『黒い意志』感想戦
イントロダクションの「2年後のフランキーは相当服の方が配慮しないと全てどうやって着たんだお前になってしまう」の一文に笑ってしまいましたありがとうございます…!
服の方に配慮して貰うのか…(困惑)
まぁでもワンピース世界は数m級の大きい子やらトンタッタのような小さな種族、手長族やら足長族のようなびっくり関節な人種や魚人や獣人もいますしね…服の多様性は広い。フランキーのような体躯の人でも当たり前のように服が着れる世界なのは何気に凄いんじゃないだろうか…?
そんなこんなで感想をば。
新作だー!\太陽万歳!/
執筆お疲れ様でございます…!
末永く語り継ぎますね…!
『黒い意志』
さぁさぁやってきましたコリーダ闘技場の一幕、その続編。
前回『お前は獣か?』の終わりにて登場したルフィと、闘技場での神聖な血の儀式を台無しにした小憎きアイツことシーザーが対峙する所から始まります。
語り部はディアマンテ氏。闘技場の英雄が見つめる物語の行く末。
初っ端からルフィとシーザーの舌戦。
ルフィの台詞には思わず読者たる自分もディアマンテ氏と同じ反応に。
ここまできっぱりとルフィが言い切るのも珍しい気がしますね。
怒りを顕にしそれを身に纏うルフィに負けじとシーザーも吠える吠える。シーザーは台詞的にもまだまだ余裕を感じますね。
大仰に振る舞うシーザーを横目にいつもの通りはやり取りを交わすルフィとウソップに思わず笑みがこぼれます。
冷静に現状を俯瞰し情報を整理するディアマンテ氏の視点は分かりやすいですし、ルフィ達のやり取りにツッコミを入れたくなる気持ちも良く分かります。
ディアマンテ氏の視点から語られる言葉達と場面の推移、闘技場の司会のギャッツさんの奮戦ぶりが伝わってきます。
こんな異常事態であろうとも、少なくとも千はいるであろう観客達が恐慌状態にならずにいられるのは闘技場の英雄達の判断とギャッツさんの呼びかけのおかげでしょう。闘技場側と観客側の強い信頼関係が伺えるようです。
シーザーが電伝虫片手に己の手腕と成果をアピールし続けてる間にドレークさん達海兵も到着。これから海兵主導での避難誘導だろうか?
そしてシーザーの演説の終わり、遂に闘技場にいるディアマンテ氏達にも”おぞましい”気配と赤子の声が届いてしまいます…!
そして何気にヤーナムからの狩人の来訪も情報共有されていた事実。でも一人で大丈夫なんかね?と思うディアマンテ氏はご尤もだと思う。
あわや王宮は大惨事か…?!と思われたのも束の間。弱々しくなっていく気配。
王宮に産まれ落ちたであろう傑作の異変に流石のシーザーも表情を変えます。
シーザーの憶測に答えを示すように明かされる「医者連中」の逆転の一手。
喜ぶウソップの台詞に、切れ味鋭いルフィの一言がシーザーを突き刺します。
いや今回のルフィはかなり台詞の切れ味が鋭い…シーザーがそれだけの怒りを買っているのはそれはそう。
怒り心頭なシーザーが放つ秘儀をものともせず、避ける事もなくキュロスさんの前に立ち続けるルフィ。
衣服がボロボロになるのも気にもせず、芯の通った言葉達と共に仁王立ちて見せるその気迫。
どことなくその姿はドラム島で彼が見せた「ほらな、折れねぇ」を思い出してしまいました。
これにはディアマンテ氏の口角が上がるのも頷けます。
そして何気にシーザーはディアマンテ氏達からの攻撃のダメージを回復をしてなかったのね…まぁ輸血液なんて使おうものなら上位者の怒りと呪いが降り注ぐのは目に見えてるか。見えてるリスクは侵さない。腐っても化学屋、冷静ですね。
ルフィの事を語るディアマンテ氏は本当に楽しそうで、読んでる此方もなんだかニコニコしてしまう…戦士としてもそうじゃないにしても、ルフィの事気に入ってるのかな、ディアマンテ氏。
キュロスさんへ呼びかけた内心の呟きは、若手の戦士達を見守る歴戦の猛者そのもの。
仁王立ちからずんずんとシーザーに距離を詰めるルフィ。応戦するシーザー。
喚こうが幾ら秘儀を打ち込もうが足を止めないルフィに対しての焦りが滲んでそうなシーザー。
そして何気に重要そうなアイテムが。
青い竜の鱗。放たれる秘儀は”熱息”…
その鱗、もしやカイドウさんの…?
その鱗に秘められていた神秘の力の記憶を秘儀という形で再現したのか…?!
ルフィとシーザーの戦いを、仲間である狙撃手…ウソップは何も言わずに、しかし感覚を研ぎ澄ませながら見守っている。
これは怠惰などではない、ルフィの戦いに水を差さぬという戦士としての弁えなのだろう。
きっとキュロスさんもディアマンテ氏も、闘技場の観客達も。同じだ。
ルフィが高らかに叫ぶ。
そしてディアマンテ氏は見た。
かつて北の海の片隅でみた景色と同じ。
雲を裂く雷のような、黒き意志を。
同時に思い起こすのは、遥かなる回想。
かつて彼が見上げ戴いだ、王の後ろ姿。
ディアマンテ氏の回想の内容にちょっと心と肝が冷えましたが、この世界線の兄上ならさもありなん。
…しかしコラソンに庇われる事態にまでなった事あったとは……ひえ…
でもディアマンテ氏の気持ちも分かる気がするのです。
偉大なる王、強者の背中を戦士として追いかける日々は苦しくもあり、しかし確かに充実もしていたのだと。振り返ってみれば悪くなかったと思えるのだと。
かつて自らが戴いだ王が「竜」であるならば、今目の前にいる若き戦士達は「水晶」だとディアマンテ氏は想う。
――ああそうだ、あれが竜なら、こいつらは水晶だ。
そう金にもならねェ、透明で、すこぶる硬えだけの。
だが、どんな絶望の中でも決して砕けることがない。――
…ディアマンテ氏のこの一文を読んだ時、心の底が燃えるように熱くなり、気付けば目頭が滲んで画面がぼやけてました。ありがとう…ありがとう作者様…!
タイトルに添えられていた『水晶の精神』という一文だけでも既にグッと来ていましたが、こんなにも格好良い一文をドドン!とお出しされたら完敗ですよ…!素晴らしい…!感謝を…!
炎のブレスすら乗り越え尚も歩みを止めないルフィに対し、シーザーは逃走を図ります。心が折れてますな、シーザー。
勝負あり、でしょう。
指笛で呼び出した獣達に時間を稼がせ逃走を図りますが、そうは問屋が卸しません。
獣達は駆け付けたフランキーの華麗なるヘッドショットに蹴散らされ。
シーザー自身もウソップの巧みな話術と冴えたる狙撃の一手に逃走経路を封じられます。
そうしてシーザーの目の前にはルフィが。
この期に及んで口達者に自身の保身に走るシーザーに対してルフィから返される返事は一つ。
重たい重たい一撃。
拍手喝采。一時は暗雲垂れ込める空気であったドレスローザの夜に、ギャッツさんの音頭で熱い歓声が響く。
最悪が最高の瞬間に変わった。
そして一撃に伸びるシーザーへ、ルフィのトドメの一言。
素敵な、最高の物語をありがとうございます…!