"鬼"の跡目

"鬼"の跡目


デルタ島で行われてる海賊の海賊による海賊のための世界一の祭典【海賊万博】に乗り込んでいた麦わらの一味

その万博のメインイベントである海賊王ゴールド・ロジャーが残したお宝を巡った争奪戦にルフィ、ゾロ、ウソップ、ウタの4人は同世代の最悪の世代の猛攻や嫌な赤鼻を凌いでいた最中、突如としてノックアップストリームで打ち上げられた島が謎の爆発によって崩壊していた。


「けっほ!...何?今の爆発?」


ウタモルフォーゼで空を移動していたウタは島の爆風に巻き込まれ地面に不時着した後空から降ってきたガレオン船を見て目を張っていた。


「これ...火薬が突き刺さってる。何でこんな船が...「ウソップゥゥゥゥ!!!」!?」


ルフィの叫び声が聞こえ声が聞こえる方へと視線を向けた、そこには見たことない大男と...その大男に捕まっていたウソップがいた。


(ウソップ!)

咄嗟に物陰に隠れたウタは必死に頭を巡らせていた、あの大男は誰だ?この状況を作り上げたのはアイツなのか?...そういえばここに来る前に何故かボロボロになっていたトラ男が言っていた。


『お前ら...今すぐここから離れろ。...ここは戦場になる!』


...まさかアイツがトラ男を襲った犯人なのか?ウタは物陰から様子を見た、どうやらまだこちらには気づいていないようだ。


(アイツ...何で覇気を出してるの?あんなに張り詰めて何を待ってるの?)


ウタは大男の行動に疑問を持っていた、意志の力といえる覇気は長時間使用すると消耗が激しくなる為使いどころを見極めるのも重要な能力でもある、少なくとも拮抗している状態で出す覇気にしては余りにもオーバーだった。


(とにかくアイツを何とかしてウソップを助けないと!アイツは...ヤバい!)


見たところ大男にはイヤーマフを付けていたならば振動で歌を聴かせてやろう、時間をかけてられない伴奏なしの曲で一気に決めよう。


(衝撃ダイヤルセット...よし。後は隙を見て...)


「この海は戦場だ...死ね」

「何やってんだお前ぇぇぇ!!!」


大男はウソップの頭を潰そうとしたがルフィが突っ込んで止めようとしたが逆に殴り返されてしまった。


(今だ!)


飛び上がったウタは大男の耳元に狙いを定め歌を唄った...が。

『ひと...ッ!?』

歌い始めたその瞬間、向こうに行ったはずの大男は恐るべき速さでウタの目前に迫っていた。


(しまっ!?)


驚く暇もなくウタは大男に掴まれ先程まで大男が立っていた地面に叩きつけられた。


「あぁっっ!!」


・・・咄嗟に武装色で防いで衝撃を軽減したがそれでも強烈なダメージだ、直ぐに離れなければ...


「がはッ!?」


そう簡単には逃がすまいと大男はウタの首を掴み、声を出さないように締め上げた。


「ぐっ...あっ...」

「ウタ!てめぇ!」


咄嗟に切り掛かったゾロの攻撃を武装色で防ぎ拳で殴り飛ばした後大男はウタをゆっくりと見下ろしながら告げた。


「現れたな"海賊歌姫"いや..."エレジアの悲劇"、お前の能力を防ぐ為に覇気を出し続けて正解だった」

「!?」


こいつ、真っ先に私を警戒してあれだけの覇気を?いや、それよりも衝撃を受けたのは...


「惜しかったな...端から"魔王"を呼び出しさえすれば僅かながら勝機が掴めたものを...」


...やっぱりこいつはトットムジカの事を知っている、ウタ自身もこの大男を倒す為に最初からトットムジカを歌おうとは考えていた。...しかしそれをしてしまえば。

ウタは傍に転がっているウソップの顔を見ていた。


(酷いケガ...早くチョッパーかトラ男に診てもらわないと...!)


大男はウタの視線に目を配るとつまらなそうに鼻を鳴らした


「くたばった味方を巻き込ませないが為に出し惜しんだか...下らん、弱い事しか取り柄がなさそうな使えない奴を庇うなど愚かに等しい...」

カチン

頭の中の堪忍袋の尾が切れる音が聞こえた、ウタは大男を睨み啖呵をきった。


「ウソップは...ウソップはアンタが思ってる以上にずっと強い!上っ面の力だけしか見てないアンタが、ウソップを馬鹿にするなッ...!」

「...味方を守る為に己が傷つく事も躊躇わない。...愚直な所も親父に似てるとはな」

...!?親父に...似てる?

「アンタ、シャンクスの事を...知ってるの?」

「...知ってるさ生意気なガキの頃からな、あの小僧がいつもロジャーの傍に引っ付いて姿をいつも見せられていた。」

「!ま...まさか...アンタ...は」


「ウタを...離せぇぇぇぇぇ!!!」

自分を呼ぶ声に視線を配ったらルフィがまたもや大男に突っ込んでいった。

大男はウタを乱雑に放り投げた後ルフィは抱えようとしその場で仕留めよとした...が、ルフィは紙一重で回避しウタを抱き抱え声をかけた。

「ウタ!大丈夫か、ウタ!?」

「...ルフィ...ごめん...歌って眠らせようとしたけど...しぐじっちゃった...」

「あぁ、分かってる。ウソップも助けたら一緒に離れるんだ。」

「カハハ!同じ手を食う程の間抜けではないようだな...。」

「!てめぇ...!「ルフィ...」?」

呼吸が未だ乱れてるウタはルフィにある事実を伝えようとしていた

「ウタ無茶するな、そんな状態じゃ満足に歌えねぇ。」

「違うのルフィ、私...アイツを知ってる」


〜〜〜〜〜

──音楽の国エレジア

過去に起きた不幸な出来事により一度は滅びてしまったこの国は四皇・赤髪のシャンクスの後押しとその娘ウタの懸命な努力によって一歩ずつ確実に復興の兆しを見せている。

その国に点在する放牧地にウタは父親であるシャンクスから【過剰な覇気】の利点について学んでいた。

『〜〜♪ッ!〜〜〜♪ッッ!! ハッァ-!ハッァ-!』

「どうしたウタ?まだ3曲しか歌ってないじゃないか、もう限界か?」

「...あり得ない。耳栓なんて付けてないのに欠伸すらしてないなんて」

「だから言ったろう?覇気を過剰に解放すれば能力なんて防げる。まぁ、相当な鍛錬を積まなければ出来ない芸当じゃないがな」

「ぐぬぬ...覇気さえなかったらシャンクスなんて好き放題出来るのに」

「何だ言い訳か?やーい!負け惜しみ〜」

「...シャンクスがそれやるとすっごく腹立つんだけど」

ため息を吐いたウタはふと視線を逸らした。

「ロックスターは割と簡単に眠れたのに」

そう言われた付き添いのロックスターは同じくウタウタの能力に掛かり眠った羊を枕に鼻提灯を出し大いびきをかきながら眠った。

「こいつはまだこの手の技術は青二歳だからな、1曲目ですぐ寝なかったのは良いほうだ」

「ふーん」

そう言って呑気に眠るロックスターの頬を引っ張っていたところ一人の男がやって来た

「頑張っているようだね、ウタ」

「あ、ゴードン!もちろんだよルフィが今も強くなってるかもしれないし私も負けられないからね!」

エレジアの国王ゴードン、厳つい外見とは裏腹にその実は音楽を心から愛しエレジアに負い目を持ってしまったウタを決して憎まず彼女を歌手にする為の指導を行ったウタにとってもう一人の父親と言える善王である。

「夕飯の支度を始めたから知らせに来た。ウタ市街地の大浴場が復旧したからそこで疲れをとってきなさい、是非君の所感を聞き入れたい。」

「大浴場!?入る入る!ひゃっほー!おっきいおっ風呂〜♪」

そう言うとウタは鼻歌交じりで市街地に駆けて行った。

「あ!おいウタ!行く前にロックスターを起こし...行っちまったか。ゴードンさん後でこいつをこき使って良いから一緒に担いでくれないか?」

「う、うむ。承知した」

「ZZZグゴー...」

──市街地大食堂

今日もこの大食堂では赤髪海賊団の船員やエレジアに移住した島民達が和気あいあいとテーブルを囲んでいる。

今日の夕飯はルゥと料理に自身を持つ島民が作った放牧地の牛から採れたミルクを使ったホワイトシチューだ。濃厚なクリームと煮込まれた野菜の旨味がウタの食欲を大いに刺激した。

腹ごしらえを済んだ後一人離れて酒を呑んでいたシャンクスの傍に行き雑談を交わしている。

「シャンクスって他の四皇より若いし悪魔の実を食べているわけじゃないのに剣術と覇気が凄いから四皇って呼ばれるようになったわけでしょ?もしかして今の私とルフィ位の歳にはもう凄い覇気使いだったりしたの?」

そう言われたシャンクスは軽く笑った後自身が若い頃の話を語った

「買い被りすぎだ俺がガキだった頃はもっと凄い人達がわんさかいたさ、ロジャー船長はもちろんウタがシャボンディ諸島であったレイリーさんにギャバン、それに白ひげの所から来たおでんさんもみんな強かった。特に船長なんて白ひげとやり合う時なんざ天どころか島を割りかねない勢いだったしな」

...ガープさんもそうだったがロジャーの世代はとんでもない修羅な時代だ。

未だに至る所で荒れている大海賊時代で産まれてよかったとウタは無意識に安堵していた。

「それと...」

そう言うとシャンクスは遠い目をしながら何処か懐かしい感じを思い浮かんでいた」

「それと?他に誰かいたの、凄いやつ」

「あぁ...そいつも俺と同じロジャー海賊団の船員でな、そりゃもう腕っぷしは強かったさ。ただ...そいつはとにかく世界最強の座を取ることに真っ直ぐでロジャー船長にも何回も挑んでいた。だが船長は俺達船員を守る為に戦っていったんだがそいつは仲間は強くなる為に要らないものだと思っていたから途中で船から降りたんだ。」

...ただ強くなりたいから力を振わせる。仲間と共に旅をする為に様々な敵と戦ってきたルフィとは正反対のような人なんだろう。

「それは"鬼"の跡目の事か?お頭」

そう言うと赤髪海賊団の副船長でありシャンクスの右腕のベックが話に混ざってきた。

「"鬼"の跡目?知ってるのベック?」

「あぁ俺達が新米の頃から暴れ回ってた超大物だ、こいつの事を語るならそうだな...ウタはバスターコールってやつを知ってるか?」

「うんエニエス・ロビーで私達それを潜り抜けたんだよ。にしても軍艦をたくさん連れてで島を吹き飛ばすなんて乱暴じゃない?」

「そうかウタの手配書が出たのはその頃だったなそれなら話は早いバスターコールってのは海軍や政府にとって都合の悪いものを葬り去る為に発令する無差別攻撃だ、そしてそれは"鬼"の跡目に対しても発令した。」

「その人も知ったら不味いことを知ってバスターコールを?」

「いや違う、そいつ一人を撃破する為に当時大将だったセンゴクを率いて発令されたんだ」

・・・・・・・・・・は?

「・・・え?人一人倒す為に?その人が率いた海賊団相手とかじゃなくて?」

「頭が言ってたろ群れる事を嫌う奴だって、そうして海軍も大きな痛手を負ったが奴に恨みを持った海賊が乱入したのが決めてとなって遂に捕縛。そのままインペルダウンに送られた」

...ウタは頭がパニック状態になっていた、あの恐ろしい砲撃をたった一人で迎えうちその後も生き残っている事実に混乱していた。幼い頃からウタワールドで夢の世界に浸っていたウタ自身もそんな夢物語のような事があるのかと疑問に思うくらいだ。

「・・・だがアイツはムショに入れられた程度で終わらない奴だ、監獄の中でも世界最強の座を手に入れる為に今でも己を鍛え上げていると俺は思っている」

「・・・シャンクスその人って誰なの?"鬼"の跡目ってシャンクスで言う"赤髪"みたいなものでちゃんと名前はあるんでしょ?」

「・・・そいつの名は」

〜〜〜〜〜

「アイツは...昔のレイリーさんと互角に渡りあっていた...元ロジャー海賊団の船員」

「レイリーと!?」

「...アイツの名前は..."鬼"の跡目..."ダグラス・バレット"!」


その大男..."ダグラス・バレット"は最悪の世代を値踏みする視線を張り宣言した

「最悪の世代ってのが強ぇらしいな、宝が欲しけりゃ全員」

「かかってこい...!」


"鬼"の跡目が幕を上げる全世界を熱狂させる闘いの舞台が...

今開演する。





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