青き春を夢に見て

青き春を夢に見て


「ね、これ懐かしない?」

「制服?」

 夜。

 雨竜がベッドの上で本を読んでいると、高校時代の制服を身に纏った撫子が寝室に入ってきた。

 撫子はその場でくるりと回って見せる。

「うん、ちょっと整理しとったら出てきたんや」

 ハイこれ、と差し出されたのは男子制服。

「……着ろって?」

 目を輝かせてコクコクと頷く撫子に押し切られ、雨竜は何年ぶりかの制服に袖を通した。


「わぁ~~~! 懐かしいなァ、高校生の雨竜や!」

 楽しそうに声を上げて、撫子は制服を着た雨竜に抱きつく。それを受け止めて雨竜はベッドに腰を下ろした。撫子も腕を離してその隣へと座る。

「確かに懐かしいね、平子さん?」

「その呼び方も懐かしいなァ、アタシはもう石田やけど。……そういえば雨竜と会うたのも高校やな」

「そうだね……」

 雨竜と撫子は高校時代に思いを馳せる。

 出会い、撒き餌事件、ルキア奪還、藍染の乱、死神の力を取り戻した一護、滅却師との戦い。

 本当に、色んなことがあった。  

「一年の時と三年の時はいろいろあったもんなァ」

「二年の時は比較的穏やかだった気がするよ」

「せやな、虚退治くらいしか起こらへんかったし」

 雨竜から合鍵貰ったンもその頃やったね、と撫子は雨竜の肩へ寄り掛かる。

「雨竜はいつ頃からアタシのこと好きになったん?」

「……君が消えてしまった時には」

「え、虚圏ン時?」

「そういう君は?」

「なーいしょ!」

「不平等じゃないか?」

 撫子がじゃれていると、それを雨竜が捕まえる。

「あ」

「教えてくれないなら、どうしようか」

 ゆっくりと横たえられ、うねる金の髪が白いシーツの上に散らばる。

 覆い被さって来た雨竜の首に腕を回して、唇を重ねた。お互いに唇の感触を楽しむように角度を変えながら何度も口付け、段々と深くなっていく。

「ン……制服やと、なんや悪いコトしとるみたい……」

「そうだね……もっと悪いこと、しようか?」

「ふふ、ええね。……来て?」


 雨竜は撫子の制服のリボンを外す。赤いリボンは白と金の海に落ちた。






このあと滅茶苦茶





「もう耐えなくていいと思ったら、ね」

「……雨竜のすけべ」

「……否定はしないよ」




Report Page