『鬼ごっこ』
「なぁ、ウタ。久しぶりに鬼ごっこやろうぜ」
「うん、皆も呼ぼう!!」
それは2人の気軽な会話から始まった。ルフィは自分の仲間をウタはシャンクス達を呼んで鬼ごっこをやりたいと言った。
シャンクス達は昔やっていたのを思い出して了承し、ゾロ達も赤髪海賊団の縄張りの島でのんびりしていたというのもあって参加した。だが実際はというと別の目的があった。
「きゃ!・・・ル、ルフィ・・・」
「わ、悪いウタ・・・ごめん・・・」
ルフィとウタの様子が少しおかしいのだ。今までみたいな少し幼い雰囲気が無くなったわけではないがいつもなら問題なく手を繋いでいたのに顔を時々赤くして離して沈黙するなど何処か今までと様子が違った。
(何かあったな・・・)
ベックマンはその様子を見つつ、隣りにいるシャンクスを見てみると少し覇王色の覇気が漏れていた。
「・・・何もするなよお頭」
「何がだ?俺は平然としてるぞ。2人がどんな関係に進展してても祝うつもりだ・・・その前に色々とどこまで進んでるか調べるけどな」
「駄目だこりゃ」
暴走直前のシャンクスにベックマンは頭を抑えていた。シャンクスは最初に鬼になる事を伝え、鬼ごっこが始まった。
「ウタ、こっちに行くぞ!!」
「うん!」
「2人ともすぐに捕まるなよ!・・・色々とな!!」
ルフィとウタは手を繋いだまま逃げて行き、ベックマンは2人にそう言った。そしてシャンクスは確かに後ろから見ていた。
(ルフィ・・・場合によっちゃ友達じゃなくなるから気をつけろよ・・・)
(このバ頭・・・また首を締めてやろうか・・・)
〇〇〇
ルフィとウタは一緒に森の中に逃げてきていて物陰に隠れていた。
「シャンクス、なんか凄い本気だったな」
「ね・・・ひょっとしてバレちゃったのかな?」
「いっ!?」
すると2人は顔を赤くさせて繋いでいた手を離した。
「ル、ルフィ・・・こ、子供とか出来ちゃうのかな?」
「あ、あぁ、シャ、シャンクスが昔、キスしたらコウノトリが子供を運んでくるって言ってたな・・・」
昔、シャンクスから子供はどこから来るのか聞かれた時にそう答えられた事を思い出した2人はそのまま見つめ合い始めた。
「ルフィ・・・」
「ウタ・・・」
2人はそのまま、再び顔を近づけあった。
「止めろ!!!」
『あ、バカ!』
「「えっ?」」
突然と聞こえてきた声に2人は反応すると赤髪海賊団と麦わらの一味の皆が近くの物陰からなだれ込むように出てきた。
「止めろ、ルフィこのやろ!!人の娘に良くも!!」
「こんな事だったらこのバ頭を絞め落としておくべきだった!!」
「折角のルフィとウタの良いところだったのに!!」
「おい、親父。カメラを持つってのはデリカシー無さすぎじゃねぇか?」
「その手に持ってる電伝虫はなんだバカ息子」
「ったく、そんなに騒ぐなよ・・・ロクガモードオフ・・・」
「何か聴こえたんじゃが!?」
「オンになってましたよね!?」
騒ぎ立ててる皆に対してロビンとベックマンが場を収めようとして立ち上がるとルフィとウタからの反応がない事に気づいて見てみると2人は顔を真っ赤にして動かなかった。
「ルフィ?・・・チョッパー」
「ウタ?・・・ホンゴウ」
ロビンとベックマンは船医であるチョッパーとホンゴウに固まってる2人を見てもらった。
「「・・・気絶してる」」
『ウタ〜〜〜〜!!!』
『ルフィ〜〜〜!!!』
「「医者〜〜〜〜!!!」」
2人が恥ずかしさのあまり気絶してしまって場は更に大混乱になった。