闇鍋パーティ!

闇鍋パーティ!


[登場人物]

鋼鉄人 … 金属以外は食べても意味がないが、誰かとの食事自体は楽しいヒーロー。


千剣后 … 食えなくはないけど…と言うような絶妙に奇天烈なものを投入する馬鹿その1。


ひも女 … 色々な料理を食べるのも知識収集の一環なので、色々入れた馬鹿その2。


後ろの … 食事は黙々とする派。大体何でも無言で食べるので鋼鉄人と一緒に鍋の処理役。


雅楽音 … 面白そうなので色々入れてみたら思ってたより面白くなっちゃった馬鹿その3。


王銃市 … お姉さまに美味しいものを食べて欲しくて色々入れてしまった馬鹿その4。


人玻璃 … ようじょ。闇鍋前の美味しい鍋を食べてお腹いっぱいになって寝た。


双魔銃 … 手元にあったものを色々突っ込んだら大変な事になった馬鹿その5。


S.S.S. … 食事をしないので部屋の隅からジッと見ていた僕らの合体機構魔剣。


闇鍋 … 生み出してはいけなかったモノ。闇より出でし混沌。最悪にして災厄。





▼▼▼


「———あの子を寝かせて来たヨ。あの様子なら朝までぐっすりだろうネ!」


「うむ。ありがとう。では……闇鍋の時間だ!」


「ワー」


「んふふ、いぇー」


「わ、わー!」


「わぁ。」


「そして! 皆が持ち寄った食材を叩き込んだものがここに在る!」


「ワァ……」


「んふふっ……」


「わ、わぁ……」


「……。」


「ニャハハ! いやぁ、言い出しっぺの1人として言わせてもらうけどサ———」

「───コレ、本当に食べるのかネ?」



「鍋が放って良いオーラじゃないですよ。」


「な、何でちょっと浮いてるんデスヨ……?」


「んふふ……良い匂いなのがぁ、逆に怖いわぁ」


「……毒?」


「その毒物を最終的に処理するのは俺達なんだが」


「……」


「まぁ、……匂いが悪くないのならば案外美味しいかもしれません。何事も挑戦から始まるもの。やはり、まずは食べてみてからです。」


「……あの、鍋に突っ込んだ箸が鍋の中に吸い込まれましたヨ?」


「これぇ、食べる以前にぃ具を取る事が困難じゃないかしらぁ……」


「抵抗してみたら箸の先が融けたんだが」


「パワーで負けると特殊攻撃?」


「ニャハハ! じゃあお兄様にはこの『不壊』が付与されたお箸を渡そうカナ!」


「……何処で見つけて来たんだ、コレ……? あ、何かの具が取れたぞ」


『———ギィアアアアアア!!!』


「……あのあの、今悲鳴らしきものが聞こえましたヨ?」


「兄さんが箸で具を取る毎に何かを毟る音が聞こえますね……。」


「ふふっ……ヌメヌメとした白濁汁にぃ具が覆わア”ア”ア”ア”ア”痛”ッたぁい!!」


「言い方を考えろ」


「流れるような腕ひしぎ。私じゃなきゃ見逃しちゃうね」


「ニャハハ! ニイサマの技を見逃さないの、この中じゃ姉サマくらいだしネ!」


「御姉様素敵デス……!」


「とりあえず配膳は終わりましたけど……。」


「うむ」


「……兄さんのお皿の上に載ってるの、それ、煉瓦じゃありませんか?」


「まぁ待て。この世界は見た目にそぐわぬ機能を持つ物も多い。これだって食べてみれば煉瓦の形をしただけの食べ物かもしれない。……ふむ。食感はとても硬く、構成成分は土を含む数種の構成物、味は解らんが……なるほど」

「───ただの煉瓦だなコレ」


「誰ですか鍋に建材を入れたのは。」


「ニャハハ! やー、食べられる土で煉瓦を作ってみたんだけどネェ! 結局煉瓦は煉瓦だネ!」


「ん。次は私」


「お、御姉様が明らかにウネウネ動いている何かをパクっと一口で!!」


「ニャハハ! さっすが豪快だネェ!」


「ん……ヌメヌメとしていて、お酒の風味がして、噛むと容易に噛み切れて、喉越しはつるっとした鰹節の味……。……? ……これ、何?」


「あっ、それねぇ? 私のおつまみのぅ干しカツオゥイカかしらぁ。鍋の水気で戻ったのねぇ」


「……マトモな……マトモか? マトモな食材をお前が入れるとは……」


「ネタ枠に走ると思ってた」


「正直意外ですね。」


「んふふ、失礼じゃなぁい!? 人を何だと思っているのかしらぁ……」


「兄様を好きな変な人デス……?」


「ニャハハ! 飲兵衛だネ!」


「変態」


「ノーコメント」


「んふふ……泣いちゃうわよぅ私ぃ!」


「まぁ、国民の意見が出揃った所で次は私ですね。」

「見た目は細長い形状の……竹輪? いえ、竹輪ならもう少し太いですね。中に何か通されていて、少し光沢があるように見えます。箸で持ってみた感触としては結構な重さがありますね。文庫本1冊程度……でしょうか。硬さは余りないようですが、水を吸っているのかもしれませんね。では一口。……何でしょう、形容し難い食感なのですが、お肉のような魚のような旨味を感じる、瑞々しい何か……としか形容の出来ない、お酒の風味がある何か……? ……ルルマリーナの『スプラッシュ・ミート』ですねコレ。」


「あ、当たりですケド……良く解りますですヨ……?」


「スプラッシュ・ミートの味として文献に乗っていたものと一致していましたからね。こういう味がするんだろうな、と想像していたものとは些か違いましたが。なるほど……とても美味しいお肉ですね。」


「そうデス? なら良かったですヨ!」


「ニャハハ! 普通の食材が続いてラッキーだったネ!」


「……」


「……あの、鍋がさっきよりちょっと上に移動してませんか。」


「え? そんな筈はないんだが……っ———!? 何で鍋が回りながら上昇を始めている……!?」


「闇鍋将軍がマトモな食材に怒ったか……」


「あのあの、明らかにヤバい奴じゃないですヨ!?」


「ニャハハ! いやぁ、想定外の事態だネ!」


「えっコレ普通に不味い状態じゃ……っ、わ———!?」



▼▼▼



~長い死闘の果てに~



▼▼▼


「ふはは! いやぁ、ビックリしたな!」


「まさか鍋の成分が超反応を起こして爆誕した『闇鍋の邪神』と戦う事になるとは……。」


『私が咄嗟に邪神の展開する異空間へついてゆかねば危ない所でしたね———。』


「ん、んふふ……疲れたわぁ……」


「お腹空いた」


「素敵な大活躍でした御姉様……!」


「ニャハハ! やー、何か食べよっかナー。鍋以外でサ!」


「……」


「あぁ、何か食べたいものでも? メニューは任せますが。……あぁ、中華が良いと。では兄さん、中華で一つお願いします。闇以外で。えぇ。」








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