阪巧×多幸

阪巧×多幸






 attention!!!!!!

 某三代目さん達のお手馬同士カプ

 受付さん視点(逆カプ勘違い要素あり)

 濡れ場前まで


 


 久々に客の入りが悪い日、暇すぎて裏に住み着いた野良猫を構い倒しに行ってやろうかと思っていると、受付に人の気配があった。

 見るとそこにはいかにも朴念仁、といった感じの大男が黙り込んで居た堪れなさそうに立ち尽くしていた。

 (いや、うちに用があって来たんじゃねーのか?)

 まるでここがどこであるかわかっていないかのような態度に痺れを切らしそうになるが、ここで彼の名前を思い出した。

 奴はエフフォーリア、特に血縁が近いわけではないので風の噂程度にしか知らないが、威圧的な見た目に反してその内面は柔和であることは知っている。そしてあまり親しくない相手との一対一のコミュニケーションが苦手なことも聞いていた。


 「あー、部屋ならあっちのパネルで決められるから、鍵もそっから取れる」

 「...はい...わかり、ました。ありがとうございます…」

 俺の言葉に反応こそ返したものの、なおも居心地悪そうにあたりを見回すエフフォーリアに、ふとある疑問がよぎる。

 

 相手、誰だ?

 彼氏だか彼女だかは知らないが、エフフォーリアと一緒に来ているお相手は今現在不慣れなコイツを放置していやがるわけで、なかなかイイ性格をしているようである。これでお相手がオルフェのとこのガキだったりしたら存分に締め上げてやる。レーベンならよし。というかレーベンがそんなことするなら大概ゴールドシップの入れ知恵だからそっちをしばく。ついでにファンロンも


すると入口の外から聞こえた笑い声はよく見知ったものだった。

「ちょっと、エフフォーリアはいつまでそうしてるつもりなの?ずっとここにいたらおじい様の首が疲れちゃうじゃん」

 俺のことを気遣っているふりをしてサラッと聞捨てならないことを言いやがったエフフォーリアのお相手サマは、最愛の孫、の弟であるタイトルホルダーだった。

 

 若干拍子抜けの感じがある俺を尻目に、タイトルホルダーはエフフォーリアを促し部屋を決めに行った。

 「ここのホテルの売りは豪華な内装だったりアトラクションみたいなのが付いてたりする部屋が多いことかなー。でもエフフォーリアにはあんまりゴテゴテした部屋は刺激強いか(笑)」

 「そうかもしれない…タイトルホルダーはどの部屋がいいんだ」

 「えー僕?僕がここ来るときはいっつもシアター付きの部屋しかとらないし…」

 「......何度も来てるのか?」

 「もちろん!なんてったってここのオーナーさんは姉さんのおじい様だから。たまに姉さんと差し入れ持って遊びにいくんだ」


 これからやることやるカップルとは思えないほどに平和な会話が繰り広げられている。もしかしてこいつらはラブホ男子会、とやらに洒落込む気なのか?そんな言葉があるのかは知らん。

 しかしそんな俺の考えも、次の一言で霧散することとなった。


 「もしかしてエフフォーリア嫉妬したの?僕がいいラブホあるって言った時からなんか変な感じだったけど…」

 「…...」

 「沈黙は肯定とみなすよ~?じゃあ分かった、今日は不安にさせちゃったエフフォーリアのいうことなんでも聞いてあげるから、楽しもうね♡」

 前言撤回、うちの孫(厳密には違う)はムッツリ君をたぶらかして愉しむとんでもないファム・ファタールだったようだ。哀れエフフォーリア、真っ赤になって固まってしまった。そんな彼を尻目にタイトルホルダーはさらに追い打ちをかける。

 「今日はこのまま泊まっちゃおうよ♡エフフォーリアのやりたいこと全部聞いてたら休憩の時間足りないもんね♡」

 俺が見ているのも気づいてか気づかずか一気に若干エロい雰囲気に持っていきそうなタイトルホルダーであったが、ついにこちらに向き直った。

「おじい様、のぞき見は悪趣味ですよ?エフフォーリアも緊張しちゃってるじゃないですか、慎んでください」

「どう考えてもエフフォーリアが固まってるのはお前のせいだろ…それにしてもアレだなお前、まさかとんだファム・ファタールになっちまったなんてな」

最愛の孫(本当に孫)が知ったらどう思うか...なんて考えながら口にした言葉は、以外にもエフフォーリアによって遮られた。


「タイトルホルダーは、違います...むしろファム?ファタールなのは......俺の方、かも、しれない…俺が......好きって言わなきゃ…タイトルホルダーは、男に興味、なかったから」

「エフフォーリア♡♡♡最初から僕はお前だけしか興味ないから♡♡これからも僕だけのファム・ファタールでいてね♡......というわけでおじい様、さしづめ僕はオム・ファタールってとこですね」

 「急に冷静になるなよお前...」

 「まあ、そういうことなので。エフ♡時間はたっぷりあるし、い~~っぱい楽しもうね、声だって我慢しなくていいし、なんならポジション勘違いしてたクソボケおじい様に聞かせちゃおう?」

 「それは嫌…」

 「そっか~そうだよね......ごめんね?だったらおじい様は耳でも塞いでいおいてくれますか?」

 「は?理不尽すぎだろふざけんじゃねえよ」

 「ホルダー、俺...そろそろ......」

 「!!!!!エフ、いっぱい焦らしちゃったね。じゃあそろそろいこっか」


まさかの爆弾を投下され固まる俺を尻目に完全にスイッチが入ってしまったタイトルホルダーは今にもおっぱじめそうな勢いでエフフォーリアに迫り(合間に俺に言葉のジャブを挟んでくるのが腹立つ)、エフフォーリアも恥ずかしそうにしつつもこっちもスイッチが入ってしまったのかまんざらでもなさそうであった。


こうしてエレベーターホールへと消えていった2人を見送った俺は、10組くらいの客を捌ききった後ぐらいに疲弊していた。

(こんな時こそメロにきてほしいが......このこと知ってんのかな~メロ...)


後日、珍しく1人きりできたメロディーレーンにそれとなく聞いてみたところ、待ってましたとばかりにタイトルホルダーとエフフォーリアのなれそめから何までを聞かされるのはまた別の話。

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