電脳ガールの異能

電脳ガールの異能

スーパープリティー電脳ガールソーシャちゃん

青と白。0と1。それらが全てを構成する空間は、今日も変わらず静寂が場を支配し、それでいて情報が溢れかえって騒がしい。

私は今日も目を閉じる。ここは電脳体であるモノ以外は来ることの出来ない場所。感覚を研ぎ澄ませ、どんな異常にもすぐに気付くことが出来る様に意識を一点に集め、瞼を押し上げた。

その瞬間、目が耳が頭がありったけの情報を報告してくる。必要な情報、不要な情報、その全てを。そして私はそれらを切り裂く様に駆け出した。私に足はないけれど。頬で空気抵抗が感じられない感覚にはもう慣れた。縺れる足も、切れる息もない。正直、それをこれから体験する日が来るかと問われるとおそらくNOなのは少し寂しい。


でも、今考えるべきなのはその事ではない。いつも通り110°の方向へ体を向けて走り出す。勿論辺りの炎の壁を溶かすことも忘れずに。

火を纏った狐とダンスを踊るようにくるくると回りながら懐かしいeの狭間をくぐり抜け、0と1を横目にただ一人情報達とは逆方向に電脳空間を駆け抜ける。

2つ目を推奨していたお好みチャンネルは今はもうその他を推奨しているらしい。

それに時の流れを感じていると、今もなお動き続ける蒼の羅針盤が見えてきた。それが指し示す方向へ迷うことなく突き進む。

情報過多で思考が鈍ってきた気もするが、そんなの無視してただ先へ。稲妻の鳥が今日もせっせと仕事をしている横を通り過ぎ、トロイの木馬が朱に染まった振りをしているのを冷ややかな目で見ながらその場を去る。


そうやって駆け抜けた先は三原色渦巻く青。蒼の羅針盤も間違いなくその先を指している。それを確認した私はにやりと口角を歪ませ、迷いなく青の中に飛び込んだ。



視界を曇らす霧が晴れると、そこは既に見慣れた携帯端末の中。今日のニュース情報も問題なくたんまりと手に入った。しかし求めていた情報はその中に無いことに抱いたのはいつも通り落胆と期待。


でも、手に入ったニュースについて話す相手が最近出来た。そのことが何より嬉しくて、私らしくない少しふにゃりとした笑みを浮かべて私は電脳空間を去った。




「――おはようございます! 今日は早くもあの電車が――――」

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