黒のすみか

黒のすみか


なんでもない日々だった


「見て見て※※!※※と同じ名前つけたの!」


ただそれだけが続いて欲しかった


「うわぁーん聞いてよ!!二条先生が死んじゃったんだよぉ!!」


彼女が笑い、泣き、また笑うそんな日が・・・




「あー・・・今日も特に珍しい事は起きなかったなぁ」

今日も至って普通の日々を思いながら散歩に出掛けていた。

理由はない、ただこの毎日に飽きていただけだった。

そしてこの日々が続くのだろうと考えていた。

周りはすっかり暗くなり月が街を照らしている

「さーてもうそろそろか・・・!?」

おかしい・・・普段だとしない匂い、あの家には似つかわしく無い匂いが家に近づく度に強くなっていく。


血だ 血の匂いだ


「・・・!?」

全身から汗が噴き出る。

いやきっと偶然だ、そんなはずが無い。そんな事あっていいはずがない。

家の前に到着し、いつも通りの通り口から入ろうと・・・入ろうと・・・

何故だ?体が動かない?何を恐れている?止まる理由なんてないはずだ。

それなのに何故俺の体はこんなにも警報を鳴らしている?

「・・・ええい!!煩わしい!!」

俺は体を無理矢理動かし家の中に・・・いえの・・・ナカニ・・・




大量の赤が視界に入る。

本来なら決して見る事はないであろう量。


血だ


家の中に大量の血が流れている


なぜだ?


そんなの一つしか、いやそんなわけがない

何を弱気になっている。

きっと輸血パックか何かをどこかから持ってきて盛大にぶちまけたんだろう。

ああそうだそうに違いない!全く遊び心が多い彼女には困ったものだ。

掃除が大変に・・・


そう思って床を走ってた時に目に入る


本来はそのままだと見えないものが


いつも見上げるか高い所に登らないと見えないものが


「あ、あぁ、あ」


彼女の頭部が目に入った


首から下がない正真正銘の頭部が


「アアアアアアアアアア!!!!!」















「・・・あぁ、またあの夢か」

夜中にテントの中で目が覚めた俺は欠伸をする。

こういった事は珍しくない、というかほぼ毎日起きていた。


あの後凄惨な死に方をした彼女は呪霊となり俺の目の前に現れた。

そして俺は彼女までもが怪物に成り果てた事に耐えられなかった。

・・・だから殺した、俺の手で、彼女を化け物にしておきたくなかったから。


テントの外に出て空を見上げる。


・・・月が出ていた。

あの日と同じ月が。


俺はあの後に何故彼女が死ぬ事になったのかを周囲の声や忍び込みをして調べ上げた。

そして辿り着いた。

彼女を殺した猟奇的殺人犯に。

あの時に感じた思いは忘れた事は無い。


あの時も!あの時も!あの時も!

そして今も思い続けている。


「くく・・・あははは・・・」


殺す


殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す


殺してやる



ただ生命活動を停止するだけじゃ飽きたらねぇ


尊厳も存在も何もかも破壊し尽くして殺してやる


その為に俺は・・・


あいつを呪い殺す為に俺は高専に来たのだから


この怒りを共有する仲間も必要ねぇ


正の力も無の力も要らない


・・・この呪いは、俺だけのものだ。


「あっはははははははははははははははははははははははははははははは!!!」



・・・月の下でかつて人であった獣は嗤う

あぁ、どんな最期をくれてやろうか


・・・これが俺が呪術師になった理由だ。


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