【閲覧注意】マーキング
NeraDANGER!!
この小説には以下の要素が含まれます
・過激な描写、尊厳破壊、精神崩壊、キャラ崩壊、性的描写
1つでも抵抗がある場合は閲覧しないでください
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人には知られたくない物がある。
例えばベッドの下とか、過去の大失敗とかである。
大事な人から麦わら帽子を大事を預かっている青年は、1つの感情を隠していた。
「「ハァハァ…!」」
真夜中の船内の一室にあるベッドの上で男女が身体を交えて喘いでいた。
彼らを照らす灯は、数本の蝋燭と窓から差し込む月光だけである。
それでもお互いの感触と温もりはとっても安らぐものであった。
「なんか…変だ。よくわかんねェけど…とってもすっきりした」
呼吸を整えた黒髪の青年は、初めての感情と経験で戸惑っていた。
しかし、本能が何をしたのか理解しており、思わず言葉に出してしまった。
「ハァーハァー」
「大丈夫か?」
「ごめん、ちょっと…寝かせて…」
一方、相方は疲労により青年の質問に答える余裕が無くそのまま寝てしまった。
瞼を閉じて寝息を立てる女は、かつて“世界の歌姫”と呼ばれた人物である。
彼女は世界中のファンから愛される存在だったが、今では大罪人の名を馳せている。
世界から狙われるようになった彼女は、目の前の青年しか気を許せなくなっていた。
「ウタ、おやすみ」
ぐっすりと眠るウタの頭を優しく撫でた青年は笑った。
真っ暗な空間でも独特な紅白の髪は、とっても綺麗で心地良い毛の感触だった。
「よいしょと!」
そして自分の腰にがっしりと絡み付いた脚をゆっくりと外すと青年は動く。
今から真っ先にやるべき事は、彼女を寝やすい体勢にしてあげる事だ。
お互いの体液が混ざり合った掛け布団を手に取った瞬間、青年の動きが止まった。
「ううん…んー…」
「おっ!」
さきほどまで身体が交わっていたせいか、ウタの寝顔がとっても魅力的に見える。
特に温もりが冷えて曇る彼女の顔は、愛しくてたまらない。
今や自分の物になった以上、どう扱っても彼女は許してくれるだろう。
「ダメダメだ」
柔らかそうな唇から凄まじい衝動に襲われた青年は首を縦に振って我慢した。
無防備な彼女の身体を横に倒して頭の下に枕を挟んで掛け布団を被せた。
それでも濃厚な女の匂いに耐え切れずに少しだけ離れた椅子に腰かけた。
そうでもしないと彼女の父親に顔向けできなくなる事態が発生すると分かっている。
「ウタはおれの物だ。もう誰にも奪わせはしない」
椅子に座って本能を抑える青年の名は、モンキー・D・ルフィ。
自由を愛して冒険が大好きな彼の瞳は濁っている。
誰かに告げる様に呟いた言葉は、まるで呪いのようであった。
「もう誰にも触らせねぇ」
誰かにこれは【自分の物】と認識させるにはどうすればいいのか。
持ち物に油性ペンで自分の名前を書けばいい。
さきほど幼馴染を押し倒した青年がやった事も同じだ。
「誰にも奪わせやしねェ」
たっぷりと自分の体液でウタをマーキングしたルフィは満足げに笑う。
彼女から大切な物を奪った代わりに新たな物を捧げた。
強者の余裕と言わんばかりに笑っている彼は狂っている。
あの明るく元気で冒険が大好きな人物とは思えないほど壊れていた。
「だから…どこかに行くなよ」
性欲と支配欲求と理性と信念が混ざり合った感情は誰にも止められない。
だからさっき、男女の一線を越えて魂と肉体が1つに混ざり合った。
味わった事がない快楽と感情に身が震えて成すすべなく本能に従った。
その昂った感情が途切れた瞬間、少しだけ冷静になれて本音を吐き捨てた。
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海軍本部の准将であるウタは、ルフィに恋心を抱いているのは明白だった。
海軍将校の業務をこなしながら歌姫として活躍する彼女は隠したつもりである。
ファンに迷惑をかけるし、なによりシャンクスと決着をつけるつもりだったから。
しかし、部下はおろかファンや部外者であるはずの海賊ですら知っていた。
だが、ルフィが彼女に恋をしているのか誰にも分らなかった。
当の本人ですら手遅れ寸前になってようやく気付いたのだから無理はないだろう。
「ウタ准将、今度はいつルフィ大佐とデートしに行く予定ですか?」
「一緒に共同訓練するだけでしょうが!!」
「え!?結婚生活の練習をなされる予定なんですか!?」
「よーし!実技の練習相手はあんたたちに決まりね!!」
「「ひえええええええええええええ!!」」
何かと准将を弄って来る将兵たちは、2人の恋の進展を期待していた。
それは、心の奥深くに感情を仕舞う癖がある彼女に対して揺さぶりをかけていた。
だが、あくまでも女性が男性に告白するという古典的な行動を期待していたのだ。
ルフィ大佐からウタ准将に告白するなどと誰も期待どころか考えた事すらなかった。
「まーたあいつら、准将に喧嘩売っているのか」
「どれだけ弄ったら殺されるのかチキンレースでもやってるのかよ」
「大佐、ここは男としてビシッと叱責するべきですよ!」
ルフィ派の将兵たちは、恋路に発展するべく盛り上げるバカたちを見て呆れていた。
大佐と仲が良い彼らですらウタ准将と恋愛に発展すると思っていない。
だからこそ大佐自ら行動して愚か者共を叱責する様に促した。
あくまで2人の関係に部外者は突っ込んでもらいたくないという感情もある。
「別にいいだろ。あいつらはウタの管轄なんだから」
「ですが、ウタ准将が煽られて暴走するのは見てられません」
「ウタなら大丈夫だ!ほらみろ!」
ところがルフィは、恋愛に興味は無かったが恋愛の弄りも気にしてなかった。
幼馴染が何か弄られていても、遠くで見るくらいで対処はしなかった。
彼曰く「ウタが罰を与えるからおれがやる必要はねぇよ」というのを実践している。
「お二方って仲が良いのか悪いのか…さっぱり関係が分からんな」
「喧嘩するほど仲が良いっていうし、そんなもんだろ」
ルフィとウタの関係がさっぱり掴めない部下たちは毎回、反応に困った。
恋路を応援するべきなのか、相棒として讃えるべきなのかと。
とりあえずウタ准将のライブを開催しつつ、ウソップ海賊団を追う日々に追われた。
それは明日以降も変わりなく続いていく事になると誰もが思っていた。
そしてウタ准将の恋愛も平行線を辿って交わる事は無いというのは分かっている。
「このままだとウタ准将は誰かに盗られるかもしれませんね」
「あ?今なんて言った?」
ある日、人気が留まる事を知らないウタ准将の評判を聞いた海兵が本音を漏らした。
特に大佐との関係など考えていなかった故の発言だった。
だが、それを偶然聴いたルフィは態度を一変して発言した海兵に詰め寄った。
「…大佐?何かご不満点でもありましたか?」
「なんかあったのか?」
「いえ、世界から注目されるウタ准将に告白する者が居そうだな…って」
珍しく威圧してくるルフィ大佐に戸惑う軍曹は、自分の思った事を簡略に告げた。
本人としては、大佐が居るのにウタ准将に手を出す不届き者が居そうだな…。
そう考えて口に出したものであった。
「本当か?」
「え?ええ、ルフィ大佐と仲が良いと知らない輩が准将に手を出すかもって…」
「そっか」
「大丈夫ですよ。あのウタ准将が大佐から離れるなんてありえないですよ!」
「そうだよなー」
この時ばかりはルフィは無意識であったが、真剣にウタの関係について質問した。
ウタが自分から離れる可能性があると知っての行動である。
戸惑う部下からの返答を聴いて正気を取り戻して彼は船室へと帰って行った。
「なんだったんだ?」
これには、発言した海兵も首を傾げるしかなかった。
しかし、この後に誰かが似た様な発言をしても大佐は喰い付かなかった。
なので彼は気のせいだと感じてしまい、さきほどの異変に気が付く事は無かった。
「んー?なんか変な感じがしたなー!まあいっか!」
あの日、船室に戻ったルフィも異変に気付く事は無かった。
ただ、あの発言から不快感と拒否感と苛立ちが混ざり合った感情を得た。
ところが、すぐにそのような感情が消え去って彼自身も困惑していた。
自分には関係ない話なのにどうしてそんなに嫌がったのか。
これがどのような感情なのかすぐに知る事となる…。
「この女をわちしの10番目の妻にするえ~!!」
世界政府創設者の子孫、天竜人は誰も歯向かってはいけないというのは常識だ。
唐突に出現した天竜人から伴侶に指名された時のウタの表情は絶望以外になかった。
自分の人生が足元から崩壊して二度と元に戻ることは無いと実感して震えていた。
「何をボサっとしてるえ!!わちしのパパの家に来るええ!!」
本人の意思を無視して勝手な行動をするチャルロス聖は、天竜人の中でも問題児だ。
なにより甘やかされた環境と同族以外見下す下劣な性格は悪名高いと噂される。
そんな彼は、子守唄役及び自分の伴侶になれる名誉を認めない女に苛立っていた。
なので紅白のお下げを引っ張って無理やり嫌がる彼女を自宅に連れ帰ろうとした。
「なんだお前ェ?海兵だから許してやるからそこを退くだえ!!」
チャルロス聖は、ウタとルフィの関係など一切知らなかった。
ただ前評判で唄が上手い美少女を自分の伴侶にして所有したかっただけだ。
もし、関係を知っていたとしても奪い取るの一択だから意味がないのであるが。
「こいつは、わちしの物!分かったかえ!!」
当然、立ち塞がった麦わら帽子を被った青年将校などチャルロス聖は知らない。
指をパキパキと鳴らして自分に危害を与える存在など分かるはずも無かった。
だって自分は何しても許されるのだと自覚しているのだから。
「ぶぼげぇええええええええええええええ!?」
この日、ルフィ大佐は幼馴染を救う為にチャルロス聖を全力で殴打し、殺害した。
【世界の常識】を覆した青年は、3億ベリーの賞金首となり、海軍から追われた。
チャルロス聖の伴侶が確定していたウタも大罪人として5億の賞金が懸けられた。
これで逃亡生活が上手くいけば問題無かったが現実は非情である。
「ごめんなさいごめんなさい…」
可愛い弟分以外の全てを失った彼女は、精神崩壊するほど自分を追い詰めた。
部下の全員が碌な末路を辿っておらず、世界情勢が大きく荒れてしまった。
あの時、適切な対応をしていればこうならなかったと何度も後悔して嘆いた。
「もうやだ…私のせいで…私がああああ!!!」
心身共に追い詰められた歌姫は、何も縋る物はなかった。
自分を救ってくれたはずのルフィ元大佐ですら罪悪感で顔すら見れない。
「世界に笑顔と希望を届ける」と発言した歌姫の面影など消え去っていた。
「大丈夫だ!!ウタにはおれが居るぞ!!」
そんな絶望に打ちひしがれる彼女を励ましているルフィもまた壊れていた。
カラ元気と言わんばかりに無理やり笑顔を作っている日々で更におかしくなった。
自分を偽るのが得意ではない彼は、日々の疲労からウタに対する意識が変化した。
「ウタを守るのはおれだけだ。おれしか居ないんだ。ウタは誰にも渡さねェぞ!」
ウタと一緒に居る事が当たり前だった常識が崩れ去り、残ったのは焦燥感と独占欲。
自由を愛した17歳の青年は、ウタを失う自由に耐え切れなくなった。
世界が一変した結果、弱り切った幼馴染に対して支配欲求に目覚めてしまったのだ。
「ん?」
ルフィの性欲が目覚めたきっかけは、些細な事であった。
偶然、ウタの柔らかそうな唇が気になっただけ…それだけだった。
それだけだったのだが、彼女の口を見るだけで興奮するという感覚。
無理な逃亡生活で憔悴しきった青年にはとっても魅力的に思えた。
「なんでだ?」
この時は、まだ自分に素直になれなかったので感情に対して疑問が出た。
彼なりに分析をした結果、ウタの口が大好きだからという結論になった。
たった数年で世界一の歌姫に上り詰めたウタは凄まじい才能の持ち主だ。
素晴らしい歌声に可愛らしい姿、健気な性格など惚れる場所はいくらでもある。
だが、ルフィにとっては言葉や唄を発する口そのものに興味が出てしまった。
「ウタ!」
「どうしたの?」
「甘えて良い?」
「いいよ、おいで」
会話はキャッチボールと揶揄されるが、ルフィとウタのやり取りも例外ではない。
問題なのは、必ずウタは何かしらのアクションを取ってくれるという点だ。
当たり前かもしれないが、これがルフィがウタに依存している要素である。
「これ分かんねェぞ」
「じゃあ、覚えるまで一緒に教えてあげるね」
例えば、分からない単語が出たらウタはルフィが覚えるまで教えてくれる。
それでも覚えきれない場合は、わざわざ身体で表現して覚えやすくする。
「フォアマストって何だ?」
「一番手前にあるマストの事よ!」
「分からん!!」
「あんたの特等席に一番近いマスト!ほら!こんなの!!」
「ああ、あれか!!」
ある単語を発見したら彼女の事を思い出してテストに記入できるほど叩き込まれた。
面白おかしく教えてくれるのだから忘れるわけがない。
そう、ウタはいつも全力で一緒に教えてくれるし、考えてくれる。
「今度はこれで勝負だ!」
「やだ!手が汚れちゃうからまた今度ね!」
「もしかして怖いのか?」
「そんなわけないでしょ!!やってあげるよ!その勝負!!」
ある時は、少し煽るだけで乗ってくれるノリの良さと対抗心。
「ここはおれに任せておけ!!ビビを頼む!!」
「分かった!!すぐに合流してよ!!」
ある時は、大物海賊に向かうルフィの思考を読んでウタはラクダを走らせた。
すなわち、どんな時でもウタはルフィに対して真面目に会話している。
どんな時でも対応してくれる彼女の存在は、ルフィの中で大きくなっていた。
いつでも真剣に自分の事を考えてくれる存在に魅了されていると漸く彼は自覚した。
「ウタ!こっちを見ろよ!」
「……どうしたの?…んぐ!?」
またしても些細なきっかけで事態が動いた。
ルフィは逃亡生活で疲弊した彼女に呼び掛けて隙を作った。
そしてすかさず彼女の柔らかい唇にキスをした。
『え?えええ?…なんで?どうして!?』
突然、ルフィにキスをされたウタは目を丸くして動揺した。
職業軍人である彼女は、よっぽどの事が無い限り隙は無い。
精神崩壊してもなお、生半可な海賊を素手で殺害できる実力者であった。
だが、年下の弟分に唇を奪われた衝撃で彼女は全身の力が抜けた。
『うそ、なんで!?ルフィが!?』
あり得ない光景を情報として提供した結果、頭脳と身体が異なる誤作動を起こす。
結局、何も抵抗できなかったが、ルフィがすぐにキスをやめたので混乱は収まった。
たった10秒という僅かな隙であったが、これが大きな意味となった。
キスをするとウタが無抵抗になると知ったルフィが味を占めたのだ。
「ウタ、キスの勝負をしようぜ!!どっちが長くキスをするか勝負だァ!!」
最初のキスはすぐに終わったが、勝負に組み込まれてキスをする機会が増えた。
ここでウタは嫌でも気付いてしまった。
あのルフィが自分の身体に欲情しており、本能が自分を求めていると。
「…ねえ、もう一度やろうよ!次は舌を使ってさ!」
「お?負け惜しみか?」
「あんたも嫌いじゃないでしょ?」
「じゃあもう1回な!」
足を引っ張っていると自覚しているウタは、ルフィの本能を受け入れる事にした。
元から恋をしている相手なのだから満更でもないし、役目だと思った。
どのようにすれば男が喜ぶのかファンの反応で推測はできる。
さりげなく単純なキス耐久の勝負からディープキス合戦にした。
「ここは舐めていいよ」
「ありがと!」
「代わりにここを舐めさせてね!」
「いいぞ」
キスだけでは満足できずに2人はお互いの身体を舐め始めた。
最初は指だったり唇を舐めたが、ストッパーが無い以上、すぐに過激に繋がった。
好奇心や探求心、相手の反応が見たくて少しずつ悪化していった。
いつの間にかお互いの性器すら舐め合う状態になったが異常に気付けなかった。
第三者がいれば異常と気付けたのだが、2人だけの世界のせいで気付くことは無い。
幼少期からやってきた勝負の延長線上にあると信じ込んでしまっていた。
「次はマッサージだ!!どっちが気持ちいいか勝負だ!」
「それだと強情の張り合いで決着が着かないでしょ」
「じゃあどうするんだ?」
「先に気持ちよくなった方が勝ち!これなら文句ないでしょ」
今度は、マッサージとは名ばかりの愛撫合戦が始まった。
最初は肩もみだけだったのに触る部位がどんどん下がっていった。
肩から胸、腋、腰、尻、そして股間までもがマッサージ対象となった。
「そろそろ……腹を括るべき…かな」
同じベッドで下着姿で同衾する関係になった頃。
ルフィは自身の股間に生えている部位をウタの股間に押し当てるようになった。
だが、それだけで終わった。
先にベッドに横たわったウタは、抑圧してきた感情と向き合う羽目になった。
「ルフィが喜んでくれるなら…私は本望、その為に女として磨いたもんね」
さすがにウタも『お誘い』をしないとこれ以上は進展しないと感じ始めた。
何があっても自分を傷付けられないルフィは自分の発言まで動けない。
そんな事など分かっていたし、自分がやらなければいけないのは自覚している。
「ちょっといい?」
「どうした?」
「○×◇▼してくれない?」
久々の入浴を楽しんだルフィに対して契りを交える為にウタは誘った。
それがルフィに残っていた最後の理性を崩壊されると知らずに。
「え?むぐっ!?」
いきなり同意も無しに唇を塞がれたウタは、ここでようやく気付いてしまった。
ルフィは自分の身体に欲情しているのではなく支配したいのだと。
そして、肉食系男子にこれから何をされるのか分かってしまった。
無抵抗になったのを確認したルフィは唇を離して可愛らしいお嫁さんに質問をした。
「なあ、これからおれの物になるけど準備はいいか?」
「なにそれ?わんちゃんみたいにマーキングでもするの?」
「ダメか?」
「お願いします…あっ」
ベッドの上で左腕に纏うアームカバー以外を脱がされたウタは覚悟を決めた。
これからモンキー・D・ウタとして生きていく為の契りを交わすと告げる。
その瞬間、押し倒されてウタは痛みと共に快楽と男の味を存分に味わった。
「痛い!!痛いけどぉ!!もっと…もっとぉ!!いいの!!もっと突いて!」
前座すらなく激痛だったはずなのに不思議と従属欲求が満足されて快楽に変わった。
内心では、幼少期からルフィに負けたと自覚している彼女は従属欲求があった。
たまに男らしくなる男に恋していた乙女は、動きに合わせて腰を振るしかできない。
もはや女の身体でしかルフィに貢献できないと考える女はあっさりと快楽に溺れた。
「ふぅ!!これでよしと!!」
合意から30分後、ルフィの体液をたっぷり植え付けられたウタは見悶えていた。
時折痙攣する彼女の股間から男女の混じり合った体液が零れ落ちていた。
まるで雄犬が自分の縄張りを示す小便を流し込まれている状態と言えるだろう。
ただし、マーキングされたウタはそれを認識するどころではなかった。
『わたしって、ほんとばか。もっと、べんきょうしとけばよかった』
良くも悪くも純粋なウタは、男女の股間が混じり合う以上の性知識が無かった。
そのせいで自分が上書きされそうになるという初めての感覚で恐怖を感じていた。
最終的に胎内と脳内と精神が振動で混じり合う感覚を覚えて意識を手放した。
そして目覚めると頭痛と痙攣で自分の状態すら確認できずに後悔している有様。
口が裂けても、『大失敗でした』なんてルフィに告げる事ができない。
「これで終わるか?」
「…もっと、やって。忘れないように…二度と離さないように…癖になる…ように」
「でも限界だろ?」
「もっとマーキングして…植え付けてぇ…だめぇ?」
さすがにウタの様子から失敗したと察したルフィは、彼女の身体に気を遣った。
しかし、負けず嫌いであるウタは意地でも大成功させる為に再チャレンジを試みる。
意識が朦朧しているにも関わらず、押し倒している旦那に向けて手足を伸ばす。
頼もしい背中には両腕を回し、逞しくなった股間には大股で開いた脚を交差する。
今度はしっかりとルフィのマーキングを受け止める気満々であった。
「分かった。後悔するなよ!」
「ゆっくりと…お願いします」
夫婦の共同作業ってこういう事を指すのだろうかとウタは考える。
今では、ルフィが腰を動かせば、それに応じて腰を振っている有様。
まるでルフィの道具になったようで…ウタは嬉しかった。
『ようやくルフィの役に立てた…大事に使ってね』
逃亡生活で足を引っ張り過ぎていたのをウタは気にしていた。
もちろん、ルフィは気にしていないのは分かっている。
ようやく逃亡生活後で彼に貢献できたと彼女は実感した。
これが最後に残った理性であり、この後は本能に基づいて思考を停止した。
意識を3回吹っ飛ばし、5回マーキングされるまで2人の共同作業は続いた。
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そして今に至るわけだが、ルフィには罪悪感が一杯である。
自分の意志でウタを征服して心身共に完膚なきまで破壊してしまったのだ。
マーキングが達成できた満足感は快楽と同じく頂点に達した後に転げ落ちた。
残ったのは、取返しが付かない現状であった。
「ルフィ~どこ?」
「ん?どうした?」
急にウタが自分の名前が呼ばれてルフィは返答をした。
何故か下から聴こえて来たので角灯を照らすと衝撃的な光景を発見した。
「ウタ、なにやってんだァ!?」
「ルフィー。おいていかないでー」
ベッドにいたはずのウタは床を這っており、自分を探しているのを目撃する。
いつも笑顔が素敵だった彼女の顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。
幼児退行でもしたのかという呂律が回っていない現状にルフィはすぐに動いた。
「ここにいるぞ!」
「好き?大好き?」
「大好きだ!一緒に寝ような!」
すかさず抱擁した青年は、号泣しているウタの質問を肯定して何度も頷いた。
弱々しい彼女の姿を見た瞬間、青年の瞳から涙が垂れて鼻から鼻水が垂れ始めた。
感情の行き場がなくなった結果こうなったが、感情をぶつける相手が居る。
なので、隠さずもせずに彼は本音を告げて添い寝をするつもりだ。
「死ぬまで?」
「死んでもだァ!もうウタの人生はお前だけじゃないからな!」
ルフィの一言でウタの人生は決まった。
本日をもってモンキー・D・ウタにされた歌姫は、ルフィ専用になった。
要するにルフィの奥さんになったわけだが、それだけの単語では表せない。
彼女は自分の大腿に【ルフィ専用】という文字の刺青を彫りたがるほどであった。
これには、ルフィも困ってしまい「目立つから別の所にしよ」としか言えなかった。
「じゃあ、左腕にする!アームカバーのおかげで見えないから!」
ウタの左腕には、左肩から指先まで覆う青色のアームカバーを身に着けている。
お互いに新時代を誓い合ったマークは、身体を交えた時すら外さなかった。
なので、ウタは左腕ならば目立たないと判断して刺青を入れまくった。
それはもう、ルフィの個人情報から愛の言葉までたっぷりと記入した。
「さすがにやりすぎじゃないのか?」
「むしろ隠すのに不満があるの!隠しているだけ良いでしょ!」
次第にウタの身体が刺青だらけになるという危惧してルフィは牽制した。
それにも拘らずウタは気にしていないどころか開き直っている。
それどころかまだ自分がルフィの物だと示す刺青が足りないと感じていた。
「口はやめろ!!やるならおれにしろ!」
「やだ!!譲れない!!私の口はルフィが愛してくれる部位だもん!!」
ウタが唇に刺青を入れると宣言して本気で阻止しようとルフィは抗議する。
この攻防戦は何度も繰り返しており、その度に口喧嘩からの勝負の展開。
そして最後は仲良くベッドインして数日後に再発するという有様だった。
「今度はおれがウタの刺青を入れる番だ!!ウタはその手伝いをしてくれ!」
最終的にルフィが背中にウタの描いた刺青を入れる事になった。
それを意味するのは本人たちですら分かっていない。
ただ、開き直った事でルフィもウタも救われたのは間違いないだろう。
一生消えない傷と刺青を抱えて彼らは今日もどこかの海で逃亡生活を送っている。
背中に新時代のマークをマーキングした男女の笑顔から迷いは見えなかった。
ウタが妊娠して大騒ぎになるまでは…。
END