魔法少女達のシークレット・ガーデン

魔法少女達のシークレット・ガーデン


イリヤ

1:普通の女の子

読んで字の如く。イリヤ的に秘密とは言えないが、裏の事情を知る一部にとっては違うもの。

銀髪赤目で名前が貴族っぽくて、留守がちな両親は謎の仕事をしていて、なぜか一般邸宅にメイドが二人も居て、ついでに血の繋がらない兄がいて、おまけに今はカルデア所属のサーヴァントだけれど、ごくごく普通の小五女子である。

───彼女が送る普通の日常。それは、冬の夜を大英雄と駆けた別の“イリヤ”には遠い、得難いもの。



2:イケナイスイッチ

普通の女の子なイリヤだが、稀に変なスイッチが入って内なる欲望を外に開放することがある。

美遊のメイド服姿に興奮して(おそらくは性的な意味で)襲いかかったり、マスターを『かっこいいマスターさん』と呼んで一目惚れに近い形で入れ込んだり、フォウくんをモフりにいったりという行動がそれである。

自己の一側面を無理に抑えつければ抑えつける程、その反動は大きなものとなる。それは『Fate/EXTRA』における遠坂凛(Last Encoreで言う遠坂リン)のSGである隷属願望が証明している。実のところ、イリヤは性癖をオープンにしたくてたまらないのかもしれない…。



3:聖杯の器

イリヤの出自に関わる重要なSG。当人はその出自を知らなかったため、『秘めておきたいものとしてのシークレット・ガーデン』としての性質は薄い。

錬金術の大家にして、冬木聖杯戦争における始まりの御三家、アインツベルン。そのアインツベルンの最高傑作たる聖杯の器がイリヤである。

本来であれば度重なる調整を受け続け、走ることも、成人することもままならない身体になり果てるはずだったイリヤ。そうなっていないのは、父切嗣と母アイリの命がけの選択が運命を覆したからだ。───その陰には、“イリヤ”として育つはずだったクロの犠牲があったが。

…そして、両親の努力も虚しくイリヤは魔術世界と関わってしまった。あまりにも理不尽で横暴な魔術師達と、彼らに付随してきた運命。

けれど……日常と非日常、両方を知るイリヤは強い。人でなしの魔術師も、絶望ばかり強いる運命も、イリヤの歩みを完全に止めるものではない。

それが元の世界だろうと、サーヴァントとして喚ばれた異世界だろうと、イリヤは大切な人達と共に運命に抗い続ける。その果てに、彼女は必ずや運命を越えるだろう。


───


美遊

1:普通の女の子?

イリヤのSG1と似ているようで少し違うSG。

なぜか身寄りがなかったし、物理や数学は大学レベルの知識があるし、美術や料理の才能はイリヤとクロを引き離すレベル、ついでに血の繋がらない兄がいるらしくて、おまけに今はカルデア所属のサーヴァントだけれど、ごくごく普通の? 小五女子である。

───彼女が送る普通の日常。それは、“母様”や“お兄ちゃん”が望んだ理想の具現。



2:重い愛情

美遊は、兄妹愛や親愛などの愛情表現が尽く重い。

それは美遊自身の出自によるコミュニケーション機会の少なさが関係しているのだが、当の美遊本人はその自覚が少し薄い。そのため、普通に暮らしてきたイリヤ等には殊更重く映ることもある。

しかし、だからといって一から十まで拒絶してはいけない。愛情に飢えている美遊がそういう重い感情を誰かに向けるということは、その相手を心から信頼しているということに他ならないのだから。

…まあ、重すぎて手に余るというのもひとつの事実。程々に指摘してあげるのもひとつの愛である。



3:神稚児

美遊の出自に関わる重要なSG。イリヤ達三人の中では、一番『秘めておきたいものとしてのシークレット・ガーデン』らしいSGでもある。

───朔月家より産まれし天然の願望器。そんな出自を持って美遊は産まれた。

神稚児として、歴代随一の過酷な運命を辿った美遊。一時は「自分は道具に付随した不要な人格でしかないのだ」という諦観にすら至った美遊だが、流れついた先には必ず信頼に値する人達がいた。

“お兄ちゃん”、イリヤ、そしてマスター。

それは彼らのような人にこそ聖杯が相応しいためか、神稚児の力など関係なく美遊を受け入れてくれる人がいるためか。美遊にも答えは分からない。

だが、彼らの想いや願いが美遊を支え、運命に抗う力を与えている。それだけは事実である。


───


クロ

1:キス魔

スキルにもなっているSG。SG1として開示される以上公然の秘密、ということである。

その出自上、マスター不在のはぐれサーヴァント同然であるクロ。当然存在維持のための魔力には常に窮している訳だが、元の世界におけるクロはサーヴァント同然であってもそのものではない。契約には多少面倒な手順が必要になる。

…そこでクロは何を思ったか、契約を伴わない手っ取り早い手段として、粘膜接触による魔力供給を採用してしまった。

ただし、やるのはキスだけな上に相手は女性限定。特別そういう趣味と言う訳ではない(一応嫌いではない)上、あくまで医療行為なので男にする訳にはいかないというのが理由である。

ちなみに、カルデアに居着いた今は必要のない行為。はじめこそ女性サーヴァント限定の通りキス魔となって「おやつ」を堪能したりしていたが、現在では「しても物足りないのよね」と沈静化の兆しを見せている。

───それは、“望んでキスをしてくれる相手”が見つかったからか。



2:共依存

メルトリリスのSGに近いもの。管理願望と隷属願望を兼ねる、元の世界では発揮されなかったSG。例えるなら、月の聖杯戦争、その表側におけるヒロイン二人のSGが合体しているようなものである。

ただし、クロはイリヤや美遊より自己肯定感が微妙に低い(クロの出自によるもの)。そのため、『Fate/EXTRA』における遠坂凛(Last Encoreで言う遠坂リン)程の激しい隷属願望は持っていない。

さらに、隷属願望と併存している関係上、管理願望部分もそこまで過激ではない。柔軟な性癖ととるか器用貧乏ととるかはあなた次第。



3:“イリヤ”

クロエという存在の根幹に関わる重要なSG。

アインツベルンの魔術師や聖杯の器としての知識・性質。イリヤが幼い頃に封印されたそれら記憶が沈殿・複雑化して一個の人格となったものがクロである。

つまるところ、本来は彼女こそが“イリヤ”だったのだ。

───一度両親に捨てられた彼女は自覚している。今、この世に存在していることは紛れもない奇跡なのだと。

だから多くは望まない。“クロエ”としての居場所しかなくても、もう二度と“イリヤ”と呼んでくれる人はいないとしても…。

───けれど、分裂という形でカルデアに来たクロは出会ってしまった。“クロエ”としての自分のみならず、“イリヤ”としての自分をも受け入れてくれる人に。

イリヤというフィルターを通さずに抱いた、『もうひとつの初恋』。痛覚共有の共有先をイリヤから変更してしまう程の、燃えるような恋。それがクロをどう変えていくのかは、多分誰にも分からない。


───「わたしという聖杯は、“相応しい人”にのみ」。

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