魔妖回帰

 魔妖回帰


 「旦那様、心から愛しています」

 そう微笑む雪女をみて赤鬼はようやく彼女の本質を理解した気がした

 雪女は日の光を消し去り、日の本を支配するという途方もない野望を抱き赤鬼を利用しながらも心の底から愛していたのだと

 ならば自分も愛をもってそれに答えて彼女と共に野望の道を歩みたいと

 二人は数日の空いた時間を埋めるようにお互いを求め合うのだった

 「んちゅ、はあっ…旦那様申し訳ございません。理由も伝えずお暇をいただいたりして」

 雪女は赤鬼と唇を重ねながら謝罪する

 「ええ、旦那様のことを考えると胸の奥がきゅんきゅんと疼いて夜も眠れませんでした。あなた様のことを忘れた日など一日だってありませぬ」

 しかしそんな夫婦の時間に水を差すかのごとく朝日は昇る

 「旦那様……今宵また」

 雪女は名残惜しそうに嘆く

 日中の雪女は本来の姿を維持できず、幼子の身体では交わりに耐えられないからだ

 赤鬼は彼女の想いを聞いたことで日の光というものが心底憎らしくなった

 「旦那様、どうか私に力添えをしてくださいませ。魔妖と妖怪族が真に手を取り合えば必ずやこの地を支配することもかないましょう」

 雪女の言葉に赤鬼は力強く答える

 「そうすれば私たちはずっと一緒ですね」

 そう言って微笑む雪女の笑顔は今までで一番美しかった

 この日より二人の野望の道を邁進する

 雪女は魔妖の棟梁であった妲姫を不知火に与する裏切り者として排し、自身は新たに魔妖の長となる

 赤鬼は魔妖の思想を受け入れない妖怪族の一掃を開始する

 バタン

 ダイダラボッチは赤鬼の一撃を受けて地に倒れ伏した

 ダイダラボッチは同じ妖怪族である赤鬼の友であったが人との助け合いを重んじる彼は日の光を奪うことを良しとせず、赤鬼と戦うも敗北を喫した

 ダイダラボッチはおそらく自分のことを女にのぼせ上がり、判断を誤った愚か者だと思うかもしれない

 だが赤鬼は後悔はしていなかった、雪女のためならたとえどのような犠牲を払うこともいとわなかった

 「はあ…はあ…旦那様…おかえりなさいませ」

 家へと戻った赤鬼を迎えたのは息を荒げた雪女の姿だった

 身体は傷つき太刀筋のような跡が至る所についている

 それでもなお彼女は赤鬼を出迎えた

 「申し訳ございません。小賢しき灯火を相手に不覚をとってしまいました」

 雪女は赤鬼の前で頭を下げる

 「せっかくあなた様によって美しくしていただけたのにこのような醜態を晒してしまい……」

 そういうと雪女の身体をどろどろと溶けはじめる

 すると彼女の身体は出会ったときのような華奢な少女の姿へと変貌し、所々にあった傷は消えており、静かに寝息を立てていた

 赤鬼はそんな雪女を寝ずに看病した

 翌日

 「あなたはいったい?」

 目を覚ました雪女が赤鬼の前で最初に発した言葉はそれだった

 どうやら彼女は傷を癒やす代償に身体だけでなく記憶を失ってしまったらしい 赤鬼は雪女の問いかけに答える

 「妻……ですか?私が?」

 雪女は困惑しているようだ

 それも当然だろう、魔妖と妖怪族はかつて敵同士であったのだ

 「日の光を奪って日の本を支配…。私がそのようなことを?そのような恐れ多いことをできるはずがありませぬ。聞いただけで体が震えてしまいます」

 雪女は首を横に振る

 「にわかに信じがたい話しですが……なぜでしょう?あなたのお話を聞くととても安心します」

 雪女は柔らかく微笑む

 その表情は年頃の少女のようにあどけないものだった

 傷こそ癒えているものの雪女の体調は優れているとは言えず、赤鬼はそんな彼女を懸命に介護した

 「ありがとうございます……旦那…様。おかげさまですっかりよくなりました」

 慣れない呼び方に戸惑いながらも雪女は礼を言う

 「その…旦那様…妻としての役目を果たしとうございます」

 そう頬を赤らめながら言う雪女の姿は以前の妖艶さはなく、年相応の可愛らしさがあった

 だが赤鬼はそれに応えず首を振った

 記憶を失っている以上夫婦だからといって無理に交わる必要はない

 記憶が戻るまで今の自分を大切にしてほしい、それが赤鬼の願いであった

「ちっ…違うのです。私がこのようなことをいうのは単に妻として旦那様のお役に立ちたいというわけではなくて、もっとこう別の……」

 雪女は自分の気持ちを伝えるために必死に言葉を紡ぐ

 「旦那様はこの数日間なにも知らない私を献身的に支えてくださいました。こんな私を好きだと言ってくれました」

 雪女は顔を真っ赤にしながら赤鬼に告げる

 「いまの私は妻としてのではなく、一人の女性としてあなた様をお慕いしております。どうか私を抱いてくださいませんか……?」

 雪女は目に涙を浮かべて懇願する

 「いまの私は初めてなので上手くできないかもしれません。でも精一杯頑張りますから……」

 雪女は涙を流しながら赤鬼に抱きつく 赤鬼は雪女を優しく抱きしめ返す

 「不束者ですがよろしくお願いいたします」

 その言葉は雪女とのはじめての夜を思いおこすが、あの頃と違い彼女の表情は緊張で強ばっていた

 「えっと……まず口づけからでしょうか?」

 雪女はおそるおそる赤鬼の唇に触れる

 「次は舌を入れて……んん………んちゅ……んふぅ」

 雪女は不器用ながら一生懸命に赤鬼を求めるように口づけをする

 「はあ……はあ……旦那様、どうか私めを…」

 雪女は着衣を脱ぎ捨てるとそこには控えめだが形のいい乳房が露わになる

 「旦那様、どうか触ってくださいませ」

 赤鬼は言われるままに雪女の胸を揉みしだく

 その手つきははじめての雪女を気遣うようなゆっくりしたものだった

 「んあっ!はうっ…お優しいのですね。大丈夫ですよ……そのまま続けてください」

 雪女は甘い声をあげながら身をよじらせる

 赤鬼はそんな雪女の様子を見ると愛撫は激しいものへと変わる

 「ひゃうん!?ああ……旦那様ぁ、胸ばかりじゃなくて下の方も……」

 雪女は脚を擦り合わせ物欲しそうにしている

赤鬼は雪女の秘部に指を入れかき回す

 「そこぉ……はあん……ダメぇ……そんなにされたらすぐにイッてしまいますぅ……んはあぁ!!」

 雪女は絶頂を迎えるとぐったりと寝台に横たわる

 「旦那様……私ばかり気持ちよくなって申し訳ありません。今度は私の番です」

 赤鬼はすでに臨戦態勢になっている肉棒を取り出す

 「これが旦那様のものなのですね……雄々しい」

 雪女はうっとりとした表情を浮かべながらそれを見つめる

 「失礼します……」

 雪女は赤鬼の肉棒を手で上下に動かし刺激を与える

 「どうですか?痛かったら言ってくださいね」

 雪女は慣れない様子で赤鬼の肉棒を奉仕する 

 その手つきはたどたどしく決して上手とは言えないものだったがその懸命な姿は赤鬼の興奮を高めるには十分すぎるほどの魅力を秘めていた

 だが彼女は自分の力量に納得がいっていないのか不満げな顔を浮かべている

 「私が不甲斐ないばかりに……」

 赤鬼は雪女を慰めるように頭を優しく撫でる 

 「弱気になってはいけませんね。旦那様に相応しくなるよう精進しませんと……」

 雪女は再び手を動かすと今度は赤鬼の反応をうかがいながら緩急をつけて責め立てる

 「旦那様、いかがでしょうか?」

 赤鬼は雪女の問いに答えるかのように大量の精液を放出する

 「きゃっ……すごい……こんなにたくさん」

 雪女は手にかかった白濁色の液体を見つめる

 「これが……旦那様の……」

 そう呟きながら雪女は手をぺろりと舐める

 「苦くて……美味しいです」

 雪女は満足げに微笑む

 射精に導けたという達成感が自信となり彼女を高揚させているようだ

 「出したばかりだというのにもうこんなに大きくなっているなんて……私を求めてくれているのですか…嬉しいです」

 雪女は赤鬼の上にまたがり騎乗位の体勢をとる

 「次はこちらでご奉仕させていただきます」

 赤鬼の剛直を掴むと雪女は自らの膣内へ挿入する

 雪女の膣内は赤鬼がこれまでに感じたことがないほどに狭く窮屈だった

 どうやら記憶を失い身体が幼くなったことで処女膜が再生したようだ

 「ん……くぅ……はあ……大きい……」

雪女は苦しそうな表情を浮かべながらもゆっくりと腰を落としていく

「旦那様……もう少しで全部入りますから……んんっ……」

 やがて雪女の尻が赤鬼の太腿につくと結合部から血が流れる

 「旦那様……旦那様……」

 雪女は苦悶の表情を浮かべながらも必死に快楽を得ようと腰を動かしている

 その姿はとても健気に見えた

 「ああっ……旦那様、旦那様!私は幸せ者でございます」

 雪女は涙をこぼしながら笑顔を見せる

 「旦那様、どうか私めの中に出してくださいませ……私も一緒に」

赤鬼は雪女を強く抱きしめるとそのまま激しく突き上げる

 「はうっ、旦那様……私のことは構わず好きに動いてくださいませ」

 雪女が無理をしていることは火を見るよりも明らかだったが赤鬼は湧き立つ衝動を抑えきれず動きはさらに激しくなる

 「んっ、激し……い……です……こんなに求められたら私おかしくなってしま……うっ」

 赤鬼は雪女の子宮口に亀頭を押しつけそのまま精を解き放つ

 「はああぁぁ!熱い……旦那様のが……私の中に……いっぱい出てる……はああああぁぁぁぁ!!」

 雪女は赤鬼にしがみつきながら同時に果てた

 その衝撃で雪女は気を失ったらしくぐったりとしている

 赤鬼は雪女の乱れた着衣を整えると

  優しく抱き寄せて眠りについた

 翌日深夜

 雪女はすっかり元気になったようで記憶を取り戻し、身体も元の大きさに戻っていた

 「旦那様、昨夜のことはお忘れください!」

 雪女は顔を真っ赤にして赤鬼に懇願する

 「あのような醜態をお見せするなんて恥ずかしすぎて死んでしまいそうです……」

 雪女がこのような態度をみせるのは珍しい

ことだ 

 普段の計算されつくしたような振る舞いとはまるで別人である

 それだけ感情を表に出しているということだろう

 赤鬼はそんな彼女のことを可愛いと思った

 「旦那様、どうして笑っているのですか!?」

 赤鬼はそんな雪女をますます愛おしく思う

 これまで彼女は理想的な妻を演じることで自身の本音を包み隠していた

 だが今の彼女は本来の彼女に近い性格なのだ 赤鬼はそんな雪女の変化を嬉しく思った

 「うう……旦那様は意地悪です……」

 雪女は拗ねたようにそっぽを向く

 そんなところもまた可愛らしい

 「いいですか。昨夜の私は偽物、単なる幻。そんなものはすぐに忘れさせてさしあげます」

 雪女は不敵な笑みを浮かべながら宣言をすると赤鬼に口づけをする

 「んちゅ…れろっ……旦那様ぁ……んふぅ」

 雪女は赤鬼の舌を吸い上げながら唾液を流し込む

 昨晩の不器用な様子とは打って変わって舌を積極的に絡めてくる

 その様子はまさに妖艶そのもので赤鬼の理性を溶かすには十分すぎるほどだった

 「んん……んふうぅぅ!!」

 雪女は赤鬼の手を掴むとそれを自身の乳房へと導く

 「んはあ…旦那様はこちらのほうがお好きでしょう」

 雪女は幼い姿のときにはなかったたわわに実った乳房を誇示のするかのように揉ませる

 「旦那様……んん……もっと強く触ってください……」

 赤鬼は言われるままに雪女の胸を乱暴にもみしだく

 「ひゃうん!どうですか?あのような幼子ではできなかったことですよね?」

 雪女はどうやら記憶を失った昨晩の自分に嫉妬しているようだ

 「んん……旦那様……次はこちらを」

 雪女は赤鬼の既に隆起した肉棒に手を伸ばす

 まずは片方の手で竿を擦り、もう片方の手は亀頭を舐めるように刺激する

 その動きに激しさはないが的確に弱点を責め立てる

 「旦那様気持ち良いですか?」

 赤鬼は答えの代わりに雪女の頭を撫でる

 「はむ……良かった。旦那様に喜んでいただけるのなら私も嬉しいです」

 雪女は赤鬼の反応を見て時折睾丸を両手で揉んだりしながら奉仕を続ける

 「もう出そうなんですね……わかりました」

 赤鬼の射精が近いことを感じ取った雪女は亀頭に軽く口づけをすると肉棒を扱く速度を早める

 赤鬼は堪らず大量の白濁液を放出する

 「きゃっ……すごい量……んくっ……こくっ……」

雪女は手にこびりついた精を飲み干すと満足げな表情を浮かべる

 「お掃除いたしましょうか……ぺろっ……じゅるっ……」

 雪女は丁寧に赤鬼の肉棒に残った精液を綺麗にする

 「旦那様……まだこんなに大きく……私が上になりますね」

 雪女は騎乗位の体勢をとると自ら挿入する

 「んん……くっ……はあぁ!入っ……たぁ」

 雪女はゆっくりと腰を沈めていく

 「旦那様……全部入り……まし……た……よ」

 雪女の膣内は狭く窮屈だったがそれが逆に赤鬼を刺激する

 「はあ……はあ……旦那様……動きます……から……んっ!」

 雪女は上下運動を開始する

 それはまるで杭をうちつけるかのような激しいものだった

 「あんっ……!はうっ……!すご……い……です……」

 雪女は快楽に溺れながらも懸命に腰を振る その姿は健気でいじらしく赤鬼をより興奮させた 

 「はうっ……また大きく……なって……私も……限界です……一緒に……」

雪女の動きはさらに激しさを増し絶頂を迎える

 「ああぁぁ!!イクッ!イッちゃいます!!旦那様ぁぁ!!」

 雪女は赤鬼の胸に倒れこむ

 「はあっ……はぁ……はぁ……」

 雪女は息を整えながら赤鬼の耳元で囁く

「旦那様、愛しています」

 その言葉を聞いて赤鬼は雪女を強く抱きしめた

 「旦那様、昨晩は申し訳ございませんでした。あのような拙い性技をお見せしてしまい満足いただけなかったでしょう」

 雪女が謝罪の言葉を口にする

 「旦那様がお望みならばどのようなことでもいたしますので何なりとおっしゃってくださいませ」

 赤鬼はそんな雪女を優しく抱き寄せる

 「旦那様……?」

 雪女は不思議そうに赤鬼の顔を見つめている

 赤鬼はそこまで気負わずとも構わないという旨を雪女に伝える

 「そうはいきませぬ。私はいつだって旦那様の前では美しく完璧な妻でありたいのです」

 雪女はそう言って微笑みかける

 献身、その裏に隠された彼女の貪欲なまでの向上心が彼女を支えあそこまでの強い野心を抱かせたのだろうと赤鬼は考える

 「夜はまだ始まったばかりです。今夜は旦那様に私のことを忘れられないほどに刻み込んで差し上げます」

 雪女は妖艶な笑みを浮かべると赤鬼に口づけをする

 狡猾、悪女、後の世ではそう評される雪女だが今の彼女からはそのような印象は微塵も受けずただ一途に夫を愛し続ける妻という側面を自分にだけ見せる彼女のことを赤鬼は愛おしくて仕方がなかった 

 たとえそれすらも彼女の掌の上であったとしても赤鬼は幸福だった

Report Page