【閲覧注意/ユハバズ?】ある夜の話
@ユゴバズスキーダイスっておそろしいよね
ほんのりユゴバズの風を感じるかもしれないのは僕がユゴバズスキーだからです
やっつけだし短いしえっちな部分は会話だけだよ!ゴメンネ!
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都合のいい展開になった。
バズビーは恭しく頭を下げ、陰に隠した唇を歪ませた。
「下がってよい」
重たく響く声に従い、部屋を後にする。
廊下に出て扉を閉めたところで、小躍りしそうなくらいに心は跳ね回っていた。
ユーハバッハの命を狙い、その膝元である騎士団の一員となって。
目指していたはずの地位に一足も二足も早くたどり着いていたかつての友とは、未だあの頃の二人として向き合えないまま。
それでも無情に日々は流れていた。
このまま家族の無念を晴らすことも、友人との溝を埋めることもできないまま、仇のための組織に骨を埋めるのか。
そんな不安を抱くことも増えた日のことだった。
就寝前のワインを運ぶ役目を仰せつかったのだ。
「日頃はハッシュヴァルトに任せているが、あれには団長としての務めもある。今夜はお前にその役目を任ずる」
そんなつまらないことまで任されているのか、という呆れもあった。メイドにでもやらせておけばいいものを。バズビーがバザード・ブラックだった頃、両親の寝室へホットワインを、バザードの寝室へホットミルクを運ぶのは、メイドの役目だった。
しかし、メイドの役目で結構。目的を果たすことが出来れば何の問題もない。
空想してみる。ベッドで上体だけを起こし、ワインを待つ仇敵の姿を。その枕元へワインを運び、一口、喉を潤したところで心臓を一突きしてやる。
どれ程の霊圧があろうと、心臓を破壊されて生きていられるはずもない。ただ近くにいたから、部屋の前を通ったからと、自分に声を掛けたことを後悔しながら死ねばいい。
ほの暗い復讐劇の、しかし甘い味わい。想像だけでこれ程なら、実際にはどんな甘露になることだろう。
鼻歌でも歌いたいほどの上機嫌で、バズビーは廊下を進んだ。
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手渡そうとしたワインがシーツの上に広がった。カラカラ音を立ててグラスが床を転がる。柔らかな絨毯のおかげで、粉々に割れることは免れたようだった。
バズビーはというと、ユーハバッハに手首を掴まれ、借りてきた猫のように固まっていた。
まだ、何もしていないはずだ。今この瞬間に限って言えば、何かしようという気さえなかった。
「領主の息子ともあろう者が、閨に招かれる意味を知らぬか」
背筋を冷たい汗が伝う。その汗がインナーに押し付けられ、吸いとられていく。
背中に圧迫感があった。冷たい目がバズビーを見下ろしている。その奥に愉しむような色を見つけて、無意識に肩が震えた。これは捕食者の目だ。皿に乗せられているのが誰なのかは、言うまでもない。
知られていた。一切こちらへの関心などないと高を括り、バザード・ブラックである事実を把握していないものだと思っていたのに。
入団を認め、寝室に招き、ベッドの上で犯してから殺そうというのだろうか。あまりの悪趣味に腹の底から怒りがわき、固まっていた思考を動かし始めた。
手足は、もがこうにも押さえつけられていたが。喉も潰されていなければ、口も塞がれていない。
「変態オヤジ。女ならともかく男にまで手を出してんのか」
「従順な女の柔肌もいいが、お前のような駄犬を躾けるのは殊更いい」
「は…テメエの好みなんざ知ったこっちゃねえ。油断した瞬間に喉笛噛み切ってやる」
「よかろう。試してみるがいい。…お前に出来るはずもないが」
男のかさつく指が体の表面を這う。気持ちが悪い。技巧のなさを罵り、嘲笑い、男としての自尊心を砕いてやろうと口を動かし続けた。
否。動かし続けようと、していた。
「うあッ♡ひ、ひぃッ♡やめ、ろォ…ッ♡」
「先程までの威勢の良さはどうした、バザード・ブラック」
「あ…ッ!呼ぶな…その、名前で…お前が…!」
「では、バズビーよ。お前は存外善い声で啼く。明日も部屋に来るのだ」
「いッ…やだ…殺せ、さっさと…」
「誰が殺すと言った?生殺与奪を決定するのは私だ。お前は私の意思なくば生きることも死ぬことも許さん」
「ぐ、あッ♡…従う、わけ、ねえ、だろうが…!」
「困った男だ。では、ハッシュヴァルトに代わりを務めさせるか」
「あ…あ……や、やめろ…そんな、こと…あいつは、お前を…!」
親のように慕っている。神のように崇めている。
そんな相手に組み敷かれたハッシュヴァルトの絶望した顔を想像して、きゅうと心臓が縮こまった。
「では、明日もお前が相手をするといい。私とて、半身と体を重ねるなど望むところではない。自らを慰めるのと変わらぬだろう」
「…っ…あいつは…お前なんかと…ちが、…あああッ♡」
「さて、それはどうかな」
まだ、夜は明けない。