陛下「こんなもん見てどうしろと」
稲生紅衣メメ虎屋ダルヴァの主
「酷い有様だ」
今僕はユーハバッハ バッシュヴァルト リリーさん カワキさん 鳶栖さんが傍にいる
大所帯で明らかな過剰戦力だが相手は死神の総隊長だ 過多であっても問題はない
だが様子がおかしい 『雨が降っている』
総隊長山本元柳斎重國は卍解を使用するのを止めてこちらに相対したのだ
その傍には虎屋さんが一人ポツンといた...だが戦力のパワーバランスはこちらに傾いている この戦いももう終わりに近い
ユーハバッハが口を開き雨の音だけが支配する空間に音を与えた
「山本元柳斎重國 なぜ卍解を使わない」
「儂の卍解を奪う気であることは知っておる 苦肉ではあるが他の策を立てたまで」
正直言ってこの状況を生き延びるどころか一太刀与える策さえ見えもしないが敵はそう言い切った
それどころか一部子分を引き連れてヨルダとバルバロッサとマグダレーナさんさえ来てしまった...確かリルトットにミニーニャあとエルジェイドだったか...バンビエッタは居ないらしい
「狂ったようだな山本元柳斎重國 これほどまでに差があるなかで『策』を語るとは」
「いちいちフルネームで呼ぶのなんなんですの?寿限無何某の友達枠ですの?あと『策』なら既に実行済みですわよ」
正直ユーハバッハでさえこの中で生きられないだろうというツッコミをしたくなったが妙に虎屋さんは自信満々だ
「...解析では今のところ彼には変わったところはない」
カワキさんが聖文字を使ってくれたがまだ『策』とやらは分からない 策とは一体?
すると虎屋さんは両手を胡麻を擦る様にして一言言い放った
「観客 演者が揃ったところで始めさせていただきますわ!では
次の瞬間には自分の何か根幹が焼けるように痛みある文字が浮かび上がってきた
「『ショートコント 本屋』
貴方の役職:黒髪美人メガネJK 注釈:メガネは常に着けてください!!!
※貴方は役職から逸脱してはいけません 逸脱した場合改善するまで改善に必要である知識を魂魄に直接書き込みさせていただきます 苦痛が伴いますがご了承ください
またそれぞれの役職は希望すれば確認することが出来ます 他の演者が逸脱した演技をする場合指摘をしてください」
な...なんなんだこれは!?なぜ僕が黒髪美人メガネJKなんだ!?
今その場にいた全員は苦痛に苦しんでいたが一番最初に立て直した虎屋さんが説明を始めた
「これは私があれこれ※して会得したモノ...残念ですけど私が取り仕切っているわけではないですわよ?」
「解除や無効化ができない!?霊王由来か!」
恐らく虎屋さんは場を混乱させてどうにか逃げおおせるつもりか...!まずは周りを確認して状況を整理しなければ...
ユーハバッハ:超有名本屋の名物店主!どんな書物も少ない質問から自慢の頭脳で探り当ててしまう!
ハッシュヴァルト:ずぶ濡れゴールデンレトリバー
リリー:ゴールデンレトリバーの飼い主
カワキ:本屋の店員 割とサボりがち
鳶栖:快楽殺人鬼 注釈:銃刀の使用可能
バルバロッサ:カフェで優雅にコーヒーを嗜むイケメン
ヨルダ:恋人と"二人きり"で本屋にきた男
マグダレーナ:ゆめかわ♡生乾きポメラニアン
リルトット,ミニーニャ,エルジェイド:ヨルダと共に本を買いに来た恋人
虎屋翼:本を買いに来た子供
山本元柳斎重國:孫に本を買いに来たお爺ちゃん
...つまり?
「そちらのバルバロッサさん?こちら本屋ですし貴方コーヒー飲んでない様に見えますが?
そちらの快楽殺人鬼さんはなぜ誰も襲って殺人しようとしないんですの?
ヨルダさんは二人きりなのに三人も恋人がいますわね...誰かひとりに絞ったらどうですの?」
バルバロッサは能力の無効化をしようと奮闘していたが直ぐに離れた位置に移動しコーヒーを飲むようなジェスチャーを始めた
鳶栖さんは「カワキさんごめん...!」とカワキさんにゼーレシュナイダーを取り出し斬りかかった
ヨルダは...対処できずに魂魄を焼かれまくっているし恋人三人によるキャットファイトが開始されてしまった!
マグダレーナさんとハッシュヴァルトは犬になった以上二足歩行ができず飼い主なのでリリーさんはハッシュヴァルトに適当にその辺の縄を首にかけておいた
敵二人はユーハバッハの元へ歩を進める ユーハバッハが手を出さないのは本屋の店主という肩書が弓を番える邪魔をしているからだ
「ねぇねぇお爺さま!私あるご本が読みたいんですの!」
「うむ どんな本じゃ」
「人類が最初に作成した書物 三種類くらい」
「だそうじゃぞ "本屋の店主"」
そもそもいつの時代に書物と言える代物が作成されたのか知らないしユーハバッハも過去を見る事は出来ない
それが出来るのは恐らくマグダレーナさんだろうが今はゆめかわ♡生乾きポメラニアンだ...ワンとしか言えない!
「おかしいですわね?なぜ答えられないんですの?」
矛盾点がでた以上...ユーハバッハもダメージを避けられない
今無事なリリーさんだが恐らく「本屋に犬を連れて入るな」という指摘で止められる可能性が高い...
カワキさんは...
「店員が武器を持つのはおかしいだろうから素手でやっているけど...リーチの差を如実に感じるね」
「ごめんねカワキさん...どうにかなったら怪我してるところ治してあげるから!」
割と嬉々として戦っているような気もするがとにかく今はどうにもならない
僕がやるしかないか...!
「思っていた以上にかき乱されているね」
「石田さんまでやる気ですの...?正直やりたくはありませんが『貴方はJKでは...」
「異議を唱えさせてもらうよ 君は僕が心が女の子である可能性を考慮していない そのツッコミは矛盾を突けていない」
僕は弓を番える 煌々と蒼い光をなびかせて
「普通のJKが弓を構えるのは...!いや違いますわねこれは...!」
「この『ショートコント』とやらの弱点は"新たな役職"を名乗ることを禁止していない事 僕は『黒髪美人メガネJKの滅却師』だ」
虎屋さんを僕の矢が撃ち抜いた 致命傷ではないが十分だ
既に活動限界時間とやらは限界に近い せめて逃げる手立てを僕が立てなくては