隊首会 

隊首会 

稲生・紅衣・メメ・虎屋のスレ主

(京楽隊長視点です)

「火急の危機である」

山爺の声が部屋に響く 最近一心くんが行方知れずになったりと嫌なことが続く護廷十三隊に新たな悪い知らせが届いた

「先日 現世及び流魂街に住む虎屋家から条約の破棄と宣戦布告があった

その後皆の知る通り直接瀞霊廷に乗り込み最終的に一部隊士から斬魄刀を奪い帰還した」

山爺の威厳ある声が響いた後に東仙隊長が手を挙げ、それを見た山爺が発言を許可した

「彼らが宣戦布告した時点で多少日付に誤差があるとしてもこうなることは分かっていたはず なぜ隊長格にあの時"待機命令"を出したのですか!

場合によっては死者が出ることは容易に予測は出来たはずです 我々は彼らに無益な戦いをさせず一息に捕縛し戦いを早々に終わらせるべきだった」

東仙隊長らしいごもっともで真面目な質問だ。僕としてもそうできたらよかったんだけどね

「彼奴らは死者を互いに出さぬと予想していた だがもし隊長格が出れば彼らはそれらを止めるために死ぬことを辞さぬ 故に隊長格は待機させ彼らを生かす必要があった

そして彼奴等の影に潜む下手人の尻尾を掴むために彼奴らを泳がせたのじゃ」


今僕たちの前には隊士から一時借り受けた『自ら帰って来た斬魄刀』が数本並べられている ちなみに犬になって(傍から見ると刀が這いずってる)帰ってきた後持ち主の手に渡ると動かなくなった

「物わかりの悪い者でも分かるように説明してあげるヨ この薙刀,長ドス,西洋剣,槍に見えるものは全て正しく斬魄刀の成れの果てだヨ」

試しに西洋剣を握ってみると確かに死神の霊圧を感じるし刀身は変わらず持ち手の部分が変わってるくらいだ、とはいえにわかには信じ難い話だけどね

「おい 結局何がどうダメでどうすりゃいいのかサッサと言ってくれよ」

更木隊長が痺れを切らしそれを涅隊長が睨んだところで僕も介入することにした

「最近隊長になった東仙隊長や日番谷隊長も分からないだろうし軽く虎屋家についておさらいしようか」

東仙隊長や日番谷隊長にウインクした後話を続ける

「死神の見解としては...といっても僕は違う意見だけど

虎屋家は滅却師である志島家の傀儡的な存在だよ 志島家はかなり強引に虎屋家が知る情報を縛った上で共生することを強いているんだ...僕は何らかの理由があって伏せていると読んではいるけどね」

「じゃあその志島家ってのを叩き斬りゃあいいじゃねえか」

「ところが そういう訳にもいかない!彼らは死神にとって共存できる滅却師集団でもあるからね 彼らは千年前虎屋家と共存するようになってからは虚の魂を滅却ではなく『魂葬』が出来るようになった

そしてその魂葬のタネが今僕たちの前にある斬魄刀の成れの果てさ」

そこまで僕が言い切ったところで涅隊長が無遠慮に話に入ってくる

「千年前の大戦の際に志島家が卍解に至った斬魄刀を持ち逃げしそれを虎屋家が改造した...まったく忌々しい話だネ 私よりも先に斬魄刀の改造に手を出すとは

だがそれよりも忌々しいのはこの成れの果ての仕様だヨ これは斬魄刀の何十二も掛けているセキュリティをすべて外した危険物でネ "誰でも"使用可能だ」

「誰でもだと...⁉」

日番谷隊長が驚くのも無理はないこれは全ての死神の根幹を揺るがす技術なのだから


「さて ここからが問題だヨ

まず彼らの本来の目的は『人探し』であるはずだネ?だが実際は人探しは何ら成果を得られず斬魄刀の収奪のみ成し遂げて帰った そこまでは理解しているかネ?」

「ついでに言えば 彼らには『第六感』というある程度の予知能力じみた能力を持っているにも限らず人探しは成果0だ」

涅隊長の説明に付け足しつつ今起きている出来事の最悪のケースを考える

「90年ほど前の襲撃は突発的だったから不完全だったのでネ 今回はしっかりとデータを取ることが出来たヨ

結論から言えば『第六感』というのは未来を視ている訳でも頭の回転を良くしている訳でもない…彼らは自身の持つ五感,思考などをどこか遠くに送るテレパシーを持っているだけの霊能力者に過ぎない事が分かったんだヨ」

「ではなぜそんな予知能力じみた力を持つのか...それは単純明快だヨ

そのテレパシーを受け取った相手が的確な指示を飛ばしているため...ちなみにこのテレパシー能力は送る専用であるために受信はかなり力技だヨ

『魂魄そのものに情報を焼き付ける』という方法を取るために受け取るたびに魂魄が焼け爛れていく 実際先日の戦いで第六感を使ったものは5~9割程度の魂魄を損傷し一部の者は床に臥せる始末だったようだヨ 優しさが骨身から滲みだす私からしたらあまりにも惨い扱いだネ」


「つまりまとめるとその『第六感』を名乗る奴が斬魄刀のセキュリティを外して悪用するために画策した襲撃だと言いてえのか」

日番谷隊長はやはり飲み込みが早い

「斬魄刀を返したのは恐らく僕らの手を煩わせて時間を稼ぎたいんじゃないかな 実際直そうにも十二番隊隊舎の襲撃で斬魄刀改造関係の機械は破壊されちゃったって報告書にもあったし」

僕も意見を述べるけど皆処遇をどうするべきなのか思い悩んでいるらしい 部屋は静寂に包まれている

僕が想定する最悪は死神の仕事を斬魄刀ごと全て奪って成り代わってしまう事だ それに滅却師が何らかの形で結びついてきそうだけどまだ判断材料が少なすぎる


結局静寂を打ち破ったのは山爺が杖で床をコンと叩く音だった

「今まで我ら死神は滅却師との共存の策として虎屋家懐柔を目指していたがもはや猶予は無い 虎屋家と志島家を引き離し虎屋家は一族徒党全て捕縛することとする」

「...待っていただきたい!彼らは五番隊の管轄であるはずです 私にも相談もなく処遇を決めるのは「彼奴らの肩を持つ気持ちも分かる しかし最早そういう段階ではないのじゃ」

今まで暗い顔をして押し黙っていた藍染隊長が食ってかかったけど敢え無く撃沈した

「斬魄刀の改造については『零番隊』より支援があると知らせがあった 護廷十三隊は明日現世及び流魂街に潜む虎屋家全員を捕縛する よいな」

各々思うところがありつつ隊首会は終わりを告げた





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