魔法少女Nemesis

魔法少女Nemesis


魔法少女Nemesis

生前:アレーン=バーミング(劇団パラノイア第13代団長・只人・男性・享年81歳)

願望:復讐

共鳴:憤怒

才能:演技(自分が自分であることを保ったまま、自分以外の存在になる才能)

杖名:Intolerance(「不寛容」「映画・公演で使用される鉄パイプを組み立てた移動式足場」)

過去:

 人滅クランのコミュニティにてエルフの両親から生まれた、先祖返りの純血の只人。耳はやや長いが、それだけ。

 エルフでないことが露見したその時から両親の虐待が始まり、自身の素性と傷跡を隠し、「少し魔法の苦手なエルフ」の役を羽織って生きていた。

 殺されたり追放されたりせず虐待に留まったのは、種族が露見した時点で既に彼が人滅コミュニティに馴染んでおり、迂闊に抹消すると両親にも人の血を引いている嫌疑がかかる恐れがあったから。

 そんな彼の人生を変えたのが、劇団パラノイアの公演だ。コミュニティ内のやんちゃなお兄さんに連れられて子どもたちと共に見に行った公演は、内容こそ悲劇だったが、彼の心に希望の火を灯した。その夜、アレーンはコミュニティを脱走した。

 追っ手を撒いて劇団パラノイアに辿り着いたアレーンは演劇の世界へのめり込み、めきめきとその才能を発揮していった。彼は優れた舞台役者であり、また演出家であった。でも脚本はちょっと苦手だった。彼はやがて団長となり、結婚もした。妻もまたパラノイアの団員だった。

 幸福の絶頂期はそう長く続かなかった。妻が凶刃に倒れたのだ。下手人は両親。大陸を巡遊する公演ツアーの最中、アレーンを庇っての死だった。コミュニティ内での自分たちの立場を崩壊させた、忌まわしき只人の息子。その幸福は両親にとって、否定されなければならないものであった。

 衛兵が来るまでは時間があった。他の団員もいなかった。そのタイミングを狙っての襲撃だった。妻と引き換えに手に入れた時間で、彼は両親を捕縛した。殺すことも出来た。出来なかった。妻の遺言がアレーンを縛っていた。「復讐なんかの為に、あなたの人生の時間を使わないで」。両親は衛兵に突き出され、公的な手続きを経て処刑された。

その後、アレーンは今までにも増して演劇へ没頭した。事件のことを引きずっているのは明白だったが、寿命を削るような無理はせず、劇を作っている間は本当に楽しそうにしていたので、仲間たちはそれを止めなかった。劇団パラノイア13代目団長アレーン=バーミングの最期の役は、「死期を悟った老エルフ」だった。演目の終了と同時に彼は死んだ。残りの人生の時間全てを、演劇に費やしたのだ。


人生を全うして、脱力していた。そこに『魔』が差した。


魂に染み付いた才能を差し出して手に入れた炉を、燻り続けた怒りの炎で稼働させる。

復讐の残火。魔法少女Nemesisの誕生である。


現在:

若き日の妻を模した容姿の白フリル魔法少女と化した彼は、人滅クランや子を害する親を復讐対象に据えて800年ほどの間、破壊活動を継続している。これは本来の願望である「両親への復讐」が「自分の手で両親に苦痛を与えたい」「刹那たりとも両親が現世に存在することを許したくない」の相反によって永遠に成就しないことへの代償行為である。本来の願望から離れた代償行為の為に行使している関係で、魔法の出力は同規格の魔法少女に劣る。しかし同規格の魔法少女は願望を成就すると想いの力が弱まり存在を維持出来なくなることが多い為、一概にデメリットであるとは言い切れない。

生命活動がないとは言え女性の肉体で800年を過ごしているにも関わらず、その人格には一切の変容が見られない。これは、彼が演技──自分が自分であることを保ったまま、自分以外の存在になること──の才能を消失していることが理由である。彼は彼でしかあることが出来ない。


要点:復讐鬼のおっさん(ぶっきらぼうだけど根は気さく)(見た目はロリ)

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