香子さんはじめてのアナル 前編
mob暖かな寝室、青年は目の前にいる女性の姿を見やる。
長い黒髪を流した女性、青年にとっての愛しい女性(ひと)、香子。 体に負担をかけないようにと側臥位で膝を抱えるような姿勢をとっている香子の肌は、それまでしていたことと、これからすることへの羞恥と期待で、仄かに赤く染まっている。
青年、立香は始まりを知らせるように、香子の頭を優しく撫ぜ、耳元で囁く。
「香子さん、それじゃあ、始めていきますよ? 香子さんのご要望の、おしりの調教・・・」
「・・・はい」
恥じらうような、絞り出すような香子の声に、立香は優しく微笑むと、頭をなでながら言葉を続ける。
「お浣腸は綺麗になるまでしましたからね、香子さんが気にするようなことは起きないですからね」
「・・・はい」
「痛くないようにゆっくり、ゆっくり時間をかけてほぐしていきます。 調教は時間をかけて行うものです、気持ち良くなくても香子さんに非はないですからね?」
「・・・はい」
「いや、とかダメ、とか、勝手に口をついて出てくるような言葉では、俺はやめません・・・どうしてもダメだったら、終わり、と言ってくださいね?」
「・・・はい、そ、それにしても」
「? どうしましたか、香子さん」
「い、いえ・・・その、立香くんが、すごく手馴れてるなって・・・ひゃん!?」
ぺちり、と軽い音を立てて、立香が香子の尻たぶを叩く。 痛みのない音だけのスパンキングに驚いた香子が立香の顔を見ると、その顔は少しだけ不機嫌そうに歪んでいた。
「・・・俺、香子さんにお願いされてから、本とか、経験者とか、いろいろ回って調べてきたんですよ?」
「あ、その、ごめんなさい・・・」
「大体ですね、慣れてるわけないじゃないですか。 俺が抱いたのって・・・香子さん、だけなんですから」
「・・・・・あ、はい」
顔を赤らめ、そっぽを向く立香と、そんな立香に真っ赤になった顔を見られないことを心中喜びながら「・・・いと恥ずかし」と呟く香子。
微妙な空気が流れた部屋だったが、我に返った立香が香子の腰を擦りながら言葉を続ける。
「せっかく浣腸で少しだけ柔らかくなったお尻の穴が硬くなっちゃうので、始めますよ?」
「はい・・・ひゅぅっ」
香子の返事を待たず、立香の指が香子の肛門を撫ぜる。
溜まった排泄物を残らず排出させるための数度にわたる浣腸で多少は柔らかくなったとはいえ、未経験の香子の肛門では、立香の指をそのまま挿入されては快楽を感じる余裕などない。
故に立香はまず、香子の肛門周りの筋肉をほぐすところから始める。
手元のボトルからローションをいくらか手に取り、冷たさに香子が驚かないように手の体温になじませてから、肛門に塗り込む。
ぬちゅ、ぐちゅ、と粘度の高い液体をかき回すとき特有の音を立てながら、指でゆっくりと肛門の筋肉をほぐし続ける。
肛門の周りをくるくるとなぞり、軽く押し、引き、また撫で。 少しずつ力をこめ、時間をかけてゆったりとマッサージを繰り返していくと、香子の微かな喘ぎ声が聞こえてくる。
「んっ・・・は、ぁ・・・ふうっ・・・・」
手を止めて香子を観察する立香。
浅い呼吸に微かに甘い吐息が混ざり、肌は先ほどまでより赤らみ・・・
「香子さん、乳首、勃起してる・・・それに」
「んうっ・・・んっ♡」
しゃり、と軽い音をたてながら、立香の片手が香子の恥丘の茂みを撫でる。
ローションに濡れた手でもわかる手の感触に、立香は笑みを浮かべながら・・・
つぷり、と香子の肛門に指を突き立てる。
「っ! ひ、ぃ・・・」
「濡れるくらい気持ちよかったんですか? ・・・香子さん、可愛いなぁ」
恥じらいながらも恨めしそうな視線を向ける香子に笑顔で応える立香。
差し込まれたのは人差し指の第一関節まで、挿入したともいえないような微かな進歩。しかし・・・
つぽ、ちゅく、つぽ、ちゅく・・・ちゅこ、ちゅこ。
「香子さん、わかりますか? 香子さんのおしり、俺の指の先を受け入れて、えっちな音たててるの」
「い、言わないでください、りっかく、んぅ♡ しゃ、しゃべってるときは、やめぇ♡」
「辞めませんよ? ほら、香子さんは、俺の指に集中して?」
淫らな水音を立てながら繰り返される注挿に混じる、香子の甘い声。
普段なら痛みを感じるだろう挿入されている立香の指に感じられるのは、愛しい男の指を逃すまいと甘く締め付けて淫奉仕する、香子の肛門の媚肉の感触。
しかし立香は焦ることなく、ゆったりと注挿を続けながら、徐々に徐々に指を深く埋めていく。
「り、立香く、んっ♡ はぁ、だ、めぇ♡ くちゅくちゅ、しな、いれぇ♡」
立香の年相応の、節くれだった指の関節が肛門を通過するたびに、隠し切れない嬌声をあげる香子。
相応の時間をかけてストレッチを行われた香子の肛門は既に微かな快感を感じられるまでに成長している。
無論、だからと言って立香の、普段の交わりでさえ子宮を圧し潰そうとしてくるほどの剛直を受け入れてしまえば痛いでは済まされない。
故に行われているストレッチではあるのだが、快感に目覚めつつある香子からすれば、延々と焦らされ続けているようなものだ。
微かな快感をより強く感じられるよう、香子は必死に自分の尻穴を蹂躙する立香の指に意識を集中する。
真っ直ぐに伸ばして挿入される指、関節が通り抜けるたびに開かれる肛門の感触、肛門を拡げるようにゆったりと動く指、かすかに曲げられた指が引き抜かれる排泄感にも似た快感、直腸越しに膣道を撫でられる感覚。
意識を集中するほどに香子の口から出る言葉は、人間のソレではなくなっていく。
意味のある言葉は少なくなり、快感を享受するメスの鳴き声の比率が大きくなっていく。
仕事の為と称し、惚れた男に懇願し、肛門を性器に改造してもらう浅ましさと、準備の時間からすでに気持ちよくなっている羞恥心を燃料に香子の肛門快楽は燃え広がっていき、ついに。
「・・・っ♡ は、あ、ぁぁぁぁぁっ♡」
肛門に力が入り、深く突き入れられた立香の指を、ほぐされた媚肉が強く締め付ける。
その香子の声に、立香は聞き覚えがあった。
「・・・香子さん、おしりほぐしてるだけですよ? まだ準備ですよ? なのに・・・」
おしりほじくられて、イっちゃったんですか?
立香の問いかけに、恥じらいから声を上げられなかった香子はただ首肯で応じる。 実際のところその絶頂は、絶頂と言っていいかもわからない程度の軽いものだった。
自慰を覚えたての少女が感じられるような、もどかしすぎる、しかし開放感を伴った絶頂。
そして香子にとっては、はじめての肛門絶頂。
余韻に震える香子の不意を突くようにして、立香の指が肛門から引き抜かれる。
これまでのゆっくりとした動きとは違う、スピードを伴った動きに、香子は思わず背中を反らせる。
放心する香子の眼前に晒される立香の指。 その指には明らかにローションとは光り方が違う、泡立った淫液が付着していた。
「香子さん、わかります? ・・・俺ね、香子さんを気持ちよくできるように、準備してきたんですよ? おしりの気持ちいのに目覚めてもらうために、前を弄るのとか・・・でも、ほら」
香子の鼻がひくひくと動き、眼前に晒されたそれの匂いを吸い込む。
発情しきった自分のフェロモン、興奮し汗ばんだ立香の体臭、プレイで少しだけ使ったローションの臭い・・・そして、嗅いだことのない、それは
「香子さん、ケツ穴ほぐしてるだけで腸汁垂れ流してアクメしちゃったんですね・・・そんなに気持ちよかったですか?ケツ穴ほじられるの」
「ああ・・・♡ そ、んなこと、いわない、でぇ♡」
香子の被虐嗜好を煽るために強い言葉を使う立香。香子のマゾヒズムに調教されるようにして目覚めた立香の嗜虐嗜好のエンジンに火が灯った合図だった。
声に煽られるようにして、興奮の度合いを一足飛びに高めていく香子の肛門に、再び立香の指が突き入れられる。
絶頂余韻の最中の容赦ない追撃に「お゛ぉぁっ♡」と情けないメス声をあげた香子に、冷笑する立香が告げる。
「それじゃ、これから香子さんの情けないケツ穴、俺のチンポ突っ込んで精液コキ捨てるケツマンコに改造していくんで、覚悟してくださいね?」
「・・・ふぁい♡」
人間としての尊厳を捨てさせるような処刑の宣言に、香子は心から嬉しそうな返答をするのだった。
≪続く≫