闇の夢の交流

闇の夢の交流

モテパニ作者

ダークドリームがおいし〜なタウンに住むようになってからしばらく経つ。

ダークドリームの生活は一週間のうち平日に3日、土日のどちらか1日、計4日福あん及びなごみ亭のどちらかで働いていた。

本来彼女は生まれてから一年も経っていない。

彼女の元となった夢原のぞみを参考にしても中学二年生、労働資格は持てないし、そもそも戸籍も無いが。

そこはまぁなんとかなった。

詳しい話はダークドリームも知らない。

それをなんとかできる存在が裏にいた、とだけ言っておこう。

そんな訳ありの彼女だが、周りには品田家の父門平の親戚でありいろいろ事情がある外国育ちの女の子となっている。

門平自身異世界出身なので辻褄合わせはそう難しくは無かった。

もっともダークドリームはまだ門平と直接会った事は無いが。

ちなみにだがそれらの設定をなごみ亭の責任者あきほに伝えたところ。

あきほ『最近マリちゃんといい、リムちゃんといい訳ありの外国人多いのいろいろ心配ね』

と語っていた。

異世界やらプリキュアやらの事情を一切知らないのにとても懐の広い女性だった。

それはさておきダークドリーム自身の話に戻ると先程週4日の労働と言ったが社会人のように全てフルタイムで働いているわけではない。

土日のどちらかはフルタイムだが、平日は昼間か夕方前あたりから数時間、だから彼女の労働時間はそれほど多くは無い。

ならばその空いた時間なにをしているかというと、遊び呆けているわけでは無い。

勉強だ。

生まれた時点である程度の知識を持っている彼女だが、プリキュアを倒すため生まれた存在である彼女にはそれほど多くの知識を与えられていない。

だから知識を得るため時に自力で、時に誰かに習いながら勉強していた。

知識をあまり持たず、習う事に意欲的な彼女は飲み込みが早いわけではないが、まあそれなりに順調に学んでいった。

そんな彼女にも当然自由時間はある。

というのも福あんもなごみ亭もサービス業、土日こそ忙しくなるのに片方は休みなのは友達と遊ぶため。

ダークドリームと親交があるのは中高生のプリキュア達、つまり時間があるのは土日なのでその日を空けてくれるのだ。

そして土日のどちらかはあまねがみんなを集めてイベントをおこしいろいろやるのだが…

最近はそれがない。

理由は単純、拓海が捕まらないのだ。

なので拓海を巻き込むのをためにイベントをおこしているあまねも必然的にイベントをおこさずここ数週間集まりが無いのだ。

そして気づいたのだが、ダークドリームは一対一で遊ぶ相手がほとんどいなかった。

もちろんみんな友達だし、仲良く話もできるが、誰かを介したり集まったりしていないと関われていなかったのだ。

一対一で関われるのは家族のような拓海を除くと、のぞみとましろ(まし拓)とましろ(妖精)の三人、いや後ろの二人は同一人物だから実質二人だ。

そしてのぞみは住んでる場所の関係でなかなか会えないし、ましろ二人も拓海に付き合ってなにかしているようなのでこの休日ダークドリームは一人であった。

これを機に他の子と友好を深めてみるのもありだ、例えばゆいなど隣の家に住んでるのだからちょうどいい気がするが、それはまあおいおいとしよう。

そんなふうに一人のダークドリームが休日になにをしてるかというと、食べ歩きだった。

元々コピー元であるのぞみの影響か食べるのが好きなダークドリーム。

あまり使ってなかったお小遣いを手に街へ繰り出すのだった。

今日行くのはパンダ軒。

らんの実家で、普段からその評価を本人から聞いていたので気になっていた店だ。

そして忙しくなさそうなららんを遊びに誘えるかなという別の目的もあったが。

店に着くと自分と同じくらいの男子が店に入っていっていた、それに続いてダークドリームも店に入る。

どうやら繁盛しているようで店はほぼ満員。

これではらんを誘うのは無理だなと少し落胆しながらも唯一空いていたカウンター席に着いた。

ふと隣を見てみると先程店に入った男子がいた、この二席しか空いてなかったのかと少し気になって男子の方を見てしまう。

男子「(あ、この子最近街で見かける目立つ女子だ)」

男子の方もダークドリームを一方的に知っていたようでダークドリームの方をチラ見するも、特に話しかけるような事はしない。

ダークドリームも同様だ、ちょっとした偶然から目を惹かれただけで別にこの男子に興味がある訳では無いのだから。

らん「いらっしゃ〜い!あれ?リムぴょん、高木くん、二人でどうしたの?」

リム高木「「ん?」」

二人はその一言て今度ははっきりとお互いの方を向いた。

〜〜〜

高木「へーあんた華満と知り合いだったんだな、俺は高木晋平。華満の同級生」

ダークドリーム「よろしく、私はダークドリームよ」

高木「だ、ダークドリーム?」

ダークドリーム「好きに呼んでいいわよ。私も好きに呼ぶから、よろしくね晋平」

高木「そ、そうか。じゃあ華満が呼んでたリムで(この歳で同年代くらいの子に下の名前呼ばれたの初めてだ)」

らんの一言から友達の友達とわかり注文した料理が来るまで話をする事にした二人。

高木「リムってどこの学校行ってんの?」

ダークドリーム「行ってないわ、ちょっと事情があってね」

高木「へー」

らん「はいよ!お二人さんお待ち!」

会話もそこそこに料理が届く。

混んでる割には速い。

高木「(混んでるし飯来てまで話してるわけにはいかないな)いただきます」

ダークドリーム「いただきます」

会話を切り上げ食べ始める二人、後続のお客も入ってきて食べたらすぐ出た方がいいだろう。

高木「(うーん、リムともうちょっと話したかったんだけど)」

偶然に偶然が重なり会話にいたったが、この店を出たら彼女とはお別れだろう。

高木も年頃の男の子、可愛い女子と接するという貴重な機会が終わってしまうのは残念だった。

そう思っているとダークドリームから声がかかる。

ダークドリーム「晋平、これ食べ終わった後私に付き合ってくれる?」

高木「ほへ?」

らん「はにゃ!?」

〜〜〜

そして料理を食べ終わり店を出た二人は同じ方向へ歩き出す。

ダークドリーム「ありがとね、急なお願い聞いてもらって」

高木「は、ははは…構わねえって」

高木は先程の付き合うのを受諾したようだ。

高木「(付き合ってって言われた時はちょっ〜とだけ動揺したけど、私"と"じゃなくて私"に"だから、買い物とかそういうのに付き合って的なニュアンスなのはお見通しだぜ。流石俺、こんな時勘違いしない、できる男)」

高木「それでなにに付き合うんだっけ?」

ダークドリーム「うーん、特に考えて無かったのよね」

高木「…へ?」

予想外の一言に呆ける高木。

高木「じゃ、じゃあなんで付き合ってほしいって…?」

ダークドリーム「晋平と仲良くしたかったから」

高木「……?、…!?」

ダークドリーム「さ、行きましょ」

そう言ってダークドリームは高木の袖を引っ張った。

高木「(ここここれは!どう考えても俺に気が!?で、でも俺には華満が!)」

〜〜〜

一方パンダ軒。

らん「(高木くんとリムぴょんがデートかー。どうなるんだろ、ワクワクしちゃうなー)」

事情を知っているらんは普通に外野の気分だった。

〜〜〜

その後、ダークドリームと高木は楽しい時間を過ごした。

側から見れば二人は仲の良いカップルに見えたかもしれない。

そして…

高木「(決めた。俺リムちゃんの気持ちに応える)」

高木はすっかりその気になっていた。

心の中だが、呼び方もいつの間にかちゃん付けになっていた。

ダークドリーム「もういい時間ね、そろそろ解散しましょうか」

高木「あ、な、なあリムち…リム。伝えたい事が…」

???「ダークドリーム!」

気持ちを伝えようと高木の言葉を遮るように大きな声が聞こえた。

その正体は、

高木「(この人、確か品田先輩だっけ?最近ちょっと有名な人だ。そういや…)」

〜〜〜

男子A『最近芙羽様に近づく男がいるらしい…!』

男子B『マジかよ、どんな怖れ知らずだ?』

男子A『三年の品田って先輩らしい。しかも仲良く街でデートしてたとか』

男子B『え?俺はその先輩別の相手とデートしてるって聞いたぞ?』

男子A『たらしって事かよ…!』

高木『ふーん、まあそういう事もあるんじゃね?』

男子A『高木っ!?なんだその反応!お前だって芙羽様が好きなはずだろ!』

高木『(前はそうだったけどな、けど俺にはもう華満がいるからな)』

〜〜〜

高木「(みたいな事があったなぁ)」

ダークドリーム「拓海、どうしたの?」

高木「拓海!?」

拓海「華満から聞いたんだ、お前が男子と出かけてるって。どうしてなんだ!?」

高木「(まさか、あの人もリムちゃんを…だとしても!)」

拓海「言ってくれたらいくらでも協力したのに!なんで気になる男子がいるって教えてくれなかったんだ!」

高木「(いやそういう訳でも無いのか?)」

最初の慌てた様子からてっきりダークドリームへ想いを寄せてるのかと思いきや、この様子には高木に既視感があった。

高木「(なんか今の先輩の様子なんか覚えがあると思ったら、俺を心配してくれてる時の兄ちゃんに似てんだ)」

既視感の正体は今は離れて暮らす兄。

つまりは家族を心配する姿だった。

しかしそれは彼を余計混乱させる。

高木「(どういう関係だ…?)」

そんな中ダークドリームの一言が衝撃を与える。

ダークドリーム「言ってくれたらもなにも拓海が言ったんじゃない、男子と仲良くしとけみたいなこと」

拓海高木「「え?」」

ダークドリーム「ほらこの前あんたの部屋で」

〜〜〜

それはある夜のこと。

拓海『ダークドリーム、ちょっといいか?』

ダークドリーム『なに?』

いつものように拓海の部屋でくつろいでいたダークドリームへ拓海が真剣な顔で話しかける。

拓海『お前の今後の話だ。お前が今後どうするかはまだわからないけど、もし今後社会に出るならそろそろ男との付き合い方を習った方がいいと思ってな』

ダークドリーム『男との付き合い方?』

拓海『別に男女交際の話じゃ無い。友達付き合いとかそうじゃなくても他人としての付き合い方とかな。自分で言うのもなんだが、俺との接し方はあんまりそういうのの参考にならないと思うんだ』

ダークドリーム『そう』

拓海『ツバサは歳の割にいいやつ過ぎて一般の男の参考になりそうに無いし、湊さんとかローズマリーはそれなりに年上だからもっと歳の近い相手との関係を学べればいいんだが、俺の友達とかはお前との関係とか説明しようとするとめんどくさそうだしなぁ…』

ダークドリーム『ナルシストルーは?』

拓海『あいつはダメだ』

〜〜〜

ダークドリーム「みたいな話、したじゃない」

拓海「あー、そういやしたな」

高木「(部屋!?部屋って言った!?)」

ダークドリーム「それに気になる相手って言ったけど、私晋平の事よく知らないから好きも嫌いも無いし」

高木「ぐはっ!」

ダークドリームが高木と仲良くしたがった理由、大した意味は無い。

単に男子との付き合い方を習おうとしただけだった。

距離感が妙に近かったのも適切な距離を知らなかっただけである。

そもそも拓海が相手なら袖ではなく直接腕を引っ張っていただろう。

拓海「まあ、俺の言った事守ろうとしてくれたのは嬉しいけど、そういうのも事前に言ってて欲しかったんだよ。その、そのへんの事情知らない相手だといろいろ勘違いさせるかもしれないし」

ダークドリーム「そうなの。晋平も勘違いしたの?」

高木「は、ハハハー、カンチガイスルワケナイジャン。オレトリムはトモダチダロー」

ダークドリーム「そう、よかった」

拓海「あっ(察し)」

こうして高木の新たな想いは終わった。

高木「(やっぱり俺には華満しかいねぇ!)」

〜〜〜

一方パンダ軒。

らん「ふんふ〜ん♪(高木くんとリムぴょん上手くいってるかなー?上手くいったら二人はお付き合い?はにゃー!そうなったらお祝いしなきゃ!)」

もはや何も言うまい。

〜〜〜

拓海「ありがとな、ダークドリームに付き合ってもらって」

高木「は、はははいいんすよ。俺も楽しかったのはほんとうだし」

拓海「最近あいつに構えてなかったし、ほんと助かったよ。礼代わりって言ったらなんだけど、これお前も来てくれないか?」

高木「…これって」

高木は拓海から一枚の紙をもらう。

それに書いてあった内容とは…


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