【閲覧注意/22周目設定】しあわせなかぞく

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@ユゴバズスレ主だよ

副題~二十二周目if・倫理観を殺す話


あまりにもあんまりやったから…

夢を見るくらいええやん!


ユーゴー×ヨハンナという地獄

ユーゴー×バズ+ヨハンナもある

途中でユーゴーがヨナちゃんに欲情しそうになってたからつい

父親が娘を抱く展開に耐えられる人だけ読んで


三人とも幸せENDだね!



ごめんうそ、鬱かもしれない

でもこの世界線なら全員生き残ってはいると思う



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「大きくなったな」

「…ありがとう」


プレゼントを渡しながら告げられた言葉。

お前のおかげじゃない、とは言わなかった。

この人がいなければ私はこの世に生まれていないのだから。


「…ママは」

「人前でその呼び方は控えるよう、何度言ったか覚えているか?」

「………今は、人前じゃないじゃない」

「いつ誰が来るともわからない」

「…今日来るのはお父さんで最後だよ。もうそれなりに遅い時間だし」


誕生日を祝いにも来てくれないママ。

でも仕方のないことだ。

私は知っている。きっと今頃、ママは――


『あかちゃん、ほしい♡』


眼前の男に媚びる、女の声が脳裏を掠めた。

思い出したくない。あんな姿。あんな声。

今だってきっと、お父さんの帰りを待って、女の顔をしているであろうママ。

かわいそうな人。ずっとずっと、私が知っている限り、いつだってかわいそうな人。


だから、助けなきゃ。


私はこの人を、陛下の側近であり星十字騎士団の団長を務める男を倒して、ママを救わなければならないのだ。

決意も新たにお父さんの顔を見上げると、緑の目がじっと私を見つめていた。

変に居心地が悪くなって、思わず目を逸らしてしまう。


「なに?」

「本当に大きくなったな」

「それは、さっきも聞いた、けど」


大人が子供を見て成長を実感しながら目を細めて言う「大きくなった」とは、少し違う気がした。

上手く言えないけれど、込められた感情が、まるで違うような。


「バズに、よく似ている」

「………え」


ぐしゃり。プレゼントの包み紙が地面とぶつかって音を立てる。

ひとまとめに掴まれた手首が痛い。


「お父さん…?」

「…バズも、昔はよくそんな顔をしていた」


そんな顔って、どんな?

尋ねようとして、うまく声が出ないことに気づく。

それに、お父さんの顔が普段よりずっと近い。目線の高さだって同じで、睫毛の本数だってわかりそうなくらい。


「…ッ!!?」


ぬるり。なまあたたかい何かが、唇を撫でる。驚きに緩んだ隙を縫って、口内に侵入したそれが歯列をなぞる。

少しざらついていて、ぬめりけがあって、まるで。


「無防備だな、ヨハンナ」

「あ、あ……うそ……」


舌だ。

お父さんの舌が、私の口の中に入っていた。

口の周りがベタベタで、溢れた唾液が顎を伝うのに構う余裕もない。

ただ現実を受け止めることに精一杯で、私は掴まれた手をほどこうとすることさえ忘れていた。


「バズは、私にキスされて…そんなに絶望した顔をしたことはなかったな」

「や、やだ…」

「バズとよく似た顔で、別の表情が見られると思うと悪くない」

「やめて、やめてよ、お父さん…!」


勝てない。

シーツの上に縫い留められて、必死に手足を暴れさせたって、いとも簡単に捻じ伏せられて。


「やだ…やだ……!やだああ――んんっ!!んぐ、ぐ、ん……ッ!」


せめて声だけでもと叫んだ私の口を、お父さんが塞ぐ。


どうしてこんなことするの。

どうして娘として見てくれないの。

どうしてママに会わせてくれないの。


どうして、どうして、どうして。


ママのこと、愛してると思ってたのに。


「やめて、やめてえ…どうして、どうして!」

「…意外と抵抗するものだな。バズの抵抗はかわいいものだったか」

「な、んて………?」

「バズはお前ほど抵抗したことはない。…内心では常に私を受け入れていたのか。嬉しいことだ」


嘘でしょ。

二人はずっとお互いのことが大好きで、お互いしか見えていないような人で。

だから仕方ないんだって、そう思おうとしたこともあったのに。

抵抗って、なに?

ママに無理やり、今、私にしているようなことを、した…?


「バズとは服の趣味が違うようだが、よく似合っている」

「や、やだ、脱がせないで、お願いだからあ…!」


ぺらりぺらり。お父さんにとっては私の抵抗なんて、薄っぺらい紙のようなものなんだろう。

そよ風を受け流すみたいに。子猫がじゃれつくのを見るみたいに。

微笑みすらしながら、私の守りを崩していく。


「かわいいな、ヨハンナ」

「いや、いやっ…抜いて、お願い、お願いします、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…!」


私は何に謝っているんだろう。


きっと今も、少し遅いなと思いながらお父さんを待っているであろうママに?

それとも、こんな形で大切なものを失ってしまう自分自身に?


楽しそうに私を抱いている、目の前の男に?


もう、何もわからない。

部屋の明かりは明るくて、それなのに暗闇にいるみたいな気分で。

揺さぶられながら、繰り返し謝罪を口にしていた。



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「おはよう、ヨハンナ」

「おはよう、ございます…」

「声が掠れている。水を飲みなさい」

「はい…」


この人は、逆らってはいけない人だ。

一挙手一投足に注目して、どうすれば気に入られるのかを常に考え、媚びなければならない。

そうしないと、私は、私の居場所は、なくなってしまう。


「ヨナ?暗い顔だな」

「あ……」

「どうした、痛いところでもあるのか?」

「あ…うう……うっ……」


声が、うまく出なくてよかった。

情けなく「ママ」と縋る声を聴かれたら、どうなることか。

想像しただけで恐ろしかった。


あの人は、自分以外がママに縋るのなんて気に食わないし、自分以外に優しくするママも気に食わない。

私はもうどうなったって構わないけれど、あの人を好きで好きでたまらないママがつらくあたられて傷ついた顔をするところは見たくなかった。

何より、不興を買って追い出されでもしたら。二度とこの優しい声を聴けないかもしれない。


「ユーゴー、お前なんかしただろ!」

「…?いつも通りだったよね。バズも覚えてるでしょ?」

「俺は…いつも通りだったけど。途中で何回か意識飛んだし、その間になんかしたんだろ」

「どうしてそう言い切れるの?」

「じゃなきゃ泣いたり…ひっ!?あ、待てって、まだ話が…あっ♡」


蕩けた声が、すぐ隣から聞こえる。

耳を塞いでしまいたい。


「こうやって、気持ちよくって…それでつい泣いちゃうこと、バズもあるよね?」

「あ、あるっ、けど…ひゃ、あ♡ま、待て、横に、ヨナが…ふああっ♡」

「…昨日の夜は、仲良く僕におねだりしてたじゃない」

「した、けど、でも、明るいところでは…あ、ああ、やめっ…んっ♡ヨナ、み、見ないで…」

「駄目。ヨナ、見て」

「………」


答えたくなかった。

私が黙って俯いている間にも、ママの声が色に染まり、抑えが利かなくなっていく。


「ヨハンナ。見なさい」

「…はい」


そろそろと視線を上げると、ママとあの人がキスをしていた。その間も律動は止まず、唇のあわいからはママの喘ぎが漏れている。

緑の目が私を一瞥して、すうっと細まる。笑っているんだ。

『バズは私のものだ』

声を出さなくたって、あの人が言いそうなことくらいわかる。

私はただ、見ているだけ。抵抗もできない。ママを助けることもできない。

ただ、じっと。


「ユ、ゴ…♡おく、さみしい…♡」

「もう朝だよ?あと何時間で出ないといけないかわかる?」

「わかる、けどお…♡すき、すきっ♡」

「もう…すっかり甘え上手になったね。いいよ、あげる」

「ん…♡うれしい…♡」


とっても幸せそうなママ。

もう私のことなんて見ていないママ。

まだ私のこと、娘だってわかってないママ。

あの人のことが大好きで、あの人以外のことなんて、ほとんど意識の内側にないママ。


私のことを、ヨナって呼んでくれるようになったのもつい最近だ。

あの人に、同じベッドの上で抱かれることを嫌がらなくなったのも最近。

それまでは親の仇を見るみたいな目で見られていた。


でも、今は違う。

ママと呼んでも許してくれる。親がいなくて寂しいのか?なんて的外れなことを言っていたけれど、もうそれでいい。

眠るとき、抱きついたって許してくれる。だじょうぶ、ってやわらかい声で言いながら背中を撫でてくれるし、額にキスだってしてくれた。すぐにあの人の腕がママをさらってしまったけれど。

一緒に食事をして、服を選んで、くだらない冗談を言い合って…。


これだけのことができているのなら、それはもう、家族だ。

私たちは家族に戻れた。


だからきっと、これでいい。

これで。


「ん…♡…あ、あれ…ヨナ、大丈夫か?また泣いたりして…」

「わ…私は、しあわせ、です」

「はい、よく言えました」


お父さんに褒めてもらえて、嬉しい、です。

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