魔法少女感覚遮断地獄

魔法少女感覚遮断地獄


 ペーパームーンの中は、今となっては完全な修正を待つばかりの場所である。

 消えるべき悪性情報の数々。その中には外の世界には存在しないエネミーも数多く存在している。

 その日イリヤスフィールが紙面上の月に来訪したのも、この世界でしか回収できない資源を手に入れるためであった。


「ルビー。倒さないといけないのは蠢魔、だったよね。キャスターのジル・ド・レェさんが呼ぶあれに似たやつ」


『そうですよー。魔法少女といえば触手! マスターさんもわかってきましたねー』


「バカなこと言わない! お兄さんがルビーみたい考えのわけないでしょ!」


 蠢魔がいるのは、マキリを名乗ったAIが支配していた区域。

 カルデア側からの観測では間違いなくそうなっていて、ルビーもその結論に異論を挟まなかった。

 全く警戒していなかったわけではない。桃色の魔法少女衣装はいつ戦闘になってもいいように、カルデアの外ではいつだって着ている。

 けれど、油断は確かにあったのだと。ありえないはずの街中での強襲に、遅れた対応。その一瞬が、彼女の明暗を分けることになった。


『イリヤさん!』


「え……? きゃああああっ!?」


 ルビーの、普段よりも切羽詰まった警告は、一手遅い。

 イリヤの知覚の外から迫り、あらゆる抵抗を封じるように全身を縛りあげる触手。

 斬撃も、砲撃も、どちらもルビーを振るうことで放つ攻撃。

 腕を縛られ、手首を握られてしまえば、もう抵抗の手段はない。


「こ、の……ッ! 離して、離してってば!」


 イリヤの抵抗を物ともせず、触手の大元たる蠢魔はその大口を開けて笑う。

 触手がじわじわと、いたぶるように獲物をそこへと近づける。

 牙の生えた口内へイリヤスフィールの下半身を飲み込んで、もう捕まえておく意味はないと外される万力の触手。

 とはいえ、それは彼女の解放を意味するものではないのだけれど。


「ひっ……!」


 自由になった触手が、少女の肌をしゃぶるように桃色の服の中に潜り込んだ。

 うぞうぞ、と弄るように蠢く生暖かな肉に、イリヤの口からは嫌悪の吐息が漏れる。

 嘲笑するように決して胸にだけは触れることなく、けれど肉塊の纏った粘液が服と肌に擦り付けられ、浮き彫りにされる幼い肉体。


「ん、ふぁ……やだ、舐めないで、よぉ……っ」


 未熟な性感が確かに高められている。その事実を象徴するように、服の下で主張を開始する胸の突起。

 ぶよぶよの触手は、イリヤの意思に反して触れて欲しいと叫ぶそこだけは決して触れてくれない。

 彼女の肉体に蓄積される我慢できない高ぶり。じわじわと、確かに快楽の一定水準を超えたことを示すように溢れる喘ぎ声。

 ルビーの叫び声も、今となってはもう遠すぎる。イリヤスフィールの体は、今にも決壊する瞬間を待ち望んでいた。


 ピン、と。触手が服を切り裂くほどに強烈な一撃を放つ。

 裂ける衣装。晒される少女の肢体。けれど、その羞恥はイリヤスフィールにとっては今はどうでもよかった。

 重要なのは、ギリギリの均衡を保っていた性感を狙い撃つように触手が乳首を弾きあげた、ということだけ。


「ひ、ゃぁぁぁぁっ❤️」


 一度も出したことのないような甘い声。

 だが、そんなことを気にする必要はなかった。

 一回決壊した以上は、二度も三度も関係はない。

 目的もわからぬ蠢魔が満足するその時まで、彼女は幾度だろうと喘ぐことになるのだから。





 一体、何度声をあげたのだろうか。何度絶頂を迎えたのだろうか。

 数えたことのある者は誰もおらず、そんな悪趣味を楽しむような輩もいないから、正確なことはわからない。

 わかるのは、何があろうと戦う意思だけは捨てまいと、イリヤスフィールが握り続けていたマジカルルビーが、手からするりと滑り落ちてしまうほどに握力がなくなってしまったことだけ。


『ルビーちゃんはこの瞬間を待ってたんですよー!』


 滑り落ちた瞬間、自立稼働するルビー。

 手から離してしまえば、彼女の趣味全開の衣装だって長くは保たない。

 だから、勢いをつけて全力で。ギュン、と蠢魔に体当たり。

 思わずといった様子でイリヤスフィールの下半身を吐き出して。


 それが、彼女の地獄の始まりだった。


「お゛っ? ルビっ、これ、おかしっ❤️ 気持ちいいの止まらなっ……!」


『イリヤさん!?』


 無残に裂かれたスカート。ずたずたのショーツ。

 その奥にあった、少女の花園。

 そこから溢れるのは、乱雑に踏み躙られ、少女の尊厳が壊されてしまった証のような白濁の汚液。


「んぉ、おおおおっ❤️ もう、やだっ、やめ……っ、ぁぁぁぁ」


 止まることない快楽を少しでも逃そうと、ただただ地面をのたうちまわるイリヤスフィール。

 そんな彼女に、周りを見ろ、なんて不可能で。


『あちゃー、これ詰んじゃいましたね』


 周囲には、次は自分の番だというように蔓延る蠢魔の群れ。

 あまりにも軽薄に、けれどもう無理だという確信を持って、ルビーはそう口にした。


 


Report Page