闇の夢のバースデイ

闇の夢のバースデイ

モテパニ作者

11月10日この日はなんの予定も無い平和な日、そのはずだ。

少なくともダークドリームはなにか予定があるとは聞いていない。

今日の用事は昼に済ませて自室でゆっくりしていると。

拓海「ダークドリーム、今から出かけないか?」

帰ってきた拓海からそう誘いを受けた。

〜〜〜

ダークドリーム「どこに行くの?」

拓海「そうだな、適当にぶらつこうぜ」

ダークドリーム「そう」

なにか用があって誘ってきたわけではないようだが、ダークドリームは素直についていく。

ダークドリーム「あ、ねえここ入らない?」

拓海「おお、いいかもな」

ダークドリームが提案した場所はゲームセンター。

食の街であるおいし〜なタウンだが、こういった娯楽施設も多くはないが存在していた。

実を言うとダークドリームも初めて入る場所なのだった。

〜〜〜

ダークドリーム「これやりましょ、エアホッケー」

拓海「あーこれか。俺もやったのだいぶ前だからいろいろ確かめときたいな」

二人はお金を入れて動作を確認する。

拓海「とりあえずこの板を相手側に落とせばいいんだな」

そう言ってダークドリームの方へ軽くパックを返す。

ダークドリーム「こんな感じ?」

ダークドリームは返ってきたパックを思い切り弾く。

すると拓海側にパックは落ちた。

拓海「あ!卑怯だぞ!」

ダークドリーム「油断してる方が悪いのよ」

拓海「この〜俺の実力を見せてやる!」

ダークドリーム「ええ見せて、私に負けるって無様な形でね!」

その後二人の対決は出鼻を挫かれたためか、拓海がそのまま押し切られてダークドリームの勝利で終わった。

拓海「くっそ、こんな卑怯なやつに…」

ダークドリーム「あんたが弱かっただけじゃない。5点も差があったし。次はあれやりましょ」

ダークドリームが次に提案したのはゾンビがデザインされた筐体。

シューティングゲームだった。

二人で協力プレイをする。

実戦経験はある二人だがこのゲームは初心者、あえなくゲームオーバーとなった。

ダークドリーム「くっ、ダークネスアタックを使えばこんなやつら楽勝なのに」

拓海「やめろよ?」

〜〜〜

その後もいくつかのゲームで遊び、ほどなくして切り上げた。

ダークドリーム「あー楽しかった」

拓海「それはよかった」

ダークドリーム「あっ、そうだ。ところで…」

ゲームセンターの余韻を味わいつつ少し人気が少なくなった場所でダークドリームは…

ダークドリーム「いつまで拓海の振りしてるの?」

拓海?「!?」

と、問うた。

拓海?「な、なんの…」

ダークドリーム「別に怒ってるわけじゃないから隠さなくてもいいけど」

拓海?「………くぅ」

人がいないのを確認してその者は拓海の擬態を解き本来の姿を見せる。

ダークドリーム「ああ、あんただったの」

ミギリン「なんでわかったの!?なんで!なんでなんで!」

ダークドリーム「似てたわよ。けど、私と接してる時の拓海ってもっとマヌケだから」

ミギリン「マヌケ!?」

ミギリンの真似はなかなか再現度が高かった。

しかしそれがダークドリームに見抜かれる要因だったのだ、ダークドリームと接している拓海は他の者と接している時に比べて気が抜けている、ダークドリームの言い方だと意味が少し違うがマヌケという事だ。

ダークドリーム「それで?なんでこんな事してたの?私はドリームコレットなんて持ってないわよ」

ミギリン「いやいや!僕らはもうシャドーとは無関係だよ!」

ダークドリーム「冗談よ。それでなんで?」

ミギリン「うん。拓海さんに頼まれて家である準備をしてる間ダークドリームさんを外に連れ出してて欲しいって」

ダークドリーム「そう、べつになにかあるなら手伝うのに。それで?いつ頃その準備は終わるの?」

ミギリン「予定ではそろそろ戻っていいはずだから…」

ミギリンは再び姿を変える。

拓ミ「だからまあ、帰ろうぜ」

ダークドリーム「その姿になるんだ」

拓ミ「元の姿はこっちじゃ気軽に歩けないだろ」

ダークドリーム「まあそうね。じゃあ帰りましょう。ええっと、そういえばあんたどっち?」

拓ミ「ミギリン!」

〜〜〜

そして連れ立って帰ってきたダークドリームと拓ミ。

すると品田家の前に見知った顔がいた。

ローズマリー「あら?拓海くん?中に居るんじゃなかったの?」

そこにいたのはクッキングダムの近衛隊長ローズマリー。

前まで福あんのゲストハウスに住んでいたが、最近は滅多に訪れない珍しい客だった。

拓ミ「あ、ああ…」

拓ミは反応に困る。

先程述べた通りローズマリーは滅多に訪れない。

つまりミギリンも面識がないわけで、どう接すればいいのかわからない。

ダークドリーム「久しぶり、ローズマリー」

ローズマリー「あらダークドリームも」

ダークドリーム「どうしたの?急に来るなんて珍しい」

ローズマリー「ちょっとお呼ばれされたのよ。さ、一緒に中に入りましょ」

ダークドリーム「そうね。あとそいつ拓海じゃ無いから。そろそろ変装解いたら?」

拓ミ「あ、うん」

ミギリンは擬態を解き再び元の姿に戻る。

ローズマリー「どういうことぉ!?」

〜〜〜

ダークドリームは三人で品田家の中に入り手洗いを済ませてリビングへ向かう。

その途中ローズマリーもミギリンもやけにダークドリームを先に行かせようとしてくる。

理由はわからなかったが、とくに拒否する理由もなく先に進み扉を開けると…

パァン!

『誕生日おめでとうー!』

ダークドリーム「…え?」

扉を開けるとダークドリームが見知った者たちが一斉に祝いの言葉を放ってきた。

急な事態に固まるダークドリーム。

ダークドリーム「今日って、ローズマリーの誕生日?」

ローズマリー「違うわよ」

ダークドリーム「じゃあミギリン?」

ミギリン「じつはそうなんだ」

ダークドリーム「ほんと?」

ミギリン「ウソウソ」

ダークドリーム「紛らわしい!」

拓海「お前の誕生日だよ、ダークドリーム」

みんなの中から拓海が出てくる。

ダークドリーム「えっ?私に誕生日なんて…」

拓海「お前が知らなかっただけだよ。ミギリンとヒダリンに調べてもらって今日だってわかったんだ」

ミギヒダ「「え〜へ〜へ〜」」

ましろ(まし拓)「そんなわけで二ヶ月くらい準備してきたんだ。特別ゲストにも来てもらってるよ。どうぞ!」

のぞみ「ヤッホー!ひさしぶり〜!」

ダークドリーム「ッ!?来てくれたんだ」

のぞみ「もっちろん!大事な友達の大事な日だもん!おめでとうダークドリーム!」

ダークドリーム「ありがとう、のぞみ…!」

ましろ(まし拓)「さー!主役も到着したしパーティの始まりだよー!」

〜〜〜

高木「よっリム」

ダークドリーム「晋平も来てたんだ」

高木「こないだリムと出かけた後に品田先輩に誘われてな。知らないやつばっかりでちょっと居心地悪かったぜ」

らん「高木くんらんらん達より先に拓海先輩に誘われてたらしいんだよー?なんだかずるいよね?」

高木「まあ俺の場合あのタイミングしか誘われるチャンス無かったしな。同情もあっただろうし…」

リムらん「「?」」

そんなふうにダークドリームが参加者と会話していく中で拓海はというと。

のぞみ「ありがと、招待してくれて」

拓海「ダークドリームを祝うなら夢原がいないと始まらないしな」

のぞみ「そうかな〜?わたし普段はあの子と一緒にいないし、拓海くんがおめでとうって言えばそれだけで喜ぶんじゃないの?」

拓海「そんなことないって。あいつはいつも夢原の話してるし、誰かがいれば誰かはいらないなんてならないしな。それから夢原」

のぞみ「んー?」

拓海「一昨日誕生日だったんだろ?これプレゼント」

のぞみ「えー!?なんで知ってるのー!?」

拓海「この前夏木から聞いた」

それはのぞみを招待するために5チームに会いに行った時。

りん『ダークドリームの誕生日ってのぞみと2日違いなんだ』

拓海『え?夢原の誕生日って近いのか?』

りん『11月8日。まあこっちはあたし達で祝っとくから気にしないで』

とりんから聞き、パーティはあちらに任せたが、プレゼントは用意しておいた。

のぞみ「やったー!ありがとう拓海くん!」

拓海「じゃあそろそろメインイベントと行くか。夢原も準備してくれ」

のぞみ「は〜い」

〜〜〜

ましろ(まし拓)「さあ!いよいよメインイベントだよ!」

ダークドリーム「メイン?ケーキならもう食べたけど」

ましろ(まし拓)「それも大きなイベントだよね。けどケーキに並ぶ誕生日の一大イベントが残ってるよ。それはプレゼント!さあ!一人ずつおめでとうを言いながら渡して行くよ!」

ましろの音頭でプレゼント譲渡が始まる。

ゆい「おめでとう!」

あまね「おめでとう」

ここね「おめでとう」

らん「おめでとう!」

ソラ「おめでとうございます!」

ましろ(常識人)「おめでとう」

ツバサ「おめでとうございます」

あげは「おめでと!」

エル「おめえと〜」(エルちゃんからのプレゼントはヨヨさんが用意しました)

のどか「おめでとう」

ちゆ「おめでとう」

ひなた「おめでと!」

アスミ「おめでとうございます」

さあや「おめでとう。あとこっちは今日来れなかったはなの分だよ」

ほまれ「おめでと」

えみる「おめでとうなのです」

ララ「おめでとうルン」

ユニ「おめでとニャ」

つぼみ「おめでとうございます!」

えりか「おめでと」

ゆり「おめでとう」

いつき「おめでとう」

やよい「おめでとう!」

れいか「おめでとうございます」

ゆかり「おめでとう」

あきら「おめでとう」

あん「おめでとう」

高木「おめでとう」

ローズマリー「おめでとう」

コメコメ「おめでとうコメ」

パムパム「おめでとうパム」

メンメン「おめでとうメン」

ミギリンヒダリン「「おめでとー!」」

ましろ(ソラ拓)「おめでとう」

ましろ(ソラまし)「おめでとう」

ましろ(作家)「おめでとう」

ましろ(飼い主)「おめでとう」

ましろ(妖精)『祝福を伝えている』

ましろ(まし拓)「おめでとう!」

のぞみ「おめでとう!(さっきのそっくりな子達は姉妹かな…?)」

祝辞とともにプレゼントが手渡される。

ちょっとした物もあればいい物もありさまざまだった。

ましろ(まし拓)「じゃあ最後は拓、お願い」

拓海「ああ、ダークドリーム。おめでとう」

そして最後に拓海からダークドリームへ贈られる。

ダークドリーム「ありがとう、拓海」

プレゼントだけではない。

この会を開いてくれた事も含めた感謝も込めて笑顔でそう言った。

〜〜〜

それから誕生日会は小さなイベントをいくつか消化した後そろそろお開きとなりそうになる。

ダークドリームは主役という事もあり雑務には関わらず少し離れた場所で休んでいると。

のぞみ「隣いい?」

ダークドリーム「のぞみ、ええいいけど」

のぞみはダークドリームの隣に並ぶ。

のぞみ「いやー楽しい誕生日会だったなー。あ、拓海くんのプレゼントは置いてきてないんだ」

ダークドリーム「ええ、これだけでも持っておこうと思って」

ダークドリームが受け取ったプレゼントは参加者に比例して多く、流石に持ちきれないため拓海のデリシャストーンの転送能力を使って別の場所へ移した。

しかし最後に拓海から貰ったプレゼントだけは手に持っていたようだ。

のぞみ「じつはわたしもさっき拓海くんからプレゼント貰ったんだー、一昨日誕生日だったから」

ダークドリーム「え?そうだったんだ」

のぞみ「なんだったら来年は一緒に祝っちゃう?9日とかに」

ダークドリーム「その日の主役がいないじゃない。フフ」

ダークドリームとのぞみ、二人の話はどんどん弾んでいく。

のぞみ「そーだ。せっかくだからこのプレゼント一緒に開けてみない?」

ダークドリーム「一緒に?」

のぞみ「うん!流石にダークドリームが貰った物の方が豪華だろうけど。あーでも安心して、もしそうでも取り替えてーなんて言わないから」

ダークドリーム「流石にのぞみの頼みでも断るわね。でも面白そう。やってみましょ」

二人はプレゼントの包装を解き箱に手を掛ける。

リムのぞ「「せーの!」」

一斉に箱を開ける。

そこに入っていたのは…

リムのぞ「「お揃い!?」」

入っていたのはまったく同じ物。

黄色い小さな石が付いたネックレスであった。

のぞみ「この石、ひょっとして宝石!?」

ダークドリーム「このちっちゃさがあいつの懐の厳しさに見えるわね。けど…」

嬉しい。

物自体もそうだが、まさかのぞみとお揃いで身につけられる物にしてくれるとは。

ダークドリーム「ねえ、このネックレス私たちの友情の証にしない?」

のぞみ「え?いいのかな?拓海くんからのプレゼントなのに」

ダークドリーム「いいのよ。拓海もそのつもりでくれたに決まってる」

ダークドリームはそう確信している。

でなければわざわざお揃いにしたりしない。

ちなみにであるが、このネックレスに付いている石。種類はトパーズ。

11月の誕生石であり、この石が意味する言葉には『友情』そして『希望』があった。

のぞみ「…わたしね、ダークドリームと再開して、でも離れた場所で暮らすってなった時、本当にこれでいいのかなって思った事があるの」

ダークドリーム「!」

のぞみ「でもわたしたちの町にって思っても暮らす場所のあてはないし、ココ達がいつ帰るかわからない以上ナッツハウスってわけにもいかないから認めるしかなくて、それでいいのかなって今日までずっと思ってた。でも今日この誕生日会に来てわかった!まかせてよかったって」

ダークドリーム「のぞみ…」

のぞみ「拓海くんにまかせればダークドリームの事も安心。でも油断しちゃだめだよ?周りに可愛い子い〜っぱいいるんだから」

ダークドリーム「???、そうね」

ダークドリームはのぞみの最後の忠告の意味が理解できなかったが、とりあえず頷いておいた。

のぞみは拓海とダークドリームの関係を誤解している。

それもそのはず、のぞみは普段の拓海達の様子を知らないのだから。

拓海とダークドリームはもうなんの含みも無く家族のような関係。

しかしその普段を見ていないのぞみから見たらダークドリームのためここまでする拓海はダークドリームと恋人関係にあるのだろうと思っていた。

まあ無理もない。

今回の出来事を客観的に見れば、のぞみが若干の恋愛脳なのを差し引いても誤解してもおかしくない献身ぶりだったのだから。特にのぞみは拓海がゆいを好きな事すら知らないのだから。

のぞみ「(先越されちゃったなーわたしもいつかココと)」

ダークドリーム「(油断?可愛い子達はみんなのことだろうけど私は何を気をつければいいんだろ?)」

こうして盛大に開かれた誕生日会は最高の結果と少しの誤解を生み出しお開きとなるのだった…


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