駄文の続き

駄文の続き

前スレ88で146

星野アクア。私の双子の兄であり、前世ではただ一人最期まで”私”を見続けてくれた人、雨宮吾郎せんせの生まれ変わり。

いつも私がしてもらってばっかりだから、


「ルビー待っ……く、うっ」


今日はおにいちゃんにも気持ちよくなってもらうんだ。




あの日、おにいちゃんがせんせだったと知った時、きっと私は初めて本当に恋をした。

私が寂しい時、悲しい時、苦しい時、辛い時、誰よりも寄り添ってくれたせんせの事は、他の誰よりも好きだった。

初恋はせんせ、それは間違いない。

だけどあの時、


(あの時の君はアイよりずっと眩しかった)


あの言葉は復讐の闇の中で苦しんでいた私に射した光、ううんもっと強い、私を焼き、その闇までを全部焼き払ってしまうほどの陽の光だった。

それだけじゃない。

いつも過保護だと思っていたおにいちゃんの行動は、かつて病室で話したとおりに、私をさりなと知らないままで、それでもずっと私を守ってくれていた。

その事に気づいた時、この恋ははっきりと形を結んだ。


それからというもの、おにいちゃんの事を考えるたび、おにいちゃんと一緒にいるたび、おにいちゃんにくっつくたびに少しずつ、私の身体は未知の異常を示した。

それはさりなでは知ることも出来ず、ルビーになってからは避けていたモノ、性的興奮、性欲。

解消の仕方は教わったものの、性への忌避もあってか自分では全然解消出来ず、結局おにいちゃんにその解消を頼んでしまった。

そしておにいちゃんはえっちなこと無しにそれを解消してくれた、と思っていた。


まあ、それは盛大な勘違いだったのだけど……。



興奮するたびにおにいちゃんに鎮めてもらう、それが半ば日常になっていたある日。

いつものようにしてもらい、呼吸が落ち着いた頃、初めての感覚があった。


(お尻に、あたってる……)


流石にそれが何かわからないほど無知じゃない。女の子と違って外見の上でもわかりやすいし。

それに気づいて振り返るとおにいちゃんは、大失敗をやらかしたと言わんばかりに、恥ずかしそうな、バツの悪そうな顔をしていた。


(おにいちゃんも興奮してる……)


あのせんせが、おにいちゃんが、私に興奮している……。

その事実を認識した時、おなかの奥に鎮まったばかりの熱がまた灯った気がした。

とはいえ、私はたった今してもらったばかりだし、おにいちゃんが私と同じようになっているのなら、きっと解消したほうが良い。

そう思った私は、この後どうなるかを思い違いしたままでおにいちゃんに提案したのだ。


「今度は私にさせて?」

「ルビー!?」


全く予想してなかったのか、おにいちゃんが驚く。


「おにいちゃんの、その、そうなってるし、たまには、ね?」

「いやほっときゃ治まるし!そうじゃなくても後で自分で!」

「いつもしてもらってばっかりだから、私がしてあげたいの。……ダメ?」

「ッ!……わかった、任せるよルビー……」


珍しく慌てていたおにいちゃんが観念して答える。

改めて考えるといつからだろうか? おにいちゃんに”お願い”すると断らないで聞いてくれるようになったのは。

それを利用したようでズルい気もするけど、してあげたいのはホントだから、おにいちゃんにもスッキリしてもらおう!



そう思ったのはいいものの、えっちな事ナシに男の人を気持ちよくする方法なんて知ってるはずもない。もちろんアリでも知らないが。

見よう見まねというか、とりあえずいつもおにいちゃんにしてもらってるようにやってみる。体格の都合上、膝立ちのような感じで後ろから抱きつく姿勢になったけど。


してもらってて一番気持ちいいのはおなかをさすってもらってる時なので、とりあえず同じように。

しかしこの姿勢、抱きついているためにおにいちゃんが近い。

体温は言うに及ばず、なんだか鼓動も聞こえそうな気がする。

首筋に顔をうずめると、嗅ぎ慣れた落ち着く匂いがする。


「おにい、ちゃん……」


……再び灯った熱がまた大きくなり始めてしまい、身体の制御が意識の手を離れて行く。

落ち着くはずの嗅ぎ慣れた匂いで、何故か心が昂ぶっていく。

おなかの熱に浮かされた私は、無意識にもっと体温を感じるために強く身体を押し付け、ほんのり汗ばんだ首筋に舌を這わせていた。


(しょっぱい、でも……)


おにいちゃんにしてもらってる時に感じる昇って行くような感覚に、私の思考はぼんやりと霞みがかったまま、それでも意識の端でおにいちゃんを気持ちよくする目的だけはなんとか捉えて、効いてるかもわからないおなかを撫でる手だけは止めなかった。

その違和感には気づかないまま。


「おにいひゃん……しゅきぃ……」

「るび、ぃ……っ!」

「……へ?」


ぶるりとした震えに、ふわふわと浮いていた意識が戻る。

震えたのは私じゃない、つまり震えたのはおにいちゃんだ。


「……ッ、ハァ……ハァ……」


呼吸の荒いおにいちゃんの姿に、”いつもの私と同じように”スッキリできた事を確信する。

なんとかおにいちゃんにも気持ちよくなってもらえた、そんな達成感を覚えている最中、


「……ごめんルビー、着替える」


そう言ったおにいちゃんは、泣きそうにも見える顔を真っ赤にしながら部屋を出ていった。

予想外のおにいちゃんの表情に、冷や水を浴びせられたように冷静な思考が戻る。

同時に、微かに部屋に残った匂いにも気がついた。なんとなく漂白剤を思わせるような嗅ぎ慣れない匂い。

それから先ほど覚えた右手の違和感について。

雑に動かしてしまっていた右手は、最後に何かに当たった感触を思い出す。そしてその位置は”おなかよりも少し下”にあった。

そして、当たった、触れてしまったそこにじわりと染み出したモノ。


知識として、人体の仕組みとしては知っていたことに、ここまで情報が揃ってやっと思い至った。


おにいちゃんが射精した、いや”私がさせた”のだと。


それもおにいちゃんにしてもらっていたことの見よう見まねで。

それはつまり、勝手に代替の性欲発散手段だと思い込んでいたものは、代替でもなんでもなかったということ。


(私……毎日おにいちゃんにえっちな事をおねだりしてたの!?)


ここに至ってようやくその事実に気づいた、気づいてしまった私は、顔から火が出るかと思うほど真っ赤になっていただろう。あまりの羞恥に自分の枕に顔をうずめて転げまわった。




(とりあえずおにいちゃんに謝ろう……)


どれくらい経ったか、ひとしきり暴れて落ち着いた私は、勘違いしていたとはいえおにいちゃんにさせてしまっていた事と、してしまった事を謝ることにした。

いくら大好きなおにいちゃんといえど、ここまで気まずいと流石に顔を合わせづらいなあ、などと思いながらおにいちゃんの部屋の前に来たところで、それを目に、耳にする。

後になって思えばそれだけおにいちゃんに余裕が無かった事がわかる、珍しく閉め切られずに僅かに隙間の開いた扉と、微かな声。


「……ルビー……ルビ、ぃ……ッ!」


その声に心臓がドクンと跳ね、ドアノブにかけようとした手が止まる。

覗いちゃいけない、と私の理性が叫ぶ。けどそれは今の私を止めるには力不足だった。

覗き込んだ先に見える、私の名前を呼びながら自慰に耽るおにいちゃんは、いつもの優しくて頼り甲斐のある姿とは程遠くて、情けなくてみっともなくて弱々しく見えて、なのに酷く強く愛おしくて。


(あれ……?)


気づけば私はその場でへたり込んで、下着もかつてないほどぐしょぐしょで、おにいちゃんの声が聞こえるたびにおなかの疼きが強くなって。


初めておにいちゃんに相談したあの日に一応教わった自慰行為、上手くいかなかったのは実のところ、性への忌避感が強かったせいだ。

より正確には、前世の両親と今世の血縁上の父、親という概念への不信からくる、親になることに結びつく性への忌避感。

おにいちゃんのなでなでによる絶頂、それを勝手に性的なものじゃないと思い込んでいたのもそのせいだ。

だというのに、


(気持ち……いい……っ!)


私は今初めて、自らを慰めている。

おにいちゃんの声が聞こえ、私を思いながら自慰に耽っている事実を意識するたび、背筋がゾクゾクし、身体と心が燃えるように熱くなる。

強くなり続ける疼きに耐えられず、胸に、股に手を這わせる。

あの時上手くいかなかったのはなんだったのかと思うほどに、絶頂はすぐ訪れた。


「おにいちゃんすきっ!だいすき……ぃッ!!!」


登り詰めたと思った次の瞬間、急速に熱が引き、虚しさと恐怖と不安が胸に満ちる。

それは、おにいちゃんの腕に包まれている時には全く感じなかったもの。

強い寂しさに、気づけば涙がぽろぽろと溢れていた。


「ルビー……!?」


いつの間にか扉は開いて、驚きよりも心配を顔に湛えたおにいちゃんがそこにいた。

覗かれていたであろうことよりも私を心配してくれるその様に、胸の暗い思いが薄れて行く。


「その……大丈夫か?」


差し伸べられた手を取って立ち上がる。

触れたその手の温もりに、冷えたはずの心が温かくなる。


(ああそっか……おにいちゃんなら嫌じゃない……ううん、”おにいちゃんが良い”んだ……)


立ち上がったそのまま、お兄ちゃんに抱きつく。


「ルビー……?」

「おにいちゃん、私ね……」


心からこぼれ落ちるように、


「おにいちゃんの子供が欲しいんだ……」


それは口をついて出ていた。






アクア

絶対ルビー至上主義。

人道に反しない範囲で我が儘は全部聞くつもりでいる。

ルビーに対する認識は、唯一の血を分けた妹で、アイの忘れ形見で、生涯かけて守るべきさりなちゃんで、最推しのアイドル。ということで神聖視しつつあった。

そこに更に散々喘がせイかせたために極上の雌という認識を刷り込まれつつあり情緒は滅茶苦茶。

勃った時点で罪悪感バリバリなのに、ルビーに抜かれるわ、我慢し過ぎで一回じゃ収まらないわ、頭に浮かぶのは喘ぐルビーばっかでオカズにしてしまうわで、とにかく罪悪感がヤバい。

それでもルビーを気にかけるのは最優先するシスコン。


ルビー

機会がなかったり避けてたりで、性知識はあっても実感は皆無の無知無知娘。

性欲、性的興奮に触れてこなかったために、ひとたび興奮すると我慢がきかず本能に流されがち。ただし対象はアクア限定なので安心(?)


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