黄昏

黄昏


ライダー side in

セイバーの足止め、正直厳しいところではあるが、困難を超えてこその英雄。この程度、軽く超えて見せよう!

「はああああああ!!!」

セイバーへと斬り掛かるがこちらの攻撃を意にも介さず反撃を返してくる、紙一重で避けつつ繰り返し攻撃を続ける。

目標は上段からの大振りあるいは横なぎの一撃だ、それを引き出すためには…

(主殿)

(───っ!?ライダーか!?悪いが今手を離せないんだが!!)

(はい、単刀直入に言います連続宝具使用をしますので気張ってください)

(は!?ちょ、ま…)

主殿には許可を取った、本気で行こう。

「宝具───『遮那王流離譚四景、壇ノ浦・八艘跳』!」

自身の速度を上昇させながらセイバーと切り結ぶ、現在の速度であれば背中の弱点を狙うことすら出来るだろう…

だがそれもブラフだ、あくまで私の役割に徹する。

「はははは!遅い!遅いぞセイバー!その程度では私を捉えられんぞ!!!」

「…」

「どうした!何も言えんか!」

煽りながらこちらの様子をじっと見ているセイバー…狙いに気づかれたか?

「ふむ、こうだな」

その一言と共に私の頬に1本の赤い線が走る。

「速度が上がっているだけで直線的な軌道は変わらない、ならそこに剣を置くだけでいい」

ここまで対応されるとは思ったよりも時間が無い、急がなければ…!

「はあああああ!!!」

速度を活かしひたすらに必要な攻撃を狙い攻撃を続ける、加速したその勢いで背中を狙う!

───今だ!

「甘い!」

横なぎの一閃がこちらに迫る、本来ならここで胴体が真っ二つに泣き別れだろう。だが、甘い───!

「宝具───『遮那王流離譚三景、弁慶・不動立地』!!」

剣と私の間に武蔵坊弁慶の肉体を擬似的に構築する!

「む!?」

セイバーも驚いたのか一瞬剣の速度が落ちる

擬似再現した弁慶の肉体が剣を受け止め、セイバーの体をガッチリとつかみ離さない。

「今です───!」

「任せなああ!」

斧についたカートリッジを複数使用し強引に威力を引き上げセイバーへと振り下ろす!

「黄金喰い(ゴールデンスパーク)!!!!」

雷神の一撃がセイバーを襲う、筈だった。

弁慶の肉体に剣が刺さったままセイバーが宝具を解放する

「幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)!」

剣から黄昏の光が漏れ、止めていた弁慶の肉体を真っ二つに切り裂いていく───!!

「しまっ───」

「なっ───」

私たちの視界を黄昏が染めていく

ライダー side out


神永side in

くっそ、ライダー…魔力ガンガン持っていきやがって…

「っぐ…」

身体の回路が軋み、唸りを上げる。

「ちょっと!?頼むからまだ戦闘は終わってないから倒れないで!」

「あた、りまえ…だろ」

そう言いながら何とか立つ、トーマスは余裕そうにこちらを見ている。

「はっ、今の隙を狙わないとはお優しいな…」

「はっはっはっ、いや正直に言うと攻撃手段がなくてねぇ」

「なら攻撃させてもらうわよ!Nummer 3 - Aanval(三番─突撃)!」

取り出したエメラルドをトーマスへと投げつける美作、エメラルドは形状が流体の槍となりトーマスへと突き刺さろうとする。が地面のコンクリが盛り上がりその攻撃を防ぐ、砕けた壁の向こうではなにかに頷いたようなトーマスが無傷でいた。

「ほほう、固体操作…いや魔術特性で宝石の形状を変化させながら内部の属性がついた魔力に最適の形に変化させているのか、なるほどなるほど」

「…アイツぶっ殺すわ」

「落ち着け、少なくともあの防壁を抜く手段がねぇ」

全く、攻撃手段は無いが防御手段があるってことか厄介極まりない。どうするか考えねば…

その瞬間、黄昏の光が屋上を包み込んだ。

「なっ!?セイバーの宝具?!」

「バーサーカー!!!」

「やれやれ無茶をするな、セイバーは。向きを間違えればホテルがボロボロだぞ」

トーマスは余裕そうな表情だ。

「ライダー!!!」

黄昏の光が晴れるとそこにはボロボロのバーサーカーとライダー、そして何故か膝を着いているセイバーがいた。

一体…何が…!?

神永 side out

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