食べたいものは 後

食べたいものは 後


「そうだ!マキノさんに返さなきゃいけないものがあったんだよね。忘れてた!!」

「? わたし、何か貸してたかしら?」

「いや〜その〜貸してもらってたというより、勝手に借りてったんだけど・・・・」

そういいながらウタはテーブルの上に小さなナイフを置いた。

「私が最後にフーシャ村に居るときにね、私も海賊の一員だから武器を持って戦えるようにならなきゃって思って、ルフィとシャンクス達がいつも通り店で騒いでる間にこのナイフを勝手に持っていきました!!ごめんなさい!!!」

「ああ、やっぱりそうだったの。

立て続けに2本なくなるから、もしかしたらウタちゃんも持ってったのかなぁって思ってたのよね」

「・・・私にとってこのナイフはシャンクス達と別れてからの数少ない誰かとの繋がりの1つで・・・持ってるだけで元気になる気がして、肌見離さず持ってたんだ・・・

でも、もう大丈夫!!今すぐには返せないけどちゃんとフーシャ村に返しに行くから!!」

「このナイフがウタちゃんのお守りになってくれていたのならよかったわ。ナイフはそのまま持っててあげて。

誰かさんみたいに怪我もしなかったみたいだし」

「ちょ、マキノ!!それ言ったら・・・!!」

「本当に!?ありがとうマキノさん!!

って怪我?そういえばさっき、やっぱりウタちゃんも持っていったって・・・・?」

「ええ、2本なくなったって言ったでしょ。

ウタちゃんが持っていった後に同じナイフを新しく出したんだけどね・・・」

そう言ってマキノの視線はルフィに流れる。

まずいと思ったルフィはすぐ逃げようとするが、体は小さいままだったため、ウタが放った五線譜に

あっけなく掴まってしまった。

ウタは五線譜を目の前に引き寄せそこに磔にされてる小さな幼馴染をじっと見つめた。

「ひゅ~ひゅ~・・・おれはなーんもしらねぇ・・・グエッ!!?」

ツンッ ツンッ ツンッ

「・・・ねぇ、ルフィ どういうことかな??」

ツンッ ツンッ ツンッ

「わ、わかった、説明するから指で腹を突くのやめてくれ!!」


ルフィは観念してナイフについて説明した

シャンクスに認めてもらうために店から持ち出して度胸試しとして目に傷をつけたこと

そこからシャンクスの船に乗らずに自分で海賊団を結成することを宣言して麦わら帽子を預かったことをすべて


「フゥ~~~」

ウタはため息をつきながらルフィの拘束と解き体の大きさを元に戻した。

「ウ、ウタ・・・!?」

「ルフィ、今から説教とお礼と謝罪を言っていくわ、まずは説教ね・・・!!!」

そういいながら、ウタは自分とルフィの姿を子供の頃に戻した。

「このばかっ!!!

あたしが確かめてあげようとしてた強さってそういういみじゃないからね!!

一歩まちがってたら目が見えなくなってたかもしれないんだよ!!!」

「・・・ごめん」

ウタは再会した時のようにルフィに抱き合い耳元に囁く。

「・・だけど、山賊が来たときに、赤髪海賊団・・・シャンクスのためにおこってくれてありがとう、たたかってくれてありがとう・・・・・・」

「でもそのせいでシャンクスは・・・・・」

「なに言ってるの。シャンクスも言ってたでしょ・・」

「ルフィが無事でほんとによかった。

みんなの誰かがルフィにこの件について責めた?

みんな同じ気持ちだよ・・」

「ウタァ・・・」

ウタはルフィから離れ、自分達の体を成長・・・元の体に戻し

「麦わら帽子が二人の大切な約束なものだってことを知らずに奪っちゃってごめんね・・・

ウタワールドで目の前で引き裂いて、現実でルフィと一緒に刺そうとしてごめんね・・・

ルフィを一人にしちゃってごめんね・・・・・・・・・

私がフーシャ村に残っていれば、あの時船に密航しようとしていたのを止めた時みたいに目に傷をつけるのを止められたかもしれないのに・

山賊にルフィが囲まれている時に歌で眠らせてやれば、シャンクスは腕を失わないでルフィが怖い目に逢うこともなかったのに・・」

一言一言紡ぐ度に涙がポタポタと零れる

「すべて!あの時!エレジアで!!

私がウタウタの能力を制御できていたせいで!!

  目の前にあった楽譜を手に取ったせいで、それを歌ったせいで!!

ぜんぶ、わたsブッ・・・!?」

「・・・そこまでだウタ」

ルフィの手がウタの口を抑えた。

「ル゙ブィ・・・」

「おまえもさっき言ってただろ!

  今お前は生きてる。シャンクスも生きてる。おれも生きてる。

シャンクスの、おれ達の大切な麦わら帽子も無事だ!!

だからいいんだよ・・・!!」

バシィ

ウタはルフィの手を払いのけながら、それでも、と続ける

「エレジアの人達を・・・

ゴードンからエレジアを故郷を奪ったのは・・・」

「・・・・・おれの仲間になブルックっているだろ。

あいつな見ての通り死んだんだけど悪魔の実の能力で生き返ったんだ。

で、ブルックが言うには死んだ奴らがいる黄泉の世界ってのがあるんだとよ」

「・・・?」

「だからよ、おれ達が死んで黄泉の世界ってとこに行った時にエレジアの奴らがいたらよ

おれとお前でそいつらに謝りにいこう!殴られても、悪口を言われてもおれが絶対にそばにいてウタを守ってやる!!

でも、ブルックみたいにこっちに生まれ変わってるかもしれないから、そのときはおれ達の手で創った新時代で幸せに生きてもらおう!!

もちろんゴードンのおっさんにも!!それが今生きているおれたちに出来ることだ!!」

「うん。うん・・・」

先ほどとは、逆にルフィからウタに抱き着いた。

「でも、今度また黙ってどっかにいこうとしたら絶対許さねぇぞ!!

  お前にはおれが海賊王になって、新時代を作って、その宴の場で歌ってもらわないといけないからな。ししし!!」

「・・・うん。ねぇ、ルフィ?」

「何だ?」

「私と一緒にいる・・この世界は楽しい?」

「?もちろん楽しいぞ!!」

「私と私の歌う歌はどうかな?好き?」

「・・・・当たり前だろ・・・・・お前はおれが初めて会った海賊で、憧れの海賊団の音楽家で・・・

おれの最初の友達で仲間だ!!!」

「うん。ありがとうルフィ。・・・・私も大好きだよ!!!!」


ウタワールドが歪んでいく。

あまりのことに動揺したせいか現実のウタの体が限界を迎えたのだろう。

「あっごめんね。マキノさん。そろそろお別れみたい・・」

「いいのよ。また会えて嬉しかったわ。

よかった・・・二人が昔みたいに仲良しで!!」


「///ッ!

ところでさ!!マキノさん。ずっと気になってたんだけど、

マキノさんの店で寝てるこの子供って誰なの?」

とウタは現実世界のマキノの店を映した。

そこには、店の端にある小さなベッドの上に子供がすやすやと眠っていた。

「ああ、この子は私の子供よ」

「へ〜そーなんだぁ・・・・」

「マキノが母ちゃんになるなんてなぁ・・・・」

「「・・・」」

「「・・?」」

「「・・!」」

「「マキノ(さん)の子供ォ!!?」」

「そうよ」

「え、え、いつ、誰と?」

「おれ、何も聞いてねぇぞ!!」

「それは、あんたが一切連絡しないからでしょうが!!」

「いつって言われると大体2年前くらいかしら。

相手については・・・ごめんなさい秘密よ」

「え~〜、お〜し〜え〜て〜よぉ、このままじゃ気になって寝れないよぉ・・・・」

「そうだぞ、教えろ!!おれたちはその相手がマキノにふさわしいか見極めないといけない!!」

「見極めるって言われても、ここにはいないし・・

あなた達がフーシャ村に実際に帰ってきた時に紹介するわ」

「ケチッ、減るもんじゃないし教えてくれたっていいだろ!!」

「待ってルフィ!今すぐ相手を知る方法があるよ!!」

「本当か!!」

「うん、マキノさんには悪いけどこうやって・・・こう・・・

よし!上手く行った!!」

ウタが映す映像が動き始める

「現実のマキノさんの体を動かせてもらったよ・・・これで店の奥にある家の中を探せばその相手の人が分かる!!」

「あっウタちゃん、だからね・・・」

「よし、いけっ!!ウタ!!!」

「任せなさい!!」

マキノの体を使って家の中をくまなく巡る。

しかし、そこには誰もいなかった。探せる限りのところは探したが

いるのは寝ている子供とマキノのみ。

「なんで、どこにもいねぇんだ!?」

「いや、待ってルフィ。

マキノさんの家、どこを見ても男の人がいるような跡がないよ・・・」

先ほどのように数瞬固まった後に

二人の脳内にある一つの考えが浮かぶ

ここフーシャ村はのどかな場所だが、すぐ近くにある山の中には山賊を始め、ゴア王国に住めなくなった流れ者がすくなからずいる。

もし、そんなやつらが酒を求めてマキノの店に忍び込んだら・・・・

そしてその場にマキノが居合わせてしまったら・・・・

「はい、ふたりともそこまで!!なんか変な想像してると思うけどさっきも言ったでしょ!!

  今はいないって、フーシャ村にはいないっていう意味よ。村の外で仕事してるのよ」

「「そうなんだぁ・・・よかった!」」

「もう本当にこの子たちは・・・

ウタちゃん最後に、また子供の頃の姿に戻ってくれないかしら、ルフィも一緒に」

「いいですけど・・・いったい何を」

言いつつウタは再び子供の姿に戻った。

「はい、じゃあ横に並んで・・・そうそう

えいっ!!」

「「マキノ(さん)!?」」

ギュっとマキノは先ほど店の前で再会した時と同じように二人を両肩に抱き寄せた。

「二人が元気でよかった。

必ず、無事にフーシャ村に帰ってきてね・・・

でもその時はちゃんと事前に連絡してね。村全体でお祝いの準備するから。

また、船長さん達と一緒にみんなで騒いでる姿が見たいわ。」

「・・・分かった!!おれが海賊王になった時の宴はフーシャ村で開く!!おれの仲間や友達を連れて、シャンクス達も連れてみんなで騒ごう!!」

「しゃあその時に新時代の幕開けを世界のみんなに教えてあげようよ!

  ・・・・・・よし!海賊王と世界の歌姫 故郷での凱旋ライブっていう名目で世界中に配信しよう!!」

「ふふっ、きっと村長さんも村が有名になるって喜ぶわ」

世界が光に包まれていき先ほどまであった店もいつの間にかなくなっていた。

現実にいるウタの睡眠が始まりかけ、ウタワールドが閉じようとしていた。

「「じゃあマキノ(さん)、またな(ね)」」

「ええ、またね、あっ!!そうそうウタちゃん」

「えっ、何?」

「実は私厚底の靴はいてるのよ。だから身長勝負はウタちゃんの勝ちよ」ヒソヒソ

「え~マキノさんずるいよぉ」ヒソヒソ

「フフッ、今度ルフィ相手に試してね」

「!!うん、分かった」



現実エレジア

「・・んっ!?」

「・・・ぁるふぃ、おきた?」

「ウタ!?大丈夫か?」

「・・・ごめんちょっとむりしすぎちゃったみたい」

「喋んなくていい!ゆっくりそのまま寝ろ!おれがおぶってベッドまで送ってやる」

「うん、おねがぃ」


「マキノのメシ食って久々にしゃべってすげぇ楽しかった!!ウタ、ありがとうな」

「どういたしまして・・・ねえるふぃ

あたしね、ふーしゃむらにかえったらたべたいものができたよ」

「食いたいもの?」

「あのぬしをね、たべてやるんだ

あたしのおとうさんのうでをくったおとしまえをつけさせてやる!!」

「ししし!!いいなそれ」

「だからいっしょにつくろうね、しんじだい」

「当たり前だ!」



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