霊術院就任の事前挨拶

霊術院就任の事前挨拶



「お主、死神統学院の方に専念せぇ。」


私が、六番隊の隊員として動く傍ら山本さんの私塾を死神統学院と名を変え体制を整えた機関の方にも教育者として動いていた時。

山本さんからの呼び出しがあり、唐突にこう言われてしまった。


「突然ですね山本総隊長、私の業務自体に不備がありましたか?」


そう言えば、山本さんはそうではないとこちらを向き直り。除隊の届けを目の前で書けと言うように、差し出しながら。


「死神統学院ができ、護廷十三隊ができ。二つとも大きな人を抱えることとなった、故に二つとも行うというのは中途半端になると思うてな。」


山本さんは、そう私に告げる。

死神統学院と護廷十三隊はそれぞれ深い関わりを持つもの同士であるが…………規模が大きくなるにつれ同一ではなくなった。

故に同一ではないのならば、両方に深く関わりを持とうとするならば中途半端になるであろう。


「ワシは総隊長として、護廷十三隊の長としてある。

死神統学院に、ワシ以外で最も関わってきた死神はお前じゃった。」


護廷十三隊の方に専念されると言うことですか、と私は呟き。山本さんも中途半端になることを恐れていたんですねという内心の思いを潜めた。


「………分かりました、では除隊の変わりに猶予期間と死神統学院の証を求めます。」


私は、除隊の届けを書いてから山本さんに渡すわけでもなく懐にしまい。猶予期間とそして権利を分けた証の作成を求めた。


「猶予期間とな長すぎなければ良い好きな時間を言ってくれ、証は隊長羽織のようなものと考えればいいか?」

「えぇ一年は、掛かりません。えぇ見てそれだと分かるものがいいです。

出来たら受け取りに来ます。」


山本さんの言葉に、そうだと返してから一年は掛からないことそして証となるものが出来次第伝えてほしいと言い。

そのまま立ち去った。

とはいっても、貴族の方々とは違い金持ちではないため返るのは別荘というのではなくいつも通りの六番隊隊舎であるのだが。

戻った後隊長命令にて除隊することとなったむねを不老不死隊長に御伝えし一年の猶予は貰えてはいるが、長期となる仕事は回さないでほしいと伝えてた。なだめすかすの大変だった。

仕事が少なくなった後でも、私の部屋は一年間は確保してくれるようにはなった、総隊長直々にということと猶予が貰えていることから普通の首切りではないと察してくれたのだろうか。


「大体一年間浮くのは、確実だろうなぁまぁそれは私自身の問題として。もっと問題なのは、山本さんの名で持っていた死神統学院を私みたいな無名が、請け負ったがゆえに軽んじられることですね。」


本来ならば、山本さんは武力にて他に比類がないということもありまして意識せずとも良いのですが四大とはいかずとも上級貴族で担保を取るのが本来の良い手でしょう、でも命じられてしまったら。


「私に出来ることを、やりましょう。」


山本さんの名前は、猶予という準備期間中どんどん使って行くしかないですね。

四大貴族へのご挨拶は必須だとして、そう言う物は証が出来てから向かいましょうか。正直証が出来るまでは、準備の準備期間のような物ですね。


「やっぱり、贈り物が一番分かりやすい好感の示しかたでしょうか。」


そう言いながら、パラパラと今現在十三隊にいる貴族の方々はどうだったかと記録をめくった。

綱彌代家であればもう分かっているのですが、鮮度の問題も多いですしね。流石に腐った物お渡しするのは私でも憚られます。


「贈り物揃えようにも、お金がありませんっ」


考えているうちに、もっとも根本的なことに気がつく。どれが嬉しいだろうの前に、購入するための銭が無いのだ。

貴族が満足する品ともなれば、どんなものでも値がはるのはめに見えていた。


「………教典作る時に何とかしましょう。」


山本さんがいるときに、死神の基本技能の形体化として文に記してそれが使われるようになりましたが、それを新説として直して私がなったと同時に切り替えるようにしましょう。

手土産は、私がよく行っている甘味処にしましょうか。

落雁であれば、お祝いのごとにも使われる縁起の良い物です外しはしないでしょう。


「持っていくものと準備していくものは、新しい新説版の教典見本と落雁と私で大体良いでしょう。

………上級から下級まで巡り、貴族の方々以外の有権者のところまでとなると甘味処さんに負担かけちゃいますが………まぁそれは常連ということで目をつむってもらうとして。」


証が出来るまでに六番隊と死神統学院の業務に追加してやることは、


新説の作成

落雁の予約(挨拶に訪れる人数の確定)

四大貴族を最初として訪れる順番の決定(基本的には、早いほど重要に見たと相手に認知される。)

四大貴族の中でも、筆頭である綱彌代家への贈り物を作る練習&作成


でしょうかね。優先順位としては、落雁の予約も新説の作成にも関わりますし訪れる必要があるものを精査からですかね。


「芦原、山本総隊長より一番隊舎執務室にお呼び出しが掛かっているぞ。」

「はいっ!」


私はそれに、はいっと反応をしながら襖を開く。

もしかして出来たんですかね?証落雁とかのお菓子の関係とかもあってなんども進捗聞いてしまいました。一年間ほとんどまるっきり掛かるとは、私でもよめませんでしたが。


「ぁーすいませんすこしビックリしてあはは。」

「しっかりしろよ、六番隊とか業務以外で前より付き合い悪くなったて噂されてんぞ。」

「それは本当にすいません………後すこしで飲みとかにも行けると思います。」


ペコペコと頭を下げて、謝った。六番隊の業務は除隊するということが決定しているだけあってかなり減っており、同時に死神統学院の方も山本さんから見て何かしているのだろうと察したのか雑務は回ってこなくなった。

その分練習や、貴族の方々をお相手する詰めを見る事に時間を回しすぎましたかね。

私は、山本さんをお待たせするわけには行かないだろうと瞬歩も使いその場を去った。


「ずっと引き込もって何してたんだか………遊び呆けてたり。」


芦原が立ち去り、残された者は好奇心で襖を覗く。


「…………ぁぁ"ああ"」


バタリと直ぐ様襖が閉められる音だけが辺りに響く。

山本総隊長の伝令を伝えたものが見たのは、辺り一帯に血が飛び散りまだ片付け途中かのように雑多にまとめられた血肉が多数置かれた光景だった。


「山本総隊長、お頼みしたの出来上がったのでしょうか?」

「あぁコレじゃな、神木の真材をつこうて熟練の職人に掘ってもろうた。」


山本さんが、いつも通りに執務室にいて失礼しますと挨拶をしてから入り辺りを見れば、分かりやすいように堂々と木札が置かれていた。

随分派手になった物だなぁと、まじまじと見ていればワシなりに気合いをいれたと言うように有難い木と熟練の職人が手間ひま惜しまず作ったとのことを言っていた。

そのまでいうなら、貴族の方々の目にはいってもガラクタにはひとまず見えないだろうかと木札をしまいこみ。


「ありがとうございます、山本総隊長こちら一旦保留にしていた除隊の届けとなります。」

「あぁお主は、死神統学院の方で励んでくれ。」

「有り難きお言葉感謝致します、それでは失礼致します。」


その代わりと言うように、記入済みの除隊の届けを山本さんに戻した。証を受けとるまでの事前準備はもう出来てますし、今まで使わせて貰ったお部屋のお片付けとかもありますけれど………

除隊となっても一年は使わせて貰えるということですので、そこで処理はすませましょう。

山本さんは、軽く確認をした後こちらは受けとると言い死神統学院で励んでくれと語った。


さて、今から就任のご挨拶といきましょうか。休むのは、もう少し後です。


私は今落雁と、新訳の教典を纏めたものと、苦労して作った大荷物を持ってまず最初に綱彌代家に向かう。

そう言えば、四大貴族や上級貴族等の方々の多くは分家がありますからそこら辺の向かう順序を考えるのが一番悩みどころだったなぁと思いつつ。

門の外で、事前に連絡は取ってはいるため問題はないだろうがすこしの緊張感も感じていた。


「伝令より聞いております、芦原様中へお入りください。当主様の元へご案内いたします。」


門が開かれ、家人だろう人が配下と言えども貴族の一派というべきか私の渾身の一張羅よりも遥かにきらびやかな衣を纏っている。口調こそ丁寧であるが明らかな下民としての見下しが入ったような様子で言われ素直に後をつける。

荷物が、私一人分位はあるため重たく何度か置いてかれそうになりながらも何とか当主がいる襖の前まで来た。


「流魂街の平民が、ここに来れるとは幸運な事だ。」

「一目でもお目にかかりでき、光栄でございます。」


この方が、綱彌代家の当主様と言うことなのだろうか?そう思いながら私は膝をついて頭を下げる。

死神統学院の院長の任を山本さんから任されたということを最低限御伝えしなければ。そう思い、証である木札を出す。


「護廷十三隊総隊長山本元柳斎 重國より、死神統学院の院長の任命を受けその旨のご挨拶と参りました。」

「下級ですらない、平民を取り立てるとは山本も老いたか。」


正直私でもそう思っていますね。まぁそのらへんを何とかするためのまずご挨拶というところではあるのですが。

圧倒的な力もなければ、生まれもった権力もなく財もない。強いていえば、死神統学院の関わりが、他よりすこし強かっただけなんですよ。

私はもう見せる必要もないと、証をしまいこんだ。


「就任新たに任命された時にて教典の全内容を一新いたしまして。

四大貴族筆頭 歴史の番人 綱彌代家として、華々しい栄華を乗せさせて頂だこうと思っております。」


そうして私は、あえて教典として纏めた物ではなくばらした綱彌代家についての項を当主の目の前に出す。

おべっかべはない、貴族はいろいろ面倒くさいため(あれとこれが犬猿だとか、伝統があれでダメな行動があるだとか)そこら辺の内部交渉にはある意味必須となる。


コレを四大貴族 上級貴族 中級貴族 下級貴族 その他有力者"全員分同じ文章量そして内容の濃さ"で作成した。


この内容だけ、"口出しの権利"を与える。権威主義には、ある程度有効で魅力的にうつると思っての事だ。貴族目線での死神統学院の利点は、まだ若い存在に思考を受け付けることにあると見ての行動だった。


「下民にしては、良く調べている。」


当主は、内容をペラペラと捲りながらげせた笑いを浮かべている。特に怒るでもなくすんだ。


「勿体なきお言葉。」

「所でその、大きな荷物はなんだ?邪魔でしたがない。」


私は返された項を受け取り、再び感謝の意を述べる。すると襖のすぐちかくに置いていた荷物が気になっていたようで指を指していた。

あぁ最初っから見せるのは、興が削がれてしまうかなと思っていたのですが大体話は進みましたし良いでしょうか。


「こちら、手土産となりまして。」


指のさされた荷物をもち、封を開けてから何本も入っている瓶からをトントンと移していくように出していく。

どれがどれだか分かりやすいように、名を書いてはいますが、特に左右とかちゃんと名前つけてないとどっちがとっちだが分からなくなりますし。

割りも大きい所も左右切れてると、分かりにくいものです。


「…………………」


当主は目を見張っていた、その光景が信じられないと言うように勿論とっておきで用意しましたからね。驚いてくれるのは良いことです、用意したかいがありました。

私は、笑顔を保ったまま。


「別の人を使ったりはしてません、ちゃんと"私"で用意いたしました。」


何回か失敗して綺麗に切り取れなかったり、麻酔使ったりして薬混じるのいやがるかなと麻酔無しで頑張ったり本当に用意するのが大変でした。

失敗した何回かは、地面に埋めたり燃やしたり…………数回の失敗だったら食べようとは考えてはいたのですが、まえにいろんな方に叱られました。

鮮度が大切というのもあって、早く来た方がいい物ですからね。

魄睡と鎖結と脳は、この中でも特に大変でしたね脳は切り取ったら記憶飛ぶわ魄睡と鎖結は一部は斬って取り出し治すことは出来るのは分かりますが下手したらそのまま死にますし。

そう物思いに耽っていれば。


「綱彌代家が、こんなものを欲しがるとでも?」

「何度か殺されかけた時に、お相手を辿ったさい何度か綱彌代家様が出ておりましたので。」


怒りなのか震えた声で、私になぜこんなものを求めていると思ったと告げる。アレあんなに分かりやすい主張されていたのに、てっきり私が欲しいのかと違っていたらお恥ずかしい限りですね。


「今回の件にて、山本直々に死神統学院の院長への命を受け立場的に手に入りずらくなるだろうと。」


今は名だけとはいえ、組織の長として据えられる。六番隊にいるだけの平より明らかに、事前準備後処理等々含め確実に私は綱彌代家は狩りづらくなるだろう。

楽に手に入るものであったら、価値はない。だからこそのとっておきの手土産だったのですが、何処が不満なのか。


「四大貴族筆頭、そしてその当主だぞ?その程度どうとでもなるとは思わないのか?」

「えぇ四大貴族筆頭その権威を、私の中で一等と示す為最初に向かわせて貰いました。」


あぁすんなり入れると思ったら、ここでそう言うものですでも互いの利の為に抑えて欲しいものです。そう考えながら、明らかに本性を出し始めた当主に………ここに来たのは一番であることを伝える。

当然二番目も三番目もあり、ここで死んだ際には他に何処にも行っていない状態である私の行方は綱彌代家しか存在してないことになってしまう。それでは、綱彌代家が迷惑を被ってしまわれると暗に伝える。


予定は全て、回る場所はもう組んで全て伝えてある。当然護廷十三隊総隊長山本元柳斎 重國さんにも。


四大貴族筆頭と言えども、他に容疑者がいない状態を切り抜けるのはなかなか骨が折れるものと思われるが。


「そう来たか、随分と人の皮を被っている。」

「綱彌代家様へのコレからの信愛の意としてでございます。」


………酷いこと言いますね、お互い仲良くやっていきましょうそれだけなのに。私敵意とか本当に持ってないですよ、別に嫌いって訳ではないですし難しいですね。


「コレは、見た目だけならいくらでも細工が出来る。」

「承知しました、コレで互いに手打ちと致しましょう。」


夜が深くなったころ、やっと終わった。灯りは蝋燭の細い火のみ、それ故視覚的にはまだましな状態である。

暗い闇で良く見えないのだから。

その空間に光がつく………、至るところに血が飛び散り。何十人も惨殺されたと思い起こさせるような風景だ。

傷ついているのは、一人だけなのであるが。


「夜分遅くなってしまいましたね、コレで失礼致します。以後もより良い関係を続けられることを心より願っております。」


この惨状をつくりあげた一人は、何事も無かったかのように夜遅くまで居てしまった、次の時も良い関係を気づいていきましょうと定例そのものといえる平凡でありきたりな別れを口にして立ち去る。







「………今日いろいろあるかと思って、他の貴族様の予定いれなくて良かった………」


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