隠し事は無しで

隠し事は無しで




いつぞやのスレに出た1人でトラウマ解消しようと無理するIFローとおまんじゅうちゃんのちょっとした話

出たって言うか自分で出して見たくなっただけのやつ

舌足らずだからおまんじゅうちゃんの台詞読みづらいですがご了承ください





「おい!あんちぇいにちてろ!」


 俺の頭の上でぽよぽよ跳ねながら叱る声が聞こえる

 饅頭という菓子とよく似た形で、デフォルメしたような人の顔をしているその不思議な生き物は、いつぞや立ち寄った島で出会った『ソウルの具現化』によって生まれた生き物


「おみゃえはまたそぉやっちぇむりちやがっちぇ!!」


 そうやって怒るのはこの世界のもう一人の俺によく似た饅頭だ

 リハビリが終わってすぐ、療養メニューとは別で俺は1人でトラウマ克服の為に部屋で訓練をしている

 向こうの、俺のいた世界で触れる事も駄目になった電子機器のスイッチ

 電気を流される拷問のせいで部屋の電気のスイッチすらまともに触れなくなり、俺の部屋はずっと電気が消えたまま。灯りはランタンに火を灯した物を使っている。火も怖くないかと聞かれると少し微妙なところだが


「少しだけだから、少しスイッチのオンオフを切り替えるだけだ…だから、だから大丈夫……」

「ちょんなにふりゅえてだいじょーぶにゃわけにぇえだりょ!!」


 部屋の電気を点けるだけ。大丈夫、このスイッチは俺を苦しめる為の物じゃない。ドフラミンゴが用意した物でも何でもない、ポーラータング号の物

 分かっているのに小さいもう一人の俺が指摘する通り指が震えてスイッチが上手く押せない


「ちょんにゃことしちぇ!!あっかしちゃらどうしゅる!!おおきぃおりぇをよんじぇくりゅ!!」

「ま、待て!!」


 咄嗟に手を伸ばして小さいもう一人の俺を掴んだ


「むぎゅっ!!」

「こっちの俺には言わないでくれ!!俺、俺は、これ以上迷惑かけたくない…だから、早く治さないと……」

「……ふん!!」

「いってぇ!!」


 思い切り手に噛み付かれて離してしまった。またすぐに捕まえようと思ったが、冷静に考えればこの小さな身体で扉開けたりなんて出来ない事に今気付いた

 小さいもう一人の俺は俺を睨みつけてきた


「おみゃえはめーわきゅのいみをはきちぎゃえてりゅ」

「……迷惑の、意味?」

「めーわきゅは、いやっちぇおもわりぇりゅようにゃこちょだ。でみょ、おりぇりゃはだりぇもいやっちぇおもっちぇにぇえ。むしりょ、むりしちぇたおりぇりゅほーがめーわきゅだ!」

「……それは」

「そりぇに、どーしぇしゅぐにバレりゅぞ。いや、もうバレちぇりゅ」


 何の事かと聞こうとした瞬間、オペオペの能力のROOMが部屋の中を覆うと、こちらの世界の俺が現れて俺を睨んできた


「お前…また1人で無茶してやがったな?」

「え、あの、いや…してない……」

「嘘吐くんじゃねェ」


 そう言ってこちらの俺が差し出してきたのは小さい俺。震えて辛そうな表情を浮かべている


「うぅ…やぁ、やにゃの……でみょ、がんばりゅ……こぁい、けど、もぉみんにゃに、めーわきゅ、かけちゃくにゃい…………でんき、ちゅけりぇりゅよーに、なりゃなきゃ…………こぁい…………」

「あ……」


 それはまさしく、つい先程の俺が考えていた事そのままだ


「おみゃえりゃのかんがえちぇることは、おりぇりゃにわかりゅかりゃな。おりぇりゃのはおみゃえりゃにはちゅたわりゃにゃいけど」


 小さいもう一人の俺が説明すれば、嫌でも弁明の余地が無いと思い知らされた


「にゃにかゆーことは?」

「……ごめんなさい」

「ごみぇん……」

「焦る気持ちが分からないでもねェが、それで悪化すりゃ本末転倒だ。分かったな?」

「はい……」

「うにゅぅ…ごみぇん……」


 もう一人の俺と小さいもう一人の俺から延々と説教を受ける俺と小さい俺

 ようやく説教が終わると、もう一人の俺は俺と小さい俺の頭を撫でてきた


「今後はちゃんと思ってる事は俺達に言え。まァこいつが居るから隠し事は出来ねェだろうけどな」


 そう言ってもう一人の俺は小さい俺の頬を指で軽く突いた


「ぷにゅ」


 小さく声が漏れて、何だかそれが面白くて笑ってしまった

 もう一人の俺は小さい俺を連れて自分の部屋に戻って言った

 何だかドッと疲れて俺はベッドに倒れ込んだ


「そーやっちぇ、しゃいしょかりゃゆっくりちてりぇばよかっちゃんだ」

「ん、そうだな…ごめんな……」


 頭を撫でてやると少し満足そうにしている。こっちの俺に同じ事をしても多分こうはならないだろうけど、少なくとも嫌がりはしないだろうな。今度ちょっとやってみるかなんて思いると疲労からか瞼が重くなってきて俺はそのまま眠った


 因みにその後、俺がもう一人の俺の頭を撫でてみようと考えていた事は小さい俺を通じて知られていたらしく、悉く避けられた上に俺ばかりがもう一人の俺やこちらのクルーから頭を撫でられる謎の事件が起きた



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