『雷と友達と〇〇』
「え!?今日はシャンクスは帰ってこないのかい!?まさか君と2人っきり!?」
「だからそう言ってるだろ??」
「さ、最悪だ〜!なんでシャンクスのやつ〜!!」
大雨で家の中からでも外の雨の音が聞こえてくる。そんな日にウタはシャンクスが帰ってこないことを聞くと頭を抱えた。よりによって会えば喧嘩しかしないルフィと2人っきりでいるのは最悪だった。ルフィもどうしようかと頭を掻いてるとウタが立ち上がった。
「もう!まぁいい、それよりもボクはこれから配信だから邪魔はするなよ!?変態猿」
「なっ、変態って・・・おれは別に・・・」
「どうだか、ナニを大きくしてたし・・・」
「あ、あれは」
「とにかく、ボクに変な事をやろうとしたら許さないからな!」
ウタはそう言ってルフィに釘を刺すと部屋に戻っていった。
部屋に戻ると定期的にやってる配信の準備を始めた。配信で有名になったウタは週に2回必ずやっておりファンからもその立ち振る舞いで歌のプリンスと呼ばれていた。
「雨強いなぁ〜、雷とか降らなきゃ良いけど」
ザァザァと雨音がドンドンと強くなってくる中でウタは少し心配しつつも準備をしていき配信まで後5分と行った所で全ての準備を終えた。
「よし、これで・・・」
ゴロゴロ・・・ドガン!!
完璧と言おうとした瞬間、雷鳴り響いた。
「ひっ!」
あまりの音に咄嗟に頭を屈めた。恐る恐る顔を上げると何も変化はなかったのでホッとしたがその時、部屋の明かりが消えた。
「え?て、停電!?」
途端に真っ暗になる部屋にウタは慌てないように努めつつ電気を付けようとするがカチカチと音がなるだけで付かなかった。
(そんな・・・ブレーカーが落ちたのか?)
ペタペタ
そんな風に思ってると誰かが歩いてくる音が聞こえてきた。
(ひっ、だ、誰だ!?)
ウタは突然聴こえてきた音に身構えた。暗くて良く見え難くなってるのもあって少し怖く感じてるとドアが開いた。
「お、大丈夫か?お前」
やってきたのはルフィだった。見知った声にウタはホッとすると途端に安心したのかいつもの余裕そうな雰囲気も戻ってきた。
「もちろん、ボクは歌のプリンスだからね。こんな事で一々・・・」
ゴロゴロ・・・ドカン!
「うわっ!?」
「おい、大丈夫か?」
また降った雷にウタは体を縮こませた。そしてそんな事をルフィの前でやってしまったのもあってウタは恐る恐る顔を上げた。暗くて良く見えないが絶対に笑われてると思った。
「だ、大丈夫だよ!こんなの全然怖くなんか・・・」
「いや、凄えビビってたぞ。雷怖えのか?」
「なっ!?違う!!雷なんか怖くない!!ただこういう不意打ちみたいなのは苦手な・・・あっ!?」
「やっぱり怖えじゃねぇか」
「うぅ・・・(くっ、よりによってこんな奴に・・・)笑いたかったら笑え」
「別に笑わねぇよ。おれも1人苦手だ・・・」
「え?」
「雷とか暗いのはへっちゃらだけど1人は苦手だ」
「そ、そうかい・・・ならそんな寂しがり屋の君には明るくなるまでボクがついて上げるよ!配信もいつ出来るか分からないからね」
「おう、ありがとな!!じゃブレーカー見に行こうぜ」
ルフィはそう云うとウタの手を掴んでブレーカーの所まで歩き始めた。ウタは掴んできたルフィに戸惑いつつもその手を握り返した。
◯◯◯
「ブレーカーつかねぇな」
「これはもう待つしかないね」
ブレーカーの所まで喧嘩せずに来れた2人はブレーカーを弄くるが特に電気は付かなかった。
「ふぁ~ねみぃな・・・」
「流石にもう待つしかないし、夜も遅いから寝るか・・・」
「そうだな・・・」
2人はそんな風に話し合ってゆっくりと自分達の部屋のある2階まで来た。だが2人は手を離せなかった。特に何かあったわけでは無いがなんとなく離したくなかった。
「なぁ、その・・・ボクに変な事しなきゃ一緒に寝てやっても・・・良いよ」
「やらねぇよ・・・けど、ししし良い考えだな」
ルフィはウタの言葉に笑って返した。暗かったがお互いに近かったのもあってウタはそれを見ると笑顔で返してルフィもその顔をちゃんと見ながら笑った。
◯◯◯
2人はその後、服をそのままにルフィの部屋のベットで横になった。ラフな格好というのもあったので特に寝にくい感じはない。並んで横になりつつもお互いに繋いだ手は離してなかった。
「ルフィ・・・」
「ん?」
「ありがとう・・・たぶん1人だったらボクは寂しかったと思う・・・けど君が居るからかな・・・寂しくないや」
「おれもウタが居てくれて凄え心強いぞ」
「ふふ、ありがとう・・・」
「ししし」
お互いに軽く話して笑い合うとウタは少し大きく息を吸って話し始めようとしたがその前にルフィが声を出した。
「なぁ・・・ウタ」
「な、なんだいルフィ?」
「その・・・おれ達喧嘩ばかりだけどよ、おれはウタと"友達"になりてぇ」
その言葉にウタはルフィの方を見た。自分も同じ事を考えていたのもあって少し驚きつつもルフィを見ると目が真剣なのが分かった。
「うん・・・ボクも君と"友達"になりたい・・・」
「そっか・・・これからよろしくなウタ!」
「ありがとうルフィ・・・」
2人はそうやって横になりながら向かい合って寝てるとチョンと鼻先同士が当たった。ルフィの1人用のベットというのもあってそこまで大きくないので当たってしまったのだ。2人はそれに対してお互いに目を見つめ合った。
「もう寝よっか・・・明日も早いことだし」
「おう、そうだな!」
しかし、特に何事もなく2人は寝ようとそのまま寝始めて・・・数分後にはお互いに夢の中だった。
〇〇〇
チュンチュンと鳥の鳴いてる声が聴こえて朝日が入ってるのがわかったのかルフィは起きた。まだ目の前にいるウタは眠ったままでルフィはその寝顔を少し見つつも起こさないようにして起きようと体を動かし始めたが動けなかった。
「なっ・・・」
なぜならウタがガッツリとルフィをホールドしていたからだ。動かしづらいルフィはモジモジとウタから離れようとした。
「ん〜・・・ルフィ・・・」
「え?」
ふいにウタが寝言で名前を呼んできたのでルフィは固まった。そして次の瞬間、身を捩らせたウタに反応出来ず、、ルフィの唇にウタの唇が近づいてきてルフィの唇に柔らかく暖かい感触がした。