に投げつけた

「相変わらずめちゃくちゃな海賊団だ……!!」

口ではそう言いながらローは楽しげに笑っており、ハルタは苦笑いした

遂にジョズが投げた巨大な氷塊がマリンフォードに激突したかと思われた

だが、今の今まで動かなかった"海軍大将"赤犬が行動を起こした

「好き勝手しよって……!」

赤犬は悪魔の実の能力で巨大なマグマを手を生み出し巨大な氷塊を叩き壊した

「大噴火!!」

その勢いは止まらず高熱のマグマが海賊たちに降り注ぐ

マグマの塊は白ひげ海賊団の船を焼き焦がした

白ひげは自身に飛んできたマグマの塊を薙刀に突き刺して一息で鎮火した

「めちゃくちゃな野郎だ……味方のことも考えられねぇのか」

「それローが言うこと?」

ハルタはジトッとローを見る

ローは少し気まずそうに目を逸らさした

白ひげ海賊団と海軍の戦闘は烈火のごとく荒れていく

ローは倒れる海軍と海賊たち、争い続ける人間の間を縫っていきひたすらある一点を目指す

(おれの能力ならRoom範囲内に入れば直ぐに救出できる……!この混戦状態なら直ぐに……)

だが

「!?」

ローは何かが飛んでくる気配がし直ぐに避ける

だが銃声はしなかった

だとしたら何が飛んできた……?

「ロー!!!避けろ!!!」

「!?なんだ!?」

白ひげ海賊団の海賊が唐突に斬りかかってきた

ローは瞬時に避けたが理由がわからずに困惑するしか無かった

「わかんねぇ……!急に体が言う事聞かなくて……!早くおれから逃げろロー!」

「いきなり体が!?なんで……!!!」

ローはゾクリと顔を青ざめさせ背中に悪寒が走った

体の支配権を奪い、操ることができる人間がこの場にたった1人だけいる

そいつは今、この戦争の場にいる

「フッフッフッフ……久しぶりだなぁ……ロー」

「……」

ローは何も答えない。答えられない

ただ背後からかけられてくる聞きたくもない声を黙って聞くことしか出来なかった

顔からどんどん血の気が引いていき体が無意識に小刻みに震えてくる

「まさかこんなところで再開するだなんて思ってもいなかったぜ……どうした?感動の再会なのに返事も無しか?」

「……今は!お前に構ってる暇はねぇ!!!」

ローは腹を括って勢いよく背後に振り返った

だが未だに鬼哭をキツく握りしめるローの拳は震えていた

キッと気丈に目の前の男を睨みつけるローは脚に力を込めた

「だから……そこを退け!!!"ドフラミンゴ"!!!」

「釣れねぇなぁ……さぁ。おれの元に戻ってこい。」

───ハートの席は開けてある……おれの右腕はお前だけだロー

「ハートの席?ハッ!お前の右腕なんてお断りに決まってるだろ!!」

「フッフッフッフ……照れ隠しか?態々"ハートの海賊団"なんて名前をつけているくせになぁ」

「勘違いするな!!誰がテメェの部下になるか!」

吐き捨てるように吼えるローに対しドフラミンゴは堂々とした佇まいで笑ってるだけ

気丈に振舞っているように見えるが、ローは未だに全身の震えが止まらなかった

吐く息も浅くなっていき手が震える

それでも上手く誤魔化しローが震えていることを知るのは遠くからローを見守っている白ひげとローの相棒である鬼哭のみ

「釣れねぇなぁ。でかくなったお前と酒の1杯でも飲み交わしてぇんだが……」

「……っ!いい加減にしろ!おれはお前に構ってる暇はねぇ!!」

"room"

そう言いかけたがドフラミンゴがそんなことを許すわけもない

瞬時に"寄生糸(パラサイト)"を使いローを襲われる

ドフラミンゴの登場により見聞色の覇気が乱れたローはそのことに気が付かなくて目を見開いた

"しまった……!"と攻撃をモロに食らうと察したローはせめて目をギュッと閉じ衝撃に備える

だが中々いつまで経っても痛みがなく恐る恐る目を開けるとそこにはローを斬りつけようとしていた剣を武装色の覇気を纏った銃で受け止め、ドフラミンゴを鋭く睨みつけるイゾウがいた

「っ!?イゾウ屋!?」

「大丈夫かロー!……王下七武海のドンキホーテ・ドフラミンゴだな!?おれたち白ひげ海賊団の前でローに手を出そうだなんていい度胸だな!!」

イゾウはローの過去を知っている

それ故にローにとってドフラミンゴは恐怖の象徴

いつかは乗り越えなければならぬ壁

だがそれは"今じゃない"

それならば己にできることは

「おれがいる間は……!指1本でもローに触れさせねぇ!」

ドフラミンゴから、ローを守ること

「イゾウ屋……」

「早く行けロー!ここは"おれたち"が引き受ける!」

その瞬間凄まじい速度でビスタがやってきて白ひげ海賊団の傘下に伸びるドフラミンゴの糸を斬り裂いた

「随分と好き勝手やってくれたな……!ドフラミンゴ!」

「……!ロー!ごめんな!怪我はねぇか!?」

青筋を浮かべまるで刃物のようにドフラミンゴをキツく睨みつけるビスタに、流石のドフラミンゴも笑みが消える

操られていた傘下の海賊はローに怪我の有無を確認した後、どこも怪我していないことにホッとした

「……おれも悪かった。ここにいるということはこうなると思ってたし、覚悟もしてたつもりだった……」

だがローは左腕でそっと右腕を抱き締め俯いた

その体は確かに震えていて自分の身を守るような体勢だった

「覚悟してた……つもりだったのに……っ!」

「おれは……っ!ドフラミンゴが……怖くて仕方がねぇっ!」

俯いて涙を流すローの瞳は水分を多く含んだせいか光をより多く反射し皮肉にもキラキラと輝いて見えた

「ロー……」

傘下の海賊はローの弱った姿を見て自分が情けなく見えた

しかもその原因を作ったのは紛れもない己自身

なら、今の自分に出来ることはなんだ

「ロー!落ち着け!」

傘下の海賊はローの肩を掴み顔を上げさせる

「大丈夫だ!お前がアイツのことを怖いと思うならおれたちがアイツから全力で守る!だからお前はエースを救うことだけを考えろ!」

「火拳屋を……」

「おれ……いや、"白ひげ海賊団"を信じろ!」

目を見開いてはらはらと涙を流しながらローは目の前にいる傘下の海賊を見た

傘下の海賊はまるで真夏の花畑に咲くひまわりのように、眩しく照らしてくれた

「そうだロー!おれたちを信じろ!」

「お前の道は、おれたち白ひげ海賊団が切り開く!」

ドフラミンゴと交戦しながらもローを信じ背中を押すイゾウとビスタ

ローは豆鉄砲が当たったかのような顔をしたが直ぐに顔を引き締め涙を雑に拭った

「ああ!任せろ!」

前を見つめるその目にはもう、迷いはなかった

「わりぃイゾウ屋!ビスタ屋!助かった!おれは火拳屋を助けに行ってくる!」

「ああ頼んだぞ!」

「お前ならできるさ!」

ローはエースを救いに駆け出した

往生際が悪くドフラミンゴが未練たらしくローに糸を伸ばすがビスタが瞬時に斬った

「ちっ!テメェら白ひげ海賊団とローがなんの関係があるってんだ!」

ドフラミンゴはイラつきながら四皇幹部2人と交戦していた

流石に見かねた白ひげが白ひげ海賊団全体に指令を出す

「息子たちよ!!トラ小僧の援護をしろ!海軍と七武海に指一本も触れさせるな!!」

「「「「「了解!!!」」」」」

白ひげ海賊団は白ひげの言葉通りに動いていく

全員ローを見かけたらローを襲おうとする海兵を投げ倒し道を開く

「なんなんだよ……あの死の外科医がなんだってんだ……」

「……くっ」

センゴクは苦虫を噛み潰したような顔をし、拡声器を顔の前に持っていき声を張り上げる

「そのトラファルガー・ローがただのルーキーと思うな!!そいつは、かの海賊王!"ゴールド・ロジャー"の義理の"甥"だ!!!」

「「「「「!?!?」」」」」

白ひげ海賊団以外の面々は全員動きを止め目を見開く

ローはまさかそんなことがバレているとは思いもせずについ足を止めセンゴクの方に目を向ける

「海賊王の……?」

「でもなんで白ひげ海賊団となんか……」

「白ひげ"エドワード・ニューゲート"!!お前はトラファルガー・ローとどういう関係なんだ!」

「……詳しくは言えねぇな」

白ひげはそっと顔を下げる

ローは世界政府の手によって悲惨な運命に身を投げたことを知っている

ロジャーとローの関係が世界を揺るがすものであるのと同時に白ひげとローの関係もまた世界を揺るがすもの

恐らくこれからローは色んな勢力から狙われることとなろう

それでもこの子がこれ以上悲惨な目に遭わないためにも

「だが手ェだそうだなんて間違っても思うなよ老いぼれ」

───死の外科医"トラファルガー・ロー"のバックには四皇"エドワード・ニューゲート"が常にバックについている

「困るねぇ〜センゴクさん。トラファルガー・ローを始末するかい?」

「……やめろ黄猿!先程も白ひげはローのバックについていると言ったんだ!ここで手を出したら何されるかわかったもんじゃない!!」

そう言ったもののここは戦場だ

そんなことは関係ない。敵だと言うのなら四皇がバックについていてもやるしかない

だがセンゴクの言うことも一理ある

黄猿はセンゴクの言葉の裏に"何かがある"ということを察したが言及することなく引っ込んだ

一方ローは今まで気にしていなかったがセンゴクがこの場にいることをようやく認識した

そうして今は頭の中から抜けていたロジャーの航海日誌が唐突に脳に浮かんでしまった

そう、だからローは悪くない……悪くないはずなのだ

ローはこう見えてだいぶ精神を追い詰められていた

ドフラミンゴにエースの命、その他諸々……

そのおかげかなのかロジャーの航海日誌など頭の隅の隅に追いやられていた

しかし、ロジャーとの関係者とバレたのもあるが何よりも白ひげ海賊団が守ってくれるという安心感から気が緩んでいたローは咄嗟にこう言ってしまった

「仏のセンゴク……?まさかっ!」

そう

だからローは悪くは無い

世界中にこの戦争が配信されあらゆる海賊と海軍が聞いている中で超巨大爆弾を爆撃させても

悪いのは全て地獄で爆笑してるロジャーのせいだ


ピシリと世界が止まった気がした

白ひげ海賊団はローとの初対面を思い出し"あちゃ〜"となった

一方ローの無差別爆弾を知らない海軍は皆動きを止めセンゴクを見上げる

エースはセンゴクを可哀想なものを見るような目で見た

ガープは"はわわわ……"と口を押えセンゴクをチラリと見た

センゴクは怒りか羞恥からかプルプルと震え拡声器を口元に運んだ

「どこで知ったんだ貴様ァ!!!!!」

「ロジャーおじ様の航海日誌!!!!」

「「「「「海賊王の航海日誌ィ〜〜〜〜〜!?!?!?!?!?」」」」」

この場にいる白ひげ海賊団以外、それどころか世界中のこの配信を見てる者たちはみな一様に驚きのあまり目を見開き目玉が飛び出た

流石の赤犬も驚きのあまり空いた口が閉じなかった

白ひげ海賊団の面々は全員死んだ目をして遠慮なく海兵をぶん殴った

八つ当たりである

「馬鹿!!そんな正直に答えるなよい!!」

「あ、やべ」

ローはまたやってしまったと頭をポリポリとかき面倒くさそうにこう言い放った

「あ〜……そのなんだ、今のなし!!!」

「「「「「はぁ────ッ!?!?!?」」」」」

「「「「「このクソボケフリーダム天然ボーイ!!!!!!!」」」」」」

もうこの戦場は先程までの緊迫感は無く、もはやコントと化していた

海兵は色んな意味で困惑して地面につくんじゃないか思わんばかりに顎を落とし、白ひげ海賊団は目を吊り上げローにツッコミを入れた

ローは"あれ、またおれなんかやっちまったか?"と言わんばかりな表情をしていた

センゴクは悲痛な顔をして蹲り、ガープは何処かデジャブを感じていた

「ああ思い出した。これロジャーじゃ」

普段から豪快で天真爛漫なガープとは思えない死んだ魚の目で遠くを見つめていた

(……これおれどうしたらいいんだ?)

エースはひたすら困っていた

今のこの戦場はローのおかげかせいか完全に注目がエースから外れていた

ありがたいやら(海兵に)申し訳ないやらで大層複雑な感情だった

そしてエースは結局隣のセンゴクとガープをチラリと見て"この人たちもこんな顔出来んだ〜"と現実逃避を始めた


シャボンディ諸島

─────なんだこれ

これがシャボンディ諸島でこの配信を見ている人間の総意である

ローが海賊王の義理の甥であると判明した時はスクープだとてんやわんやしていたが現在はローの無差別黒歴史爆弾が爆裂してからはずっと頭に?が踊っていた

そうしてシャボンディ諸島の人間は全員こう思った

「「「「「もう勝手にやれ!!!!!」」」」」


「エースぐん!!」

「わぁ────ッ!!!!トラファルガーに気を取られててコイツに気が付かなかった!!!!」

「あ、やべおれオーズのこと忘れてた」

「おれもだわ」

海軍はローの黒歴史暴露によって気を取られすぐそこまでオーズJrが来てることに気が付かなかった

一方白ひげ海賊団側もオーズJrのことをスッパリ忘れており気が抜けていると気を引き締め直した

「みんなじておれのごと忘れてるなんてひでぇ!!」

「わ、悪ぃなオーズ……」

若干オーズは半泣きでそれでも健気にエースを助けようとしていることによって白ひげ海賊団と海軍は"なんかごめーん!!"となった

こんな惨状を生み出した元凶(ロー)は流石に申し訳なくなってとりあえずすぐ側にいた海兵を殴った

「いだっ!え!?なんで!?」

「うるせぇ!!黙ってろ!カンターショック!!!」

「理不尽だ─────ッ!!!!」

そのままその海兵は感電して気絶

ただの八つ当たりだ可哀想に

オーズJrの登場によりセンゴクの黒歴史ショックはかなり薄れ、センゴクは相手は海賊だと言うのに感謝の念を浮かべてしまった

「エースぐん!!助けに来た!!」

「オーズ!!!なんかすまねぇ!!!」

オーズはエースを助けようと手を伸ばすがそれはサカズキによって阻まれる

次にクザンによって凍らせられようとしたがジョズが何とか阻止した

ローは上で暴れている間にエースを救おうと近づく

だがそこに

「待て!!トラファルガー・ロー!」

「っ!?……確かお前は……"白猟"のスモーカーだったか……」

ローは中々面倒な相手に目をつけられたことに内心舌打ちした

自然系の能力者には武装色の覇気が有効だ

だがこの場にドフラミンゴがいることを加味するとあまり覇気は使いたくない

気は進まないがここは一思いにやり合うべきか……

ローが思考を回していたその時

「「「「「うわぁ〜〜〜〜!?!?!?」」」」」

「「「「「!?!?!?!?」」」」」

突如、上から何かが降ってきた

軍艦1隻と、オカマが大量

そして"道化のバギー"、"元王下七武海のクロコダイル"、"革命軍のイワンコフ"、"海峡のジンベエ"

そして

「エ─────ス!!!!」

シャボンディで壊滅したはずの……

麦わらのルフィ


「どうなってやがる!?」

「……」

混乱するスモーカーを他所にローは上から降ってきたルフィをどこか眩しいような目で見た

もし、自分が麦わらのルフィのような人間だったらコラさんはどうなっていたのだろうと

(……なぁ、コラさん。あんたが求めていた"D"は麦わら屋なのか……?)

「なっ!麦わら!?」

(いける……!)

ローはルフィに気を取られたスモーカーの隙をつきエースの元へ向かった

「しまった!おい待てトラファルガー!!」

そのことに気がついたスモーカーが再び追おうとしたその時

「ただのルーキーと思うな!そいつは革命家ドラゴンの実の息子だ!!!」

「な!?」

「あのドラゴンの!?」

ルフィがドラゴンの実の息子ということがバラされた

流石のローもこれには足を止め唖然とルフィを見つめた

革命家ドラゴン……知らない人間はいないと断言できる存在だ

最悪の犯罪者と名高いドラゴンに息子がいるなど想像もしていなかった

(……いや)

"エース"と言う前例がいるのなら、さしておかしくはないか……とローは思った

海賊王の息子とドラゴンの息子

そして祖父は英雄ガープ

「……つくづくおかしいな。お前の一族は」

ローはフッと笑い鬼哭を改めて担ぎ直した

「よぉ、オーズ。悪ぃな少し遅れた」

「!ローぐん!全くおれ"のごと忘れてるなんてひでぇ!」

「悪かったよ……さて、火拳屋は無事か?」

「おう!でも大将たちが邪魔で近づけられねぇ」

「……大将か。厄介だな……」

ローはシャンブルズでオーズJrの肩に乗り数言言葉を交わした

ジロリ睨み合う大将とロー、オーズJrに飛び込んできたエースの言葉

「帰れルフィ!!!」

だがその言葉の裏に隠されたエースの本心

それを察したローは胸を痛めた

元来身内争いが苦手なローにとって兄弟の喧嘩ほど胸が痛くなるものは無い

それでもルフィはいつもいつもローの想像を超えてくる

「おれは!弟だ!!!死んでも助けるぞ!!!」

ローは信じられないものを見るような目でルフィを見た

あんなに言われたら普通の人間は頭に来て口論がヒートアップしていくものだ

なのにルフィはそんなことにはならずに助けると言い切った

その様子にローは益々ルフィに興味を取られていく

(なぁ麦わら屋。お前はやっぱり"Dの一族"だ)


波乱は大きくなるばかり


「おいオーズ」

「?なんだローぐん」

「おれが何とかして火拳屋を解放させる。お前は白ひげ海賊団の奴らが何とかこっちに来れるように出来ねぇか?」

「ウーン……でもどうやっでここににづれてくんだ?」

「……」

ローは顎に手を当てて方法を考える

状況を理解するのが戦場での勝利の1歩

周りの状況は現在、白ひげ側は海賊と海軍の抗争

エース側は大将赤犬、英雄ガープ、海軍元帥センゴクが側に控えている

そして白ひげ側とエース側を隔てる溝……

(……なにか嫌な予感がする)

「……オーズ、少し辛いかも知れねぇがお前がここに倒れて道になってくれねぇか?」

「……。任せろ!それでエースぐんが助かるなら!」

「……悪ぃな」

だがローはエースが嘆くのを辞めたことに気がついた

唐突なことに驚愕したがエースの何かを決意したような表情に何かを感じて押し黙った

(……絶対に助けるからな)

「おいトラ小僧!そっちはどうだ!」

「悪くねぇ……とは言ったら嘘になる。だがこっちはこっちでどうにかする!そっちは海軍の戦力を潰すことに集中してくれ!」

「そうか。聞こえたか野郎ども!!トラ小僧を信じて海兵共の戦力を少しでも削れ!!」

「「「「「うおおおお!!!!」」」」」

「それとスクアードの野郎はどうした?」

「それが……どこにも見当たらなくて……」

「……そうか」

白ひげはそれに少しの違和感を覚えたが先ずは戦況を変えることを優先し、傘下たちに海軍の軍艦を潰すことを命令した

「……なるほどな。四皇白ひげ……戦闘力に加え頭もキレる……」

「ローぐんオヤジさんの考えるわがるのが?」

「なんとなくだがな」

ローはチラリとルフィのとこを見たが特に何も問題なく海軍を蹴散らしておりニヤリと笑った

「さてと、こっちも動くぞ。オーズどうだ?」

「おう!良さげなところを見つげだがら今から倒れるどころだ!」

「よし……!!」

ローはオーズに倒れろと指示しようとしたが何か嫌な予感がした

強い殺気……これはマズイ!!

「っ!!room!シャンブルズ!!」

「うおぉっ!?」

咄嗟に能力を発動させたローにオーズはびっくりして体制を崩し派手に倒れた

「……!?オーズ!?ロー!?どうした!!」

「ちっ……!赤犬が動き始めやがった!!」

「さっきから好き勝手やりようて……!」

ボコボコとマグマを溢れさせ怒りを目に表し今にもローとオーズを焼き尽くさんとしていた

「っ!緊急事態だ白ひげ屋!!赤犬が……!」

「遂に動き始めた!!!」

「大噴火!!!」

「っ!Room!!シャンブルズ!」

「ローぐん!どうする!?」

「とりあえず逃げ回るしかねぇ!!」

ローは赤犬に苦戦しながらも、なんとか逃走していた

だが赤犬の執念は留まることを知らない

逃げ回るローに溶岩を放ち続ける

ローだけならまだしもかなりの巨体であるオーズを連れ回りながら逃げるのは難しく、段々とローの息が上がっていく

「ハァ……ハァ……」

「ローぐん!おれ"のごとはいいがらエースぐんを!」

「何言ってやがる!ここでお前を置いて行けわけないだろ!?誰か死ぬぐらいなら、作戦失敗でいい!」

「ロー!!!オーズ!!!」

「ちょこまかと……いい加減にせんかァ!!」

「しまっ!間に合わ……」

瞬時にRoomを開こうとするも体力切れでRoomを展開できず、ローはオーズの肩の上でよろけてしまった

その隙を見逃すはずもなくローとオーズの上で今まさに、大量の溶岩が降り注ぎそうになる

「ハァ!!!!」

だがその溶岩は横からの強烈な波動により消し飛ぶ

「……!白ひげ屋!!」

「全く……無茶しやがるマグマ小僧……」

溶岩を消し飛ばした張本人は自身の船の船首から戦場を見守り続けていた白ひげ

ローは助けてくれたことに安心しつつも少しムッとした

「助けるならもっと早くしろ!!!」

「グララララ!!そう怒るなトラ小僧。おれもそろそろ暴れるところだ」

「早くしろォ!!!!」

そんなやり取りを続ける2人を見ていた一つの影が白ひげの後ろにゆらりと現れた

「おやっさん」

「スクアードか……」

「なぁ、おやっさん。おやっさんにとってローとエースが大切な存在で何がなんでも守りたいんだよな」

「……スクアード?」

スクアードは俯いて言葉を重ねていく

余りに様子のおかしいスクアードに白ひげは怪訝に思った

「2人を守るためには、おれたち傘下なんてどうでもいいのか?」

「……何を、言ってやがる」

白ひげはゆっくりとスクアードに体を向ける

その瞬間スクアードは刀を抜き、白ひげに突き刺そうとする

「っ!?」

白ひげは唐突なことに驚愕しながらも病などない健康体ならばその攻撃をいなす事など容易い

直ぐにスクアードの刀を弾く

「っ!?白ひげ屋!?スクアード屋!?」

「親父!!!」

マルコが2人の元に飛んで行きスクアードを抑え付ける

「お前一体何をやったのか理解出来てんのか!?答えろ!!!スクアード!!!」

「うるせぇ!!!お前らもあの2人を守るためならおれたちのことなんてどうでもいいと思ってんだろ!!!」

「そりゃあそうだろうな!!エースは海賊王の息子でローは海賊王の甥だ!!そんなヤツらと比べたらおれたちは全員そこだにいる虫けらみたいなもんだ!!だから簡単に切り捨てる!!なぁ!!そうだろ白ひげ!!」

「スクアード屋……?」

スクアードは堰を切ったように白ひげに罵倒を浴びせていく

マルコはスクアードの散々な言い分に図らずとも抑える力が強くなっていく

そんな中白ひげだけは黙ってスクアードの話を聞き続けていた

白ひげから見えたスクアードのその表情は、なにか痛みに堪えて今にも泣き出しそうに見えたから

「海兵から聞いたぞ……!エースとローの命を助けるために、アンタはおれたち傘下を売ったんだろ!?他でもない!海賊王の形見のために!!」

「言いがかりはよすんだよい!!スクアード!親父はそんなことするはずがねぇ!!そんなことお前もよく分かってるだろ!!」

「黙れ!!だったらこの惨状はなんだ!!!周りには海軍の新兵器に囲まれて、傘下たちはどんどん力尽きていってるじゃねぇか!まるでこのことを知ってたみたいじゃねぇか!」

「それはたまたま……!」

「……おい、スクアードのあの話……」

「う、嘘に決まってるだろ……?親父さんがおれたちを売るはずねぇよ!」

「そうだ!!スクアードのやつは騙されてんだ!」

「でも、このパシフィスタは……」

スクアードのその言葉に傘下たちの白ひげの信頼が揺らいでいく

白ひげがエースとローのことを大切に思っていることなど周知の事実だった

だからこそ、この不信感は拭い切れるはずはなかった

そして、その不信感はローにも伝わった

伝わってしまった

(どうしようどうしようどうしようどうしよう……!おれの、おれのせいで……!白ひげ海賊団が揺らいでる……っ!おれが……いるから?)

「ヒュー……ヒュー……」

「!ローぐん!!落ち着け!ぎいちゃダメだ!!」

オーズはローの気配が揺るぐのを感じた

オーズは断片的にだがローの過去を知っている

それ故に、己の存在がトリガーとなり恩人を亡くしたと

だから、この惨状を、この惨劇を、ローに決して見せてはいけない、聞かせてはならないと

「落ち着けェ!!!!」

この場を鎮められるのは、たった1人

「おれが、そんなことするわけないだろう!!アホンダラ!!!」

"父親"である、ニューゲートのみ

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